MAZDA3 e-SKYACTIV-X搭載モデル長期レポート | 実車確認編 PROACTIVE Touring SelectionとL Package/Burgundy Selectionの装備の違い

MAZDA3 SKYACTIV-X搭載モデルを新車購入 ルーフにシャークフィンがないのが美しい!が、がっかりポイントも…

2時間超の納車式も済んだことだし(実はもう1ヵ月点検も済んで、走行距離は2000kmを超えているが……)、明るいところでじっくり、e-SKYACTIV-Xを搭載したMAZDA3のファストバック、PROACTIVE Touring Selection、AWD、6MT、ポリメタルグレーメタリックをじっくり観察してみよう。これまで何度も眺めているが、自分の所有物として対峙してみると実に愛おしい。
TEXT & PHOTO◎世良耕太(SERA Kota)

情報としては知っていたが、改めて意識してみると、ルーフの後端にロッドアンテナもシャークフィンアンテナもないことは、MAZDA3のすっきりした美しさにひと役買っていると感じる。アンテナがついていないわけではなくて、リヤガラスに埋め込んでいるのだ。「新世代リヤガラスアンテナシステム」をわざわざ、MAZDA3ファストバックのために開発したのだ。

AM/FMラジオや地デジなど、放送受信システムのアンテナは、セダン系を中心にガラスアンテナが多く採用されている。いっぽうで、SUV系やハッチバック車にシャークフィンアンテナが多いのは、ガラス面積の制約から受信性能の確保やノイズ対策が難しいからだ(『マツダ技報2019』参照)。マツダは、「強みであるデザインの魅力を最大化させるため、ハッチバック系車種に適用可能なリヤガラスアンテナの開発」に取り組み、MAZDA3で実用化した。大拍手である。

シャークフィンがないってスマート! と思うのはオーナーだからか。

デザインへのこだわりだ。シャークフィンアンテナだったら既存技術をそのまま使えるので安上がりで済んだことだろう。だが、デザインのためにわざわざ、ガラスアンテナを新規に開発したのだ。その心意気はきっと、筆者のみならずMAZDA3のユーザーに伝わるはずだ。このガラスアンテナ開発のいきさつを知ったある自動車会社のOB技術者は、「そこまでやるか!」と感心していた。「だから儲からないんだよぉ」と付け加えて。しかし筆者は、そんな愚直なマツダが好きである。

MAZDA3のデザインのために、リヤのガラスアンテナを新規に開発した。その心意気や、良し、である。

ルーフアンテナ、もしあったら無粋だったろうと、MAZDA3に乗り込む際、ルーフに目をやるたびに思ってしまう。サービスエリアなどの駐車場では、ついつい周囲のハッチバック車と見比べて優越感を感じてしまう(自分の手柄ではないのだが)。本来なら受信性能のほどを報告しなければならないのだが、このレポートを書く段になって気づいた。まだ1回もラジオをオンにしていない。テレビも映るんだっけ? 確かめなければ(もっぱらBluetoothオーディオを使用)。CDのスロットも付いているが、一度も使わずに終わりそうな予感。

筆者の愛車、PROACTIVE Touring Selectionの内装。
L Package/Burgundy Selectionの内装。間違い探しみたいだが……

PROACTIVE Touring Selectionを選択したときに気になったのは、本革シートを備えた上級グレードであるL Package/Burgundy Selectionとの装備の違いだった。L Package/Burgundy Selectionのステアリングホイールはホーンパッド部分にプラチナサテンのリングが付くのに対し、PROACTIVE Touring Selectionには付かない。また、自動防眩ルームミラーはL Package/Burgundy Selectionがフレームレスなのに対し、PROACTIVE Touring Selectionはフレーム付きだ。L Package/Burgundy Selectionのグローブボックスは、ノブにステアリングと同じサテンクロームのプレートが貼ってあり、内部は植毛加工が施してある。PROACTIVE Touring Selectionは素っ気ない処理だ。

筆者のPROACTIVE Touring Selectionのステアリングホイールのホーンボタンにはクロームのリングがない。
PROACTIVE Touring Selectionのインナーミラーにはフレームがあるが、L Package/Burgundy Selectionはよりスタイリッシュなフレームレスタイプを採用する。

はてさて、どれほど貧相に感じるかと実車を確認してみたが、写真で見比べてみないとわからないほどに、決定的な差を感じない。そもそもグローブボックスには、ほとんど用がない。貧相に感じないし、「これだったらL PackageかBurgundy Selectionを選んでおけばよかったなぁ」とも感じない。「なんだ、心配するほどではなかったな」というのが実感である。

e-SKYACTIV-X搭載車専用の装備は、18インチサイズのアルミホイールがブラックメタリック塗装になることだ。1.5ℓと2.0ℓのガソリン、1.8ℓのディーゼルエンジン搭載車の18インチアルミはグレーメタリック塗装なので、そこが最大の識別点になる。大径マフラーカッターを備えるのもe-SKYACTIV-Xの特徴だが、ひと目で識別できた試しがない。一体どれほど大径なのだろう……。

e-SKYACTIV-X搭載車専用の装備であるブラックメタリック塗装の18インチサイズのアルミホイール

「せっかくX買ったんだからさぁ、もっと差別化してよぉ」という声があったのだろうか。2020年11月の商品改良時に、e-SKYACTIV-X搭載車専用の装備として、フェンダーバッジが追加された。左右のフロントフェンダー上部、フロントドア寄りに「SKYACTIV-X」のバッジが追加されている。デザインの魅力を最大化させるためにルーフアンテナを廃止し、わざわざガラスアンテナを開発したこだわりの持ち主が、「こんな安直なことやる?」というのが正直な感想だ。このクルマの最大のがっかりポイントが、このえげつないフェンダーバッジである。

差別化するっっていっても、このバッヂじゃなかったんじゃないか……と思ってしまう。

どういう事情があったのか知らないが、もっとこれまでのマツダらしい、スマートなやり方で差別化を図ってもらいたかった(差別化の必要性を感じたのなら)。フェンダーバッジ、厚さが何ミリあるか知らないが、ずいぶん外に張り出していて空気の流れを乱しそうだし(走りに影響はないと言われても、いったん気になったら最後)、フロントからリヤまでスムーズに流れる色気のあるサイドビューを阻害しているように感じる。一生消えない吹き出物がほっぺにできたような感じだ。

厚みもけっこうあるし……。

引き算の美学とは一体……。

著者プロフィール

世良耕太 近影

世良耕太

1967年東京生まれ。早稲田大学卒業後、出版社に勤務。編集者・ライターとして自動車、技術、F1をはじめと…