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スバルのニューモデルである「レイバック」は、2022年にデビューした「クロストレック」同様に独立した車名を戴いてはいるが、クロストレックがインプレッサをベースにしているのと同様にレヴォーグをベースにしているのはご存知のとおり。いずれもベースモデルをオフロードテイスト、アウトドアテイスト色を強めたクロスオーバーSUVと言えるだろう。
ただ、レイバックはクロストレックやアウトバックまでオフロード色を高めておらず、ヘビーデューティな印象を強くする加飾も前二車よりも控えめになっている。むしろ、セダンボディのWRX S4の方がホイールアーチのクラッディングなど、そういった面が強いデザインに感じられるくらいだ。
そんなスバルのクロスオーバーSUV3モデルを多方面から比較してみよう。なお、FFモデルもラインナップするクロストレックについては、もちろん4WDモデルで比較している。なお、アウトバックは改良前のモデルが対象。
エクステリア……レイバックのSUVテイストはやや控えめ
当然ながらレイバックのエクステリアはレヴォーグがベースであるのだが、インプレッサとクロストレックの関係に比べるとその違いはあまり大きくない。フロントマスクこそ違いは顕著だが、リヤやサイドについてはほとんど変わっていないのではないかと思えるほど。
サイドビューの大きな違いはホイールアーチのクラッディングだが、これもクロストレックやアウトバックどころかWRX S4よりも控えめなものになっている。レヴォーグクロスが出るとすれば、WRX S4のクラッディングを使うのではないかと思われただけに意外なデザインではある。
そういう意味ではよりSUVとしての立ち位置を明確にしているクロストレックやアウトバックとのキャラクターの違いを表しているのかもしれない。
余談ではあるが、アウトバックはクロストレックやレイバックと違い、一応ではあるがレガシィの名前が残っている。
ボディサイズ……わかりやすく大・中・小
全長は、
クロストレック:4480mm
レイバック:4770mm
アウトバック:4870mm
とサイズの違いがわかりやすい。写真のとおり、クロストレックのリヤオーバーハングの短さが数字に表れている。
一方でホイールベースが、
クロストレック:2670mm
レイバック:2670mm
アウトバック:2745mm
となっており、クロストレックとレイバックのホイールベースは同値となっており、やはりリヤオーバーハングが全長の違いになっている。
全幅は、
クロストレック:1800mm
レイアバック:1820mm
アウトバック:1875m
となっており、レイバックは中間よりクロストレック寄りの車幅だ。ホイールアーチのクラッディングによりレヴォーグからは+25mmだが、取り回しに大きな違いはないだろう。
全高は、
クロストレック:1575mm(ルーフレール装着車+5mm)
レイアバック:1570mm
アウトバック:1675m
となっており、やはりクロストレックとレイバックは近い数値で、僅差とはいえ最も全高の低いレイバックのキャラクターを表しているようだ。
しかし一方で最低地上高となると、
レイバック:200mm
クロストレック:200mm
アウトバック:213mm
で、不整地走行を考慮した数字は確保されている。ちなみに、フォレスターの最低地上高が220mmなので、200mmは十分な数値と言えるだろう。
車名 | クロストレック | レイバック | アウトバック |
全長 | 4480mm | 4770mm | 4870mm |
全幅 | 1800mm | 1820mm | 1875mm |
全高 | 1575mm(+5mm) | 1570mm | 1675mm |
ホイールベース | 2670mm | 2670mm | 2745mm |
最低地上高 | 200mm | 200mm | 213mm |
車両重量 | 1560kg(Limited) | 1600kg | 1690kg(Limited EX) |
レイバックは全長以外はほぼクロストレックに近い数値となっており、やはり際立つのはアウトバックが全体的にひと回り大きい。最小回転半径もクロストレックとレイバックが5.4mなのに対しアウトバックは5.5mと、少なからずボディサイズの違いが取り回しに影響する。逆に、レイバックはクロストレックの取り回しで余裕の動力性能と荷室が手に入るわけだ。
パワートレイン……ターボがハイブリッドか
レイバックに搭載されるエンジンはCB18型1.8L水平対向4気筒DOHCインタークーラーターボ。可変バルブタイミングの「AVCS」に直噴ターボの「DIT」だ。また、アウトバックに搭載されるエンジンも同様。177ps/30.6kgmと最高出力は控えめの数値になっている。
配管の取り回しに若干の違いが見られるが、レイアウトなどはほとんど同じ。意外なのがレイバックのボンネットにダンパーが採用されていること。車格的にはアウトバックの方が上だが、レヴォーグの開発年次がアウトバックより後だからだろうか。
クロストレックはFB20型2.0L水平対向4気筒DOHC。AVCSで直噴は同様だが、こちらはNAエンジン。その代わりというわけではないが、モーターを搭載したハイブリッドとなっている。出力はエンジンの145ps/19.2kgmとモーターの13.6ps/6.6kgm。
3車種ともトランスミッションはリニアトロニック(CVT)だが、マニュアルモードはクロストレックが7速、レイバックとアウトバックは8速となっている。
燃料タンク容量もクロストレックが48Lのところ、レイバックとアウトバックは63Lと共通。燃料は全車レギュラーガソリンとなっており、CB18ターボはターボエンジンながらレギュラーガソリンなのがありがたい。
車名 | クロストレック | レイバック | アウトバック |
エンジン | FB20型 水平対向4気筒 DOHC16バルブAVCS直噴 | CB18型 水平対向4気筒 DOHC16バルブAVCS直噴 インタクーラーターボ | CB18型 水平対向4気筒 DOHC16バルブAVCS直噴 インタクーラーターボ |
排気量 | 1995cc | 1795cc | 1795cc |
ボア×ストローク(mm) | 84.0×90.0 | 80.6×88.0 | 80.6×88.0 |
圧縮比 | 12.5 | 10.4 | 10.4 |
最高出力 | 145ps/6000rpm | 177ps/5200-5600rpm | 177ps/5200-5600rpm |
最大トルク | 19.2kgm/ 4000rpm | 30.6kgm/1600-3600rpm | 30.6kgm/1600-3600rpm |
燃料タンク容量 | 48L | 63L | 63L |
燃料種類 | レギュラー | レギュラー | レギュラー |
モーター | MA1・交流同期電動機 | ー | ー |
モーター出力 | 13.6ps | ー | ー |
モータートルク | 6.6kgm | ー | |
トランスミッション | リニアトロニック(CVT) | リニアトロニック(CVT) | リニアトロニック(CVT) |
マニュアルモード | 7速 | 8速 | 8速 |
駆動方式 | AWD (FF) | AWD | AWD |
タイヤとホイールのサイズは、
クロストレック:225/55R18(Limited)/225/60R17(Touring)
レイバック:225/55R18
アウトバック:225/60R18
となっており、クロストレックはグレードによってサイズが異なるが、レイバックとアウトバックはワンサイズ設定だ。クロストレックのLimitedグレードとレイバックは同サイズとなっている。
サスペンション形式はフロントにストラット、リヤにダブルウィッシュボーンという組み合わせは3車種共通で、13.5:1というステアリングギア比も同じだ。ブレーキも3車種とも前後ベンチレーテッドディスクを採用している。
また、クロストレックのみFFモデルがラインナップされるのが大きな違いとなっている。
車名 | クロストレック | レイバック | アウトバック |
サスペンション | 前:ストラット 後:ダブルウィッシュボーン | 前:ストラット 後:ダブルウィッシュボーン | 前:ストラット 後:ダブルウィッシュボーン |
タイヤ・ホイールサイズ | 225/55R18(Limited) 225/60R17(Touring) | 225/55R18 | 225/60R18 |
ステアリングギア比 | 13.5:1 | 13.5:1 | 13.5:1 |
最小回転半径 | 5.4m | 5.4m | 5.5m |
ブレーキ(前後) | ベンチレーテッドディスク | ベンチレーテッドディスク | ベンチレーテッドディスク |
インテリア……縦型ディスプレイで共通性のあるコックピット
センターコンソールに縦型の11.6インチセンターインフォメーションディスプレイ&インフォテインメントシステムを配置するのは共通で、各部の意匠にも共通性があある。さらに、その他の操作系インターフェースも似通っており、スバル車としての統一感がある。場所が大きく異なるわけではないが、シフトレバーまわりのスイッチ類の配置が若干異なっているくらいか。
また異なる点としては、レイバックはステアリングはDシェイプであることと、何よりスバルのSUVとしては唯一「X-MODE」が用意されていない点が挙げられる。
センターコンソールに配置されるドリンクホルダーは、レイバックとアウトバックが左右並列配置。クロストレックがオフセットした前後配置(助手席側が左前、運転席側が右後)となっているのも、些細ではあるが3車の違いではある。
レヴォーグの流れを組むだけあって、レイバックのシートはスポーティだ。さらに、クロストレックとレイバックはブラック/グレー系であるのに対し、レイバックはトリコット/ファブリックでも本革でもブラックとアッシュの2色使いとなっており、他2車種とかなり印象が異なる。いずれも10way(助手席は8way)パワーシートが標準ないしオプションで用意され、本革シートの設定もある。
それぞれ十分な室内空間を確保しているものの、リヤシートはボディサイズが大きく影響してくる。特にリヤクォーターウィンドはボディサイズと比例しており、明るさや開放感はアウトバックが最も有利だ。
サイドシルのステップを広く取り、足の出し入れをしやすくしているのは共通だが、クロストレックとアウトバックはルーフへの積載も考慮してステップに滑り止め加工を施しているが、レイバックにはそのような処理は施されていないのがわかる。
ラゲッジルーム……使いやすさはレイバックが最良?
ボディの全長を考えればラゲッジルーム容量ではアウトバックが圧倒的に広いのかと思いきや、レイバックが意外と検討している。特に、床下のサブトランク容量はアウトバックよりも大きく、トランクルームだけでは及ばないもののサブトランクも含めた全体容量ではアウトバックと同程度の容量を実現しているという。
リヤシートの分割可倒方式は、クロストレックとアウトバックが6:4の二分割なのに対し、レイバックでは4:2:4 の3分割となっており、より多彩なラゲッジルームアレンジが可能になっている。
クロストレックとアウトバックはトランクスルーにもなっていないので、センターのみ倒して長物を積んで4名乗車という使い方はレイバックでしかできない。
荷室サイズと容量は以下の通りだが、200mmの最低地上高を確保しながら、床から荷室までの高さはアウトバックはもちろんクロストレックよりも低い。サブトランクを含めた容量や荷室のサイズ、リヤシートの分割可倒方式など考えると3車の中ではレイバックが一番ラゲッジルームの使い勝手が良いのかもしれない。
車名 | クロストレック | レイバック | アウトバック |
荷室長 | 814mm | 1070mm | 1086mm |
開口幅 | 1042mm | 1100mm | 1149mm |
荷室高 | 708mm | 771mm | 815mm |
容量 | 315L | 492L+サブトランク69L | 522L+サブトランク39L |
荷室までの高さ | 780mm | 690mm | 715mm |
気になるグレードと価格は……?
レイバックは11月24日発売予定で、先行予約受付中。今のところ発表されているグレードは「Limited EX」のみで、価格は399万3000円と言われている。マイナーチェンジされたレヴォーグのC18B搭載グレードが、360万円(Smart Editon EX)、380万円(GT-H EX)、420万円(STI Sport EX)、435万円(STI Sport EX Black Interior Selection)と言われているので、STI SPORTは別格としてレヴォーグの1.8L系としては最上位モデルという位置付けといったところか。
クロストレックはAWDモデルに限って見て、上位グレードの「Limited」が328万9000円、標準グレードの「Touring」が288万2000円。
アウトバックは「Limited EX」が440万円、「X-BEAK EX」が425万7000円とグレードの価格差異が少ないが、これは上位/標準というわけではなくキャラクターの違いといったところ。
レイバックの400万円切りという価格設定は、やはりこの3車種の中間にあたる。
車名 | グレード | 価格(税込) |
クロストレック | Touring | 288万2000円 |
クロストレック | Limited | 328万9000円 |
レイバック | Limited EX | 399万3000円 |
アウトバック | X-BEAK EX | 425万7000円 |
アウトバック | Limited EX | 440万円 |
なお、「Limited」はスバルのSUVでは共通で使われるグレード名で、特別仕様車を除けば上位グレード的な位置付け。クロストレック(Limtied)との価格差を考えると、レイバックにも300万円台後半(360万円〜370万円程度)の「Touring」のような標準グレードが今後追加される可能性もあるのだろうか? 逆にレヴォーグ同様にSTI SPORTが追加される可能性……スバルの傾向としてはこちらの方が高そうだ。
※レイバック、レヴォーグの価格は編集部調べ
※アウトバックの価格は2023年9月の改良後のもの