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サスの構造はスイフトスポーツそのもの?
前後のサス形式は、アルト系に共通する。しかし4代目の販売終了から15年、その間には当然の進化がある。フロントは、L型状のロワーアームを用いたストラット式だ。
この構成は、ZC系スイフトスポーツと似る。以前のI型アーム式よりも支持点数が増えることで、スタビライザーも本来の機能に特化させることができる。
そしてボディとは別部品のサスペンションフレームも設け、そこにL型アームとステアリングギヤボックスが取りつけられることで操舵感が高まり、車体に振動も伝えにくいという利点も生まれる(4代目まではボディに直付けだった)。
いっぽうリヤは、FFがI.T.L.式からトーションビーム式になった。伝統が途絶えたが室内を広く、床を低くとなると、車両寸法に限りのある軽自動車では最良だろう。でもトレーリングアームのボディ取り付け部が湾曲していたり、左右のトレーリングアームをつなぐアクスルビームにスタビライザーを内蔵したり、これらもスイフトスポーツ風だ。かたや4WDはI.T.L.式を受け継ぐ。
リヤデフを置く、ドライブシャフトを左右に這わせる。それにはボディ形状から、この上ない仕組みといえそうだ。
サスの専用はKYB製ショックアブソーバー
36ワークスの車重、全高、最低地上高はターボRSの数値そのものだ。
車高に関わるコイルスプリングは、ターボRSと同仕様である。加えて、サスアームの支持部に組まれるゴムブシュシュもターボRSが生かされる。ターボRSの段階で、スプリングの特性やゴムブッシュの硬度が相応の仕様になっていたのだ。これは新車発表時、正式にメーカーから回答を得ている。
36ワークス専用は、赤色のKYB製ロゴが目立つショックアブソーバーだ。低速域の減衰力特性が、ターボRSとは丸きり異なる。操舵でのレスポンス、ロールスピードと4輪の接地性が念入りにチューニングされている。専用ホイールのリム幅、パワステコントローラーの専用制御マップも相まって、すばしっこく走れる。
それと、36ワークスとターボRSには、フロントストラットバーがついている。太いシャフト径は、いかにもボディ剛性に効きそうだが、エンジンルームを飾る面も意識した仕上げとの話だ。
リム幅の広い専用ホイールがタイヤを生かす
36ワークスの新車装着タイヤはPOTENZA RE050Aの165/55R15。ターボRSからの流れだ。装着方向に指定があり、スポーツ性の点で純正採用も多い銘柄だ。
対になるホイールは、ターボRS用が8本スポークでブラック塗装に切削加工。36ワークス専用は、10本スポークでブラック塗装の単色。よく見てほしいのは、タイヤのショルダーである。目を凝らすと形状の張りが異なり、36ワークスは極端にいうと引っ張りタイヤ風なのだ。
ターボRS用はサイズが15×4.5J 。いっぽう36ワークス専用は15×5.0J でリム幅が1/2J広い。タイヤの横方向をきっちり使い、ハンドルを切っときの手応えを高め、そして旋回時の安定性をも狙った。巧みだ。
36ワークスはもっと軽くつくれた?
36ワークスの車重は、FF・5MTが670㎏。軸重は前420㎏/後250㎏。ターボRSのFF・5AGSも670㎏。ただし軸重は前430㎏/後240㎏。で、36ワークスではFF・5MTの前軸重がFF・5AGSより20㎏軽い。
すなわちターボRSとの軸重差から見るに、36ワークスのFF・5MTはもっと軽くつくれた? かつてAA34SカルタスGT-iに、軽量グレードのGT-i Aが存在した。そういうベース車も廉価でラインアップされたらうれしいかな。
HA36Sは無双のアルト・スポーツセダン
過去の過激さでも鳴らしたRS名のグレード。快適さも掲げたieグレード。両モデルの長所をかけ合わせた、無双のアルト・スポーツセダンが36ワークスといえる。
低速から力がみなぎり、それに見合うボディ系の性能で軽快に走れる。5ドアゆえの実用性もある。かつてない個性は、新しいワークスの基軸となったのだ。
数えて9代目。アルトのフルモデルチェンジが控えているという。同時発表とはいかなくても、遅れて6代目ワークス登場となるのか。それとも、5代目のHA36S型でワークスは打ち止めか。それはメーカーの機密事項だ。俺は答えを知るよしもないが、理想とするワークスの商品力なら大きな声でいえる。
軽量・低重心ボディ&フルエアロチューン、強化型R06系エンジン、高流量タービン&前置きインタークーラー、6速クロスMT、ローダウンスポーツサス、175/50R15タイヤ、4輪ディスクブレーキ等々。
スイフトスポーツ張りにつくり込まれ、そしてワークスの原点に回帰した、軽カー初尽くしのWORKS誕生を夢みて待つぞ。やらまいか、だ。スズキさん!
現行5代目/HA36Sアルト ワークス 2015年12月~
仕様・諸元(一部) 駆動方式:2WD(FF) :フルタイム4WD 型式(FF):DBA-HA36S(2015年12月~2020年10月)/4BA-HA36S(2020年10月~) (4WD):DBA-HA36S(2015年12月~2020年10月)/4BA-HA36S(2020年10月~) エンジン:R06A型DOHC4バルブ直列3気筒インタークーラー付きターボ ボア×ストローク:64.0mm×68.2mm 総排気量:658cc トランスミッション:5MT/5AGS 全長×全幅×全高:3395mm×1475mm×1500mm ホイールベース:2460mm トレッド:フロント1295mm/リヤ1300mm(4WD 1290mm) 車両重量:2WD 5MT 670㎏/2WD 5AGS 690㎏/4WD 5MT 720㎏/4WD 5AGS 740㎏の間隔調整? 乗車定員:4名 タイヤ:165/55R15 車両規格:平成10年10月施行 現行新規格 ※各数値はHA36S初期モデルを掲載。2WD(FF)の5AGSは新車販売を終了