日本市場に特化した大ヒットコンパクトの二代目「トヨタ・アクア」【最新コンパクトカー 車種別解説】

二代目となるトヨタ・アクアの現行モデルは国内専用車として日本の日常生活に深く根ざした進化を果たした。若々しいスタイリングと取りまわしのしやすさはもちろん、パワフルな動力性能と操作反応の速さ、燃費改善でその存在感はさらに増している。
REPORT:石井昌道(本文)/山本晋也(写真解説) PHOTO:平野 陽 MODEL:大須賀あみ

パワフルで快適な走りを堪能 燃費は従来モデル比 20%向上

2011年に登場した初代アクアは、当時のベストセラーカーであったプリウスよりも手頃なサイズと価格で人気となり3年連続で販売ランキングNo1などを記録。累計販売台数は185万台と膨大でハイブリッドカーをより民主的なものとした存在だ。 21年にはフルモデルチェンジを受けて二代目になると同時に、国内専用車とされたことでより日本の市場に特化したモデルとなった。

エクステリア

複雑なサイド面によりアクアらしさを表現、クラスレスな雰囲気をもつ。「Z」グレードは 15インチアルミホイールを標準装備、リヤコンビネーションラン プの意匠も異なる。最小回転半径は5.2m。

初代はスタイル重視で後席や荷室が狭く、また静的にも動的にも質感は庶民的なレベルだったが、二代目はそういった不満の声が聞かれる部分を改善したスペシャルティ的な要素をもつモデルでもある。若々しいスタイリングなので若者受けもいいだろうが、高齢となって大きなクルマが手に余るようになったダウンサイザーにとっても質感の良さはうれしいだろう。

乗降性

ハードウエアの多くはヤリスと共有。基本的な運動性能を高めたGA-Bプラットフォームを採用し、1.5lダイナミックフォースエンジンのハイブリッドシステムを搭載。ヤリスと違うのは駆動用バッテリーに新たにバイポーラ型ニッケル水素を採用したことで、従来比で約2倍の出力となっている。走らせてみればヤリスハイブリッドよりも車両重量が重いにも関わらずパワフルで速く感じられる。

アクセル操作に対する反応も速く、ハイブリッドカーは運転が楽しくないなんてイメージを吹き飛ばしてくれる。バッテリー出力が高くモーターアシストの効果が大きいことが功を奏している。それは同時に、日常的な走りでEVモードが増えることにもつながっている。バッテリーの電力が十分にあれば40km程度までEVモードでの走行が可能で静粛性が高く、電気感の強い乗り味ともなっている。

インストルメントパネル

スモーキーブロンズの加飾が上級感のあるインパネは「Z」グレード専用。全車標準装備のディスプレイオーディオも10.5インチ(他は7インチ)となる。メーターはハイブリッドカーらしいデジタル調。

また、ドライビングモードをパワー+にすると、アクセルオフで回生ブレーキが強まる快感ペダルが作動。一般的にワンペダル・ドライブと呼ばれるものと同様で、ストップ&ゴーの多い街なかやコーナーが連続するワインディングロード、下り坂などではペダルの踏み替え頻度が減って楽に気持ち良く走れる。最大限速度はそれほど強くないタイプなので慣れなくてもギクシャク感はなく、同乗者を不快にする心配もない。

居住性

シャシーは、快適な乗り心地と操縦安定性をバランス良くまとめたといったところだ。軽量・高剛性な上に低重心な設計とされたプラットフォームだけに基本性能の高さが窺える。ただしグレードや装着タイヤなどによって違いはある。標準のサスペンションに15インチのタイヤの組み合わせならば乗り心地はソフト。

上級の「Z(FF)」グレードはスウィングバルブショックアブソーバーが装着され、オプションの16インチホイールと組み合わされるとスポーティになる。低速域で乗り心地が硬く感じることもあるが、コーナリングなどは格段に楽しくなる。ヤリスは小気味良い走りの演出が強く、それに比べるとアクアは大人っぽい雰囲気だが、素直で一体感の高い走りを楽しめるのだ。

うれしい装備

オプションの「アドバンストパーク」は、駐車したい位置の横に停めることで、車両が適切な位置を検知して自動的に駐車してくれる機能。シフト操作も不要、30秒程度でピタリと駐車する様は見事だ。
助手席前のフローティングしたような合皮巻きのパネルを開けると実用的な容量を確保した小物入れになっている。 アームレスト部分も深さ200mmほどの収納スペースとして利用できるのはうれしい。
月間登録台数    7216台(21年11月~22年4月平均値)
現行型発表       21年7月
WLTCモード燃費   35.8 km/l※「B」のFF車 

ラゲッジルーム

従来モデル比で約20%の燃費改善を果たしたこともうれしいトピックだが、それ以上に走りの楽しさや質感の高さで満足度が得られる一台だ。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.142「2022-2023 コンパクトカーのすべて」の再構成です。

http://motorfan-newmodel.com/integration/142/

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