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■オフ&オンロードで優れた走りを目指した2代目フォレスター
2002(平成14)年2月12日、スバルのフォレスターが5年ぶり初のモデルチェンジで2代目に移行した。先代のキープコンセプトで基本メカニズムも踏襲された一方で、オフロードだけでなくオンロードでも優れた走りを目指して、ポテンシャルアップが図られた。

世界最速SUVの称号を手にしてフォレスターデビュー

フォレスター誕生の2年前、1995年開催の東京モーターショーで「ストリーガ」というコンセプトモデルが公開された。角張ったワゴンボディで、キャッチフレーズは“マルチスポーツ4WD”で、当時人気を獲得していたトヨタ「RAV4」やホンダ「CR-V」とは一線を画するクロスオーバーSUVだった。

モーターショーで好評を得たストリーガは、ついに1997年にフォレスターと名乗って市場に投入された。ストリーガから引き継いだ角張ったボクシーなフォルムで、当時のカタログで“あらゆるシーンでの使いやすさとあらゆる道での爽快な走りを追求、乗用進化型SUV”とアピールしていた。

「インプレッサ」のプラットフォームをベースに、パワートレインは250psを発揮する2.0L水平対向4気筒SOHCターボエンジンとフルタイム4WDを組み合わせたスバルが誇る“シンメトリカルAWD”。ハイパワーながら低重心によって、安定した操安性と力強い走りが自慢だった。
その実力を実証するように、発売前に24時間連続走行で世界最高速度233.341km/hと平均速度180.82km/hを記録して、“世界最速SUV”の称号を獲得。他のSUVとは一味違う、力強い走りと高いオフロード性能が、オフロード好きの間で大人気となった。
実用性重視のブラッシュアップを図った2代目

2002年2月のこの日にデビューした2代目は、先代からのキープコンセプトで基本メカニズムも踏襲された一方、開発コンセプトは“BEST of BOTH(オフロードでの十分な走破性とオンロードでの優れた走行性能を合わせ持つ)”であり、クロスオーバーSUVとしてポテンシャルを上げることが掲げられた。

最低地上高は200mmを確保して、運転のしやすさと乗降性の向上を狙ってヒップポイントを地上から600mmの位置に設定。また全長を10mm短縮して取り回し性を向上させ、ボディ剛性を高めながら軽量化も実現。また、スタイリングは先代を踏襲した躍動感ある面構成で、インテリアはスポーティな空間が演出された。

パワートレインは、最高出力137psを発揮する2.0L水平対向4気筒SOHC&+ターボエンジン(220ps)の2機種と、5速MTおよび4速ATの組み合わせ、当然シンメトリカルAWDを採用。ターボエンジンの最高出力が先代よりも30psほど低下しているのは、実用域のトルクを上げる低速重視のセッティングに変更されたため。

車両価格は、4速ATの標準グレードで185万円(NA)/229.5万円(ターボ)に設定。当時の大卒初任給は、19.7万円程度(現在は約23万円)だったので、単純計算では現在の価値で216万円/268万円に相当する。
2代目フォレスターも、発売後3000台/月を超える人気を獲得、スバルらしいSUVとしての地位を確固たるものとした。
都会派志向のフォレスター・クロススポーツを追加
オフロードとオンロードでの走りを極めることを目標にした2代目だが、RAV4やCR-Vに較べれば、まだオフロード色の強かったフォレスター。2代目デビュー8ヶ月後の10月には、都会派志向の「フォレスターCROSS SPORTS(クロススポーツ)」が投入された。

専用ローダウンサスペンションを組み込んで最低地上高を170mmに下げ、前後バンパーやサイドガーニッシュ、サイドシルなどを滑らかに仕立て、さらに全高も1590mから1550mmに下げて専用のアルミ製ルーフレールを装着するなどして都会的な雰囲気を漂わせた。
一方インテリアについても、シルバー調のニット素材とパンチングを施したスウェード調の皮革素材の専用シート表地やMOMO製本革巻きステアリングなどを装備するなどしてスポーティさが演出された。
その後も、2004年には265psを発揮する2.5Lターボを搭載した本格スポーツ「STiバージョン」を追加するなど、フォレスターはバリエーションを増やしながら進化を続けている。
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フォレスターも徐々に都会的なイメージを持つSUVへと変化しているが、数あるクロスオーバーSUVの中ではスバルらしくタフで力強いイメージがある。シンメトリカルAWDを軸とする優れた走行性能は、他とは一線を画する大きな魅力であり、根強い人気の要因でもあるのだ。
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