「エアコンないと死ぬ」ってほどの酷暑における、上手なエアコンの使い方とメンテナンス法は?

地域によっては人間の体温以上の気温も当たり前、というほどの猛暑が続く昨今、家でもオフィスでもクルマでも、エアコン使用は大前提となっている。縁の下の力持ちであるエアコンを効率良く効かせる方法や、エアコンへの負担が増える中、注意しておくべきメンテ法をおさらいしよう。
REPORT:近藤暁史(KONDO Akifumi)

こう酷暑続きだと、頼みの綱はエアコンだ。エアコンがなければドライブが不可能なぐらいで、それだけにエアコンに掛かる負担は大きい。最近のエアコンは壊れにくいし、以前のようにエアコンガスが抜けて定期的に補充してやる必要もない。ただ、まったくメンテナンスフリーかというとそうでもなくて、現役で走っている10年選手のクルマなどは、内部の潤滑性低下などでトラブルが出ることもある。

電装専門店によれば、「暑いのに加えて、長く乗るようになっているからトラブルも出やすい。ここ数年は故障するクルマも増えている気がする」というほどで、油断は大敵。もし真夏にエアコンが使えなくなったら……。そうならないようにエアコンにも気を使ってやりたい。また上手な使い方についても考えてみよう。

1. エアコンを効率よく効かせる方法

激アツの車内に乗り込んで、ヒーヒー言いながらエアコンをマックスにして冷えるまで我慢という方は多いだろう。もっと言えば、このパターンがほとんどかもしれない。ただ、それでは効率が悪くて、がまんの時間が実際は長くなってしまうので要注意だ。

まず走り出したら、窓を開ける。ただ闇雲に開けるのではなく、運転席と後席の反対側を開けると対角線で空気が通るので効率がいい。前席両側では後席部分の空気が抜けないし、全開だと車内であちこちからの風が当たって同様に抜けない。さらに車内の熱気を追い出すために外気導入にしておいて、ある程度抜けた時点で内気循環に戻すようにする。基本的には、一度冷やした空気をさらに冷やすほうが効率がいい。

2. オートかマニュアルか

最近は軽自動車でもオートエアコンが付いている。豪華というか贅沢な装備ではあるのだが、完璧でないのもまた事実で、細かな調整という点では実際の感覚に合わないこともある。ある程度涼しくなってきたのに、ゴーゴーと勢いよく風が出ていたり、寒い・暑いが極端なことも。つまり、実際の体感温度と設定がずれているわけだ。

オートで使うにしても定期的に温度設定を見直したり、風量が合わない場合は無理にオートで使わず、マニュアルにして調節したほうが快適だったりする。風の吹き出し位置も同様で、少し足元にも出してやると気持ちいいこともあるので、臨機応変に調節してみるといいだろう。効率的に冷やすことも含めて、エアコンへの負担減は燃費アップにもつながるのだ。

3. 基礎体力を上げる添加剤

エアコンにも添加剤がある。エアコンは冷媒ガスの気化を利用して冷やしているが、その中にオイルを混ぜて内部を潤滑しているので、ここに添加剤をプラスしてやる。一番作動負荷が大きいのはコンプレッサーで、ここの潤滑性を上げると、作動時の負担は減るし、エンジンへのストレスも軽減。もちろん冷えも違ってくる。

いくつかのメーカーから出ているが、小さな缶に入っていて、簡易注入ツールも売っているので器用な人なら自分でもできるのだが、空気が入ってしまうと大変なことになるので無理をせず、プロに頼んだほうがいいだろう。場合によっては如実に効果が体感できることがあるので、基礎体力アップとしてまずはオススメだ。

4. ガスの種類に注意

「R134a」という言葉を聞いたことがあるだろうか? これは注入されている冷媒ガスの種類。その昔使われていた「R12」というのはオゾン層の破壊などが問題になって、R134に切り替えられた経緯がある。しかし、R134aも温暖化には悪影響があるということで、ここ数年で増えているのが「R1234yf」というタイプ。R134aとは注入口の形状も含めて互換性はないので、前記の添加剤を購入する際などはその点注意したいところ。ちなみに肝心の効きに関してはR12のほうが強かった。

おまけ. ガスが抜けたら、ベルトカット

クルマをぶつけたりした際にエアコンの配管を押してしまい、ガスが抜けてしまうことがある。こうなったら注意したいのが、コンプレッサーのロック。最近のカーエアコンに使われているコンプレッサーは電磁クラッチレス。つまり以前のようにカチカチという音がしないのが特徴で、常に回りっぱなし。エアコンガスが抜けても回りっぱなしなので、内部でロックしてしまい、最悪の場合、オシャカに。クラッチが付いていれば、切れたままでそのようなことはあまりなかった。もちろんコンプレッサー交換となると費用は高額になってしまうので、対応としてはベルトを切断してから移動させるのが正解だ。

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