マイナーチェンジで内外装衣装や装備が大幅進化「フォルクスワーゲン・ポロ」【最新コンパクトカー 車種別解説 VOLKSWAGEN POLO】

22年のマイナーチェンジでプラットフォームの変更に伴い、すべてが大幅にアップグレードを果たした「フォルクスワーゲン・ポロ」。3ナンバー枠ではあるものの、最小回転半径は5.1mと国産車コンパクトカーと変わらない。取り回しのしやすさは見た目からは意外とも思える快適さを感じられるだろう。メーターパネルはアナログ式からデジタルに変更され、スマホのワイヤレス充電器も装備、一気に現代のニーズに合うモデルになった。
REPORT:安藤 眞(本文)/山本晋也(写真解説) PHOTO:平野 陽 MODEL:菅原樹里亜

新世代の1.0ℓエンジン 力強い加速やボディ剛性も◎

かつて「コンパクトカーのメートル原器」と呼ばれたのは、フォルクスワーゲン・ゴルフだが、世代を重ねるごとにボディサイズが大きくなり、装備も豪華になって上級移行してしまった。代わってそのポジションを担うのがポロである。特に2018年にフルモデルチェンジした現行モデルは、プラットフォームにMQBを使用。上級移行したゴルフと同じフィジカルをベースに仕立てられており、それだけで基本性能が高いというわけだ。

エクステリア

エントリーグレードはスチールホイール+キャップの足元だが、グレードが上がるにつれ、15インチ、16インチ、17 インチのアルミイールとなるのは識別点のひとつ。最小回転半径は5.1m。

Bセグメントのハッチバック車というと、国産車なら5ナンバーサイズが当たり前だが、ポロは全幅が1750㎜あるため3ナンバー。全長も国産同クラス最長のマツダ2より20㎜長い4085㎜ある。とはいえ最小回転半径は5.1mと国産車同等なので、乗ってしまえば大きさは感じないと思う。グレード展開は標準車系4種類+スペシャルモデル「GTI」の合計5種類。標準車系は全グレードが1..0ℓ直列3気筒ターボ、「GTI」は2.0ℓ直列4気筒ターボを搭載。標準車系は最高出力95㎰/最大トルク175Nmと1.8ℓ自然吸気エンジン並みのパフォーマンスを発揮。「GTI」は最高出力207㎰/最大トルク320Nmに達するハイパワーが持ち味だ。

乗降性

標準車系は22年6月のマイナーチェンジでエボ仕様にアップデートされている。吸気弁遅閉じのミラーサイクルと、ガソリンエンジンではまだ少数派のバリアブルジオメトリーターボを組み合わせ、燃費の改善とターボラグの縮小を図ったものだ。内外装や装備類も大幅なアップデートを実施。例えば「スタイル」以上のヘッドランプはハイビーム用のLEDを格子状に並べ、対向車や先行車のいる部分だけを減光する〝IQ.LIGHT〞を標準装備。テールランプも兄貴分ゴルフを思わせる大きな仕様に変更されている。

インストルメントパネル

全体的にはオーソドックスなデザインのインパネだが、10.25インチディスプレイを使ったデジタルメーターはコンパクトカーとしては贅沢かつ最新トレンドといえる。運転席からの視界は広いが、ノーズ位置を把握するのは難しい印象だ。

内装ではアナログ式だったメーターパネルをフルデジタルに換装。エントリーグレード以外には、純正ナビの画面をメーターパネルにも表示できる〝デジタルコクピットプロ〞が標準装備される。スマホのワイヤレス充電器も全グレードに標準装備されるなど、装備面でもゴルフに遜色はなくなっている。

居住性

1.0ℓエンジンの動力性能は、普通のアクセルワークをしている分には〝必要十分〞にしか感じられない。これはおそらく、燃費を優先したシフトスケジュールやスロットル応答にしていることと、早閉じミラーなので吸気の応答が微妙に遅れるためだ。アクセルペダルを深めに踏めば、DCTが素早くダウンシフトして、力強い加速を提供してくれる。

うれしい装備

パンク修理キットを標準装備するが、フロア下にはスペアタイヤを収めるスペースがありアンダートランク的に活用できる。三角表示板がテールゲート内側に格納できる空間の有効利用もうれしい。
月間販売台数   447台(22年11月〜23年4月平均値)
現行型発表    18年3月(マイナーチェンジ 22年6月/「GTI」追加 22年11月
WLTCモード燃費  17.1km/l ※「TSI 」系

ラゲッジルーム

乗り味はドイツ車らしく、ガッシリとしたボディ剛性が好印象。スポーツサスを装備する「R-ライン」の硬めの脚も、不快感なくしっかり受け止める。ただし街乗りを重視するなら、65タイヤを装着する「アクティブ」がベスト。55タイヤを装着する「スタイル」は、街乗りからワインディングまでオールラウンドプレイヤーだ。「R-ライン」は脚が勝ち気味なので、レスポンスとパワーに不満を覚えるかもしれない。とはいえ「GTI」は、一般ユーザーには〝やり過ぎ感〞がある。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.150「2023-2024 コンパクトカーのすべて」の再構成です。

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