ホンダのフラッグシップとしての矜持「ホンダ・アコード」【最新国産新型車 車種別解説 HONDA ACCORD】

ホンダの世界戦略車の一翼を担い、今やフラッグシップモデルとしての存在感を放つ「アコード」。最新の全方向安全運転支援システムを装備し、ソフト面でもGoogleサービスやセキュリティまでスキのないサポートで、ユーザーの安心感と安全性を高めている。洗練されたスタイリングと爽快な走行性能はその名前の歴史にふさわしい余裕を見せている。
REPORT:島﨑七生人(本文)/塚田勝弘(写真解説) PHOTO:中野幸次 MODEL:星香

ホンダ随一の世界戦略車 満を持しての日本市場投入

アコードの歴史は、1976年5月、シビックより上級に位置付けられるモデルとしてまずハッチバックが登場したことから始まった。翌77年10月になると、よりフォーマルな3BOXのサルーンを追加。さらに81年9月には2代目へフルモデルチェンジ。この世代のサルーンが、日本の乗用車では初めてアメリカ・オハイオ州メアリーズビル工場で現地生産されるクルマとなった。以来、アコードはホンダにとって北米、中国を中心に重要な世界戦略車のひとつとなっている。

エクステリア

クーペのような流麗なルーフラインを描き、前後フェンダーの膨らみなどによるワイド&ローの安定感のあるスタンスが印象的だ。フラッシュサーフェース化されたリヤコンビランプは、印象的な横基調を採用する。最小回転半径は5.7m。

11代目にあたる現行型は先代同様にタイのアユタヤ工場が生産を受けもち、この最新モデルは、北米市場に次いで、2024年3月より日本市場でも展開が始まり今に至っている。今やかつてのレジェンドに代わる、ホンダのフラッグシップの役割を担うモデルでもあり、その〝中身〞はとても充実したものとなっている。特に安全運転支援機能に関しては、〝Honda SENSING 360〞をこのアコードで初採用。レーダー/センサーの追加と性能向上で、近距離衝突軽減ブレーキ、Hondaパーキングパイロットほかアコード初搭載の機能や、車線変更支援、前方交差車両警報などの新機能が追加されている。

乗降性

一方で装備関係も先進的なアイテムが多数与えられた。運転席の眼前にはバイザーレスの10.2インチデジタルグラフィックメーターを備えるのを始め、インパネ中央には12.3インチHonda COONNECTディスプレイを装備し、搭載するGoogleアシスタント、同・マップ、同・プレイの利用や、セキュリティ、緊急サポートといった機能も盛り込んでいる。

インストルメントパネル

ダッシュボードやフロントフードなどの見え方を水平基調として車両感覚がつかみやすいように配慮。Google搭載の12.3インチディスプレイ、フルオートエアコン、PTCヒーターなどを標準化する。

バリエーションだが、用意されるのはe:HEVの1タイプのみ。パワートレインは2.0ℓ直列4気筒の直噴アトキンソンサイクルエンジン(LFD型)に、国内初の新開発2モーター内蔵電気式CVTを組み合わせたもので、モーターはそれまでの同軸から並行軸に配置を変えて電動効率をより高めたものにするなどしている。

居住性

実車は先代同様のファストバックを採用するも、全長が75㎜伸びた上、フロントまわりを始めめっきの加飾がかなり整理されたことで、スッキリとエレガントな佇まいを見せる。インテリアも水平基調のインパネの中央にエクスペリエンスセレクションダイヤルを配置し各種の機能の操作を可能にしている。今どきのSUVに慣れていると着座位置は低めだが、ゆとりは十分で、特に後席は座面の前後長があり、やや起き気味の背もたれと相まって、しっくりと〝収まり〞の良い着座姿勢を実現。

うれしい装備

スマホなどで使い慣れたGoogle アシスタントを使えるのが魅力だ。Googleマップの目的地設定やスポット検索、楽曲再生、天気予報やSNS、電話などの操作も可能。認識性も高く、慣れればストレスなく使える。
フルモデルチェンジ発表     24年3月7日 
月間販売台数           165台(24年6月~11月平均)
WLTCモード燃費         23.8km/ℓ

ラゲッジルーム

アコードの走りは実に爽快なもの。ワインディングロードでは四輪の均等な接地感が伝わり、安定性の高さを実感する。アダプティブ・ダンパー・システムの採用もあり、路面の凹凸にしっかりと追従、段差を通過した場合のダンピングも十分で、総じてフラットで快適な乗り味を実現している。パワーフィールも自然で気持ちの良いもので、パドルで減速度のコントロールが可能なことから、モーターのトルクとブレーキの統合制御と併せて、コーナリング時の安心感も高い。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.165「2025年 最新国産新型車のすべて」の再構成です。

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