ホンダ・フィットe:HEV LUXE 4万4000円opのパーフォレーション本革シートがいい!

ホンダ・フィットe:HEV LUXE 車両価格:249万9200円
ホンダのコンパクト、フィットで「洗練・上質」担当がLUXE(リュクス)である。2022年秋のマイナーチェンジでパワートレーンにまで手が入った。ホンダの2モーターハイブリッドシステムe:HEV LUXEと数日間過ごしてみた。果たして魅力はどれほどアップしたか?
TEXT & PHOTO:世良耕太(SERA Kota)

マイナーチェンジで洗練度はどう上がった?

全長×全幅×全高:3995mm×1695mm×1540mm ホイールベース:2530mm
最小回転半径:5.2m WLTCモード燃費:27.6km/ℓ 市街地モード26.7km/ℓ 郊外モード29.3km/ℓ 高速道路モード27.0km/ℓ

2020年に発売されたホンダ・フィットには5つのバリエーションがあった。ユーザーのライフスタイルに合わせた設定で、BASIC(ベーシック)が基本形。HOME(ホーム)は「生活になじむデザインと快適性を備えたタイプ」で、NESS(ネス)は「毎日をアクティブに過ごしたい人のためのタイプ」。CROSSTAR(クロスター)は「週末に出かけたくなる、エンジョイライフに応えるタイプ」。LUXE(リュクス)は「洗練と上質を兼ね備えたスタイリッシュタイプ」の位置づけである。

2022年10月に行なわれたマイナーチェンジで、NESSがラインアップから落ち、代わりに「デザイン、走りの質にさらにこだわったタイプ」のRSが追加された。

BASIC、HOME、LUXEはフロントノーズがすっきり見えるように形状を変更。アッパーグリルの位置を上げ、HOME、LUXEは上部にメッキ加飾のラインを追加した。ワイド感を強調したフロントバンパー形状と合わせ、より端正なルックスになった。CROSSTARはフロント、サイド、リヤのガーニッシュをシルバー色に変更し、クロスオーバーらしさを強調している。

エンジン形式:直列4気筒DOHC+e:HEV(i-MMD)
エンジン型式:LEB
排気量:1496cc
ボア×ストローク:73.0mm×89.4mm
圧縮比:13.5
最高出力:106ps(78kW)/6000-6400rpm
最大トルク:127Nm/4500-5000rpm
過給機:×
燃料供給:PFI
使用燃料:レギュラー
フロントモーター:H5型交流同期モーター
最高出力:123ps(90kW)/3500-8000rpm
最大トルク:253Nm/0-3000rpm

ハイブリッドシステムのe:HEVとガソリンエンジン+CVTの2種類のパワートレーン設定に変更はないが、前者は走行用モーターの最高出力を10kW(14ps)向上させて90kW 123psに向上。最大トルクの253Nmに変更はない。ガソリンエンジンは排気量を1.3Lから1.5Lに変更。最高出力は15kW(20ps)、最大トルクは24Nm向上し、87kW(118ps)/6600rpmの最高出力と142Nm/4300rpmの最大トルクを発生する。

今回試乗したのは、e:HEV LUXEだ。エクステリアでは、フロントバンパー、前後ドア、テールゲート、ドアミラーにプラチナ調クロームメッキを施して上質感を演出。インテリアではなんといっても本革シートの採用が目を引く。試乗車はオプションのキルティングパーフォレーション本革シート(4万4000円)を装着していた。ライトブラウンのカラーが室内を明るく、華やかに演出する。試乗期間中、複数の同乗者に最も好評だったのが、このシートだった。

なんともいい感じの室内空間。室内長×幅×高:1995mm×1445mm×1260mm 乗車定員:5名

LUXEはステアリングが本革巻きになるだけでなくステアリングヒーターを装備。シートにもヒーターが標準で付く。前のクルマでステアリングとシートのヒーター機能になじんでいるユーザーにとっては、フィットのタイプ選びに際し、LUXEが有力候補になるだろう。スマホのワイヤレス充電器が標準なのもLUXEの特徴。前席に2つあるUSBのチャージャーはタイプA、後席にはタイプCが2つ設置されている。

カップホルダーはじめ、収納が豊富で使い勝手に優れているのは、フィットの相変わらずの魅力だ。試しに(というか、お借りしているのをいいことに)、週末のスーパーでいつものように1週間分の食材を買い込んでみたが、フィットは難なく飲み込んでくれた。車両サイズがコンパクトなため、行き交う買い物客でごった返す敷地内駐車場での取り回しは非常に楽だった。コンパクトなサイズなのに後席がゆったりしているのもフィットの魅力である。

トランクスペースはこのとおり
充分な積載量である。

e:HEVは走行用と発電用の2つのモーターを持つ。日常のほとんどのシーンはモーターで走行し、エンジン単体で走ったほうが高効率なシーンでは、クラッチをつないでエンジン直結走行を行なう。バッテリー残量が少ない場合や、ドライバーの加速要求に対してバッテリー出力が不足する状況ではエンジンが始動し、発電用モーターで発電した電力を使ってモーターを駆動する。状況に応じて賢くモーターとエンジンを使い分けるのが、e:HEVの特徴だ。

その日一発目のエンジン始動時は、触媒を最適な温度にする目的もあり、エンジンは威勢良く始動して高めの回転でアイドルする。e:HEV車にはエンジン回転計を表示する機能が備わっていないのでOBDIIのポートからデータを取り出してスマホのアプリで確認したところ、1650rpm前後だった。なかなか騒々しい。

e:HEVのフィットは大人しく走っている限り、一般道ではほとんどのシーンでモーター走行(いわゆるEV走行)に終始する。ただ、走行シーンによっては35km/h程度でもバッテリー出力を補うためにエンジンが始動するシーンがあり、いきなりエンジン回転が2000rpmに跳ね上がって騒々しいノイズが耳に届くようになる。

シビックやZR-Vのe:HEVはエンジンが始動してもほとんど気づかない程度に遮音が効いているし、耳に届くエンジン音がノイズではなくサウンドと評したくなるほど「いい音」なので、エンジンの始動がほとんど気にならない。対照的にフィットの場合、エンジンの始動は相変わらず、気持ちのいい走りを邪魔する要因だ。シビック/ZR-Vとフィットのe:HEVでは車両価格が三桁の単位で違うので「贅沢言うな」ということかもしれないが、感覚は正直だ。

走りのすっきり感は、「静」と「動」の劇的な変化がなくリニアなガソリン車のほうが上に感じた。一度所有したら長く付き合うことになるので、e:HEVに特有の音の変化と、音の変化が自分の感覚にどう作用するかについては事前に確認しておきたいところだ。

タイヤはRSと同じ185/55R16サイズのヨコハマ・BluEarth-Aを履く。
リヤサスペンションはクラスの定石とおりTBA式
フロントはマクファーソンストラット式

なお、燃費に関しては「さすがe:HEV」である。高速道路と一般道(休日渋滞に遭遇)のミックスで223.8km走り、燃費は25.7km/Lだった。e:HEV LUXEはガソリンRSと同じ185/55R16サイズのヨコハマ・ブルーアースAを履くが、RSの指定内圧が前220/後210kPaなのに対し、e:HEV LUXEは前240/後220kPaに高めて転がり抵抗を軽減する地道な努力も利いているのだろう(鈍感な筆者には、乗り味にネガな影響は感じられなかった)。給油の際に「あんなに走ってこれだけしか入らないの?」とうれしい驚きを体験できるのは、フィットe:HEVの大きな魅力である。

e:HEVの燃費性能は高い。223.8km走って燃費は25.7km/Lだった
ホンダ・フィットe:HEV LUXE
全長×全幅×全高:3995mm×1695mm×1540mm
ホイールベース:2530mm
車重:1200kg
サスペンション:Fマクファーソンストラット式 Rトーションビーム式
駆動方式:FF
エンジン形式:直列4気筒DOHC+e:HEV(i-MMD)
エンジン型式:LEB
排気量:1496cc
ボア×ストローク:73.0mm×89.4mm
圧縮比:13.5
最高出力:106ps(78kW)/6000-6400rpm
最大トルク:127Nm/4500-5000rpm
過給機:×
燃料供給:PFI
使用燃料:レギュラー
フロントモーター:H5型交流同期モーター
最高出力:123ps(90kW)/3500-8000rpm
最大トルク:253Nm/0-3000rpm

バッテリー:リチウムイオン電池
燃料タンク容量:40ℓ

WLTCモード燃費:27.6km/ℓ
 市街地モード26.7km/ℓ
 郊外モード29.3km/ℓ
 高速道路モード27.0km/ℓ
車両価格:249万9200円 メーカーオプションHonda Connectディスプレイ+ETC2.0車載器19万8000円、マルチビューカメラシステム/ブラインドスポットインフォメーション10万5600円、キルティングパーフォレーション本革シート4万4000円

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著者プロフィール

世良耕太 近影

世良耕太

1967年東京生まれ。早稲田大学卒業後、出版社に勤務。編集者・ライターとして自動車、技術、F1をはじめと…