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これまでの『マツダ3』に代わって2023年4月の第3土曜日に『トミカ』のNo.46となったのが『フェラーリ デイトナ SP3』です。デイトナ SP3はイタリアの自動車メーカー、フェラーリが製造販売している、いわゆる“スーパーカー”と呼ばれる高級高性能スポーツカーです。フェラーリは、もともと自動車レース活動を目的に設立されたため、基本的にはレーシングカーと高級スポーツカーしか製造しない自動車メーカーとして世界的に有名です。現在でもF1世界選手権レースなどに参戦していますから、ご存じの方も少なくないでしょう。
さて、デイトナSP3はフェラーリがフェラーリの歴史を讃えるべく2018年からスタートさせた、21世紀の最新技術と往年のレーシングカーの美しさを兼ね備えたスポーツカーのシリーズである“Icona(イコナ)”シリーズの1台で、1950年代のオープントップ・レーシングカーにインスピレーションを得たモンツァSP1およびモンツァSP2に続く第3弾となるスポーツカーです。世界限定わずか599台で、2021年11月に正式発表されるや即座に完売となってしまいました。ちなみに“イコナ”とは、イタリア語で“アイコン=偶像/あこがれや崇拝の的となるもの”を指し、「過去のフェラーリのアイコン的な名車のパッションを現代風に甦らせる」ということを目的としています。
また、デイトナSP3という車名は、宿敵フォードのホームサーキットであるアメリカ、フロリダ州のデイトナ・インターナショナル・スピードウェイで開催された、1967年の国際スポーツカー選手権の初戦となるデイトナ24時間レースでフェラーリが1-2-3位を独占した出来事に由来しています。このレースが行なわれた1960年代は、今ではスポーツカー・レースの黄金期として知られ、多くのエンジニアやデザイナーが時代を超えて手本としてきました。デイトナSP3のデザインは、この年代の330 P4や350 Can-Am、512 Sといった往年のフェラーリのレーシングカーのデザインにインスピレーションを得ているそうです。
1960年代のレーシングカーのスタイリングにオマージュを捧げているとは言え、間違いなく現代のスポーツカーとしてのデザインを主張しています。ラップアラウンド式のウィンドスクリーンを先端とするキャビンは、官能的な彫刻に埋め込まれたドームのように見え、その両側にしなやかなフェンダーが大胆に立ち上がっています。そのフロントフェンダーはフェラーリの往年のスポーツプロトタイプカーが参考にされています。そしてもうひとつの重要な要素が蝶の羽根のように開くバタフライドアです。ここにはエアボックスが内蔵されており、サイドに搭載されているラジエーターへと空気を導きます。また特徴的なドアの表面形状はフロントタイヤから出る気流の制御にも役立てられますが、このデザイン処理も往年のレーシングカーを強く想起させるものです。
デイトナSP3のコクピットもまた、往年のレーシングカーを意識したものとなっています。たとえばダッシュボードはシンプルで機能的でありながら、極めて現代的なイメージにまとめられています。ステアリングホイールは「手はステアリング・ホイールに、目は路上に」の哲学を具現化しており、タッチコントロール式のため、ドライバーは手を動かさずにデイトナSP3の機能の80%を操作でき、16インチの曲面HDスクリーンにすべての情報が即座に表示されます。また、かつてのレーシングカーでは、シートが直接シャシーに装着されて一体化がはかられていましたが、それを現代的な解釈によって再現し、周囲のトリムとのシームレスな質感の連続性を作り出しています。シートとドライバーの運転ポジションの調整はシートを前後させるのではなく、ペダルを組み付けたペダルボックスの方を動かすことで行ないます。
デイトナSP3のエンジンは、812コンペティツィオーネに搭載された強力なV型12気筒エンジン、F140HB型をベースに、搭載位置をミッドリアに移し、吸排気レイアウトと流体力学上の効率性を最適化して作られた、F140HC型になります。これはフェラーリがこれまでに作り上げた中で最もパワフルなエンジンで、驚異の最高出力618kW(840 ps)を発生するとともに胸躍るサウンドを誇ります。9500 rpmという最高回転数と、そこまで素早く高まり続けるトルクカーブによって、乗員は無尽蔵のパワーと加速が味わえます。特に、エンジンの重量と慣性の削減に惜しみない注意が注がれ、スチールより40%軽量なチタン製コンロッドを採用したほか、ピストンにも異素材が活用しています。また、ピストン・ピンにはダイヤモンド・ライク・カーボン(DLC)コーティングが施され、摩擦係数を下げて、パフォーマンスや燃費を向上させています。クランクシャフトはバランス取りが行なわれたほか、3%軽量化されています。また、エンジンに組み合わされる7速ギヤボックスも、専用設計とすることで一段とクイックになり、操作感も向上しています。
シャシーとボディシェルは、いずれもすべてカーボン・コンポジット製です。使用されたのは航空機用コンポジットで、なかでもT800カーボン・ファイバー製のタブは、各部分の炭素繊維量を正確にするため、ハンド・レイアップ法で作られています。ドアとシルに使われたT1000カーボン・ファイバーは、側面衝突に対して理想的な特性を持ち、コクピットの保護性能で不可欠な役割を果たしています。最も衝撃を受けやすい部分には、高い強度を誇るケブラーも使われています。これはF1マシンから直接取り入れられた技術で、極めて軽量で構造的な重量剛性比に優れています。この技術がロードカーで使われたのはラフェラーリ以来となります。また、車重を最低限にまで徹底的に削減し、重心を下げ、コンパクトなアーキテクチャーを実現するため、シート・ストラクチャーなど複数のコンポーネントをシャシーと一体化しています。
空力の研究と設計では、インスピレーションの元となったレーシングカーたちと同様に、純粋にパッシブ式の空力ソリューションのみを活用して効率を最大化することに力が注がれました。アンダーボディから低圧の空気を抜き出すチムニーなど、前例のないソリューションにより、デイトナSP3は、可動式の空力デバイスを使用せずに、フェラーリ史上最も空力効率に優れたモデルとなっています。こうした革新的技術を巧妙に取り入れたことで、0-100 km/h加速2.85秒、0-200 km/h加速わずか7.4秒を達成。胸躍るパフォーマンス、究極のセットアップ、そして聞く者を陶酔させるV12サウンドが、まったく類のないドライビング・プレジャーをもたらします。
『トミカ』の『No.46 フェラーリ デイトナ SP3』は、このフェラーリのスペシャルなスーパースポーツカーの、見事に彫り込まれた肉感的なフォルムとシャープなラインが交錯するデザインを上手く再現しています。ぜひ1台、あなたのコレクションにも加えてみてはいかがでしょうか?
■フェラーリ デイトナ SP3 主要諸元
全長×全幅×全高(mm):4686×2050×1142
ホイールベース(mm):2651
トレッド(前/後・mm) :1692/1631
車両重量(kg):1485
エンジン形式:F140HC型 65°V型12気筒
排気量(cc):6496
最高出力:618kW(840ps)/9250rpm
最大トルク:697Nm(71.1kgm)/7250rpm
トランスミッション:7速AMT
サスペンション(前/後):ダブルウィッシュボーン/マルチリンク
ブレーキ(前後) :ベンチレーテッドディスク
タイヤ:(前) 265/30ZR20 J9.5 (後)345/30ZR21 J12.5
■毎月第3土曜日はトミカの日!
毎月第3土曜日は新しいトミカの発売日です。2023年4月の第3土曜日には、上でお伝えしているように、それまでの『No.46 マツダ3』に代わって『No.46 フェラーリ デイトナ SP3』が登場します。なお、『No.46 フェラーリ デイトナ SP3』には、初回出荷のみの特別仕様(特別色)もあります。また、それまでの『No.57 マクラーレン 720S』に代わって『No.57 アート引越センター トラック』が登場します。