ガソリン価格、185円、190円/ℓまで上がる? この30年でもっとも高かったのはいくらだった? トリガー条項で下がる?

ガソリン価格が高騰している。全国平均でレギュラーガソリン価格がリッター170円を超えた。地方によっては180円超えも見られる。
ガソリン価格が上がっている。
経済産業省資源エネルギー庁の給油所小売価格調査によると、1月31日にレギュラーガソリンの全国平均は170.9円/ℓまで上昇した。果たして、ガソリン価格、どこまで上がるのか?過去のデータから予測してみよう。

WTIって? 1バレルは何ℓ? 過去最高値は?

ガソリン価格が上がったということは、当然原油価格も高値になっている。
現在のWTI原油先物価格は1バレル90ドルほどだ。

まずは、このWTIとはなにかを説明しよう。

WTIは、ウェスト・テキサス・インターミディエート(West Texas Intermediate)という略称で、西テキサス地方の中質原油という意味だ。WTI原油先物はニューヨーク・マーカンタイル取引所で取引されている。これが原油価格の代表的な指標になっている。

単位はバレル(Barrel)だ。
1バレルは158.987ℓである。

つまり、現在のWTI原油先物価格90ドルは
原油1ℓ=56.6セント
ということだ。
現在の円/ドル相場が1ドル=115円だから
現在のWTI=90ドルは
原油1ℓ=65円

ということになる。

というのが基礎知識。

では、1990年以降でガソリン価格がもっとも安かったのはいつだか憶えているだろうか?

令和2年 総務省統計局「小売物価統計調査」より 2008年に原油価格・ガソリン価格が高騰したのは中国をはじめとする新興国の石油需要の急増に加え、中東地域の地政学リスクの増加、90年代末の原油価格下落を背景としたメジャー各社の上流開発への投資の停滞、OPEC加盟国の余剰生産能力の低下による将来的な供給不安などがあったが、最大の要因は、原油先物市場への資金流入だった。

それは、

1999年の春(3~5月)の91円/ℓ

最も高かったのは
2008年8月の185.1円/ℓ(8/14)
だった。

ちなみに、2009年1月13日にはリーマンショックの影響で106円/ℓ(1/13)まで一気に下落している。

さて、2008年8月のレギュラーガソリン価格185.1円/ℓの頃のWTI原油先物価格はやはり史上最高値で145.29ドルを記録している。当時の円相場は1ドル=107円だったから、
1バレル=1万5546円
1ℓ=97.8円

当時は原油の段階(輸送・精製・税金がかかる前)で1ℓ100円近かったのだ。

では、2022年春、ガソリン価格はどこまで上昇しそうか?

現在1バレル90ドルの原油価格は110ドルくらいまで上がるという予測がある。もちろん、現在の複雑な国際情勢(ウクライナ情勢など)によって原油価格がどうなるか予測は難しいのだが、もし3月にWTIが110ドルになっとしたら1ドル=115円のままだとして

1バレル=1万2650円
1ℓ=79.6円
となる。

現在は原油1ℓ=65円だから原油ベースで1ℓ15円程度価格が上昇することになる。
となると、現在の170.9円に15円が足されるわけで、最低でも

1ℓ=186円
まで価格が上がる可能性がある。

となると、2008年夏と同じレベルのガソリン価格となるわけだ。

トリガー(条項)は引かれるか?

現在は政府はガソリン小売価格が170円/ℓを超えないように、石油元売りに対して補助金を出している。1月27日から1ℓあたり3.4円が支給されている。この制度では、補助額の上限は5円と定められている。しかも、2022年3月末までの期間限定の措置なのだ。

※国税庁の資料より

ガソリン価格の平均小売価格が160円/ℓを3カ月連続で超えた場合に発動される、いわゆる「トリガー(引き金)条項」がある。旧民主党政権時代の2010年の税制改正で導入されたものだ。ガソリンには、「揮発油税」と「地方揮発油税」の特別税率分25.1円がかかっている。トリガー条項はそのガソリン税の上乗せ分を徴収しないようにする措置だ。

2021年10月からガソリン価格は160円/ℓを超えているから、条件は満たしているわけだ。

トリガー条項が解除されるのは、「3カ月連続して130円/ℓを下回った翌月から」、となっている。

ちなみに、1990年以来、軽油価格で最安値は1990年8/27日の72円/ℓ、最高値は2022年1月31日の150.6円/ℓだ。軽油の高騰は物流に響くから市民生活への影響も大きい。

となると、トリガー条項の発動が期待されるわけだが、これもそう簡単にはいかない。

なぜか?

トリガー条項が成立したのは2010年4月。翌3月に発災した東日本大震災の復興財源を確保するために、運用が凍結されたからだ。だから、いま、トリガーが引くことはできないのだ。

トリガーを引く(凍結を解く)には、国会審議を経たのち、立法措置が必要。だからすぐにはできない。

それに、ガソリン税が25.1円/ℓ下がると、1カ月あたり約1000億円弱も税収が減ると見込まれている。いったん、トリガーを引いてしまえば、現在の法律では130円/ℓ以下が3カ月続かないと解除できない。ちなみに、直近で130円/ℓを下回っていたのは、2020年6月。以来ずっと130円/ℓ以上なのだから、130円/ℓというのは容易ではない。トリガー条項を発動して仮に1年間続いたら、国は約1兆円の税収を失うことになる。

ガソリン価格高騰による経済の停滞・市民生活の困難と税収の減少を天秤にかけて判断しなくてはならないわけだ。

いずれにせよ、我々はいつも以上に燃費のいい、財布に優しい運転を心がけるしかない。トランクの余分な荷物は下ろす、急加速はしない、タイヤの空気圧のチェックするといって自衛策を講じるしかない。

ちなみにタイヤの空気圧が適正より50kPa低いと、市街地で2.5%、高速道路で4.8%も燃費が悪化する(省エネルギーセンターの調査結果)。重量110kg増加で同じく3.4%、3.3%の悪化が見られるというから、早速チェックしておきたい。

いずれにせよ、1ℓ=190円までは覚悟しておくほうがよさそうだ。

2022年2月5日の福井県のガソリン価格。原油価格が上がれば、ガソリンだけでなく軽油・灯油の価格も上がるから、暖房が必須な地方の影響は小さくない。

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