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Joby AviationのeVTOLとは?
Joby Aviation(以下Joby)は、トヨタが出資・支援するベンチャー企業で、2009年に設立。本社は米国カリフォルニア州サンタクルーズ。CEOは創業者でもあるジョーベン・ビバート氏だ。
eVTOLは、短距離・多頻度運航用に設計されており、都市圏にて通勤者や出張者、旅行者によるオンデマンド利用が見込まれる空飛ぶタクシー市場のニーズに適している。また、ヘリコプター、ドローン、小型飛行機の要素をもち、信頼性、環境性(ゼロ・エミッション)、静粛性などに優れている。運用コスト、メンテナンスコストも低く抑えることができ、強化された安全機能も備えている。また、世界中のベンチャー企業や航空機メーカーのみならず、自動車メーカーが開発に鎬を削る分野でもある。
トヨタは、2019年にJobyと協業を開始し、これまでに8.94億ドル(約1370億円)を出資。2023年には、Jobyに対して電動化関連部品の供給も開始している。
11月2日、トヨタ東富士研究所で報道陣を集めて開催された「Joby-Toyota Japan Premiere Flight」は、じつは悪天候のため、実際の飛行をお披露目することは叶わず。前日のテスト飛行の様子がスクリーンに映し出された。これがアメリカ以外での初飛行となったわけだ。
JobyのeVTOLは、電動で低騒音かつゼロエミッションであると同時に、最大航行距離約100マイル(160km)超、最高速度200mph(約320km/h)で航行可能な5人乗り仕様だ。
今回、雨天のため飛行できなかったのは、JCAB(高度交通省航空局)から承認を得ていたフライトルールの関係で雲が低く垂れ込めていたからで、ジョーベン・ビバートCEOは「日本でオペレーションが始まったら、雨でも雲が出ていても飛べるようにします」と語っていた。
現在、JobyはFAA(アメリカ連邦航空局)による同航空機の型式証明の取得を進めている。また、JCABにも型式証明を申請している。FAAが型式証明を審査中のeVTOL機をJCABでも審査するケースは今回が初めてだという。
また、JobyはANAホールディングス、朝日航洋株式会社(トヨタ自動車の株保有率99.9%)ともパートナーシップを結んでいる。
初飛行は「非常に静か」富士山バックの飛行シーンに感動
前日のテスト飛行を見守ったという中嶋裕樹副社長は「非常に静かだった」と語っていた。eVTOLの前に通常のヘリコプターが飛んだが、ヘリコプターと比較して相当に静粛性が高いという。これが都市圏での空飛ぶタクシーを実現できそうな要因のひとつだ。
eVTOLの運用が始まれば、東京・築地から近くにウーブンシティがある東富士研究所までわずか25分の飛行で飛べるという。
富士山をバックに飛行するeVTOLを見た豊田章男・トヨタ自動車会長は、「カッコいいですね。富士山には特別な思い入れがある。そこにJOBYが飛んでいる姿はすごいですよ。世の中の生活が変わります。
ジョーベン・ビバートCEOから豊田会長へサプライズのプレゼントが贈られた。eVTOLのプロペラのブレードである。このブレードは、これまで15年間の開発の賜で、JobyのeVTOLの静粛性が優れている理由のひとつだという。
Jobyは2025年にはUAE・ドバイでの旅客営業の開始を見込んでいる。また将来的には日本でのサービスもありえそうだ。
「じつは日本はヘリが離着陸できるヘリポートの数が非常に多い。ビルの屋上にはヘリポートがある。いまは緊急用だが将来的にはこれが使えるようになれば」とジョーベン・ビバートCEOは話していた。