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ジープのルーツは1941年まで遡る
「ジープ」といえば、多くの人が第二次世界大戦で活躍した、あの形を思い浮かべるだろう。当時、アメリカ軍は走破性の高い多目的車の開発をいくつかの自動車メーカーへ要請。この結果、1941年に生まれたのがラダーフレーム構造の4WD車「ウィリスMB」と「フォードGPW」で、兵士の間では自然発生的に「ジープ」と呼ばれるようになっていた。
「ジープ」の名前の由来は諸説あるが、多目的(General Purpose)の頭文字がなまったという説が有力だ。戦後はウィリス社が民間向けにCJシリーズとして販売を始め、徐々に動力性能や快適性を高めながら1987年にYJシリーズへバトンタッチし、これを機に「ラングラー」というモデル名が与えられた。
現在は “ジープ=ラングラー” という概念が定着しているが、これはウィリスMBという4WDのレジェンドの伝統を頑なに守って継承してきた結果であり、いつの時代も本格的クロカン4WDの代名詞として想起される大きな要因となっている。「ジープ・ラングラー」に魅せられた人々は、まずここに心躍らされるのだ。
2021年はDセグメントSUVで販売台数トップを記録
「ウィリスMB」を誕生させたウィリス社は、1953年にカイザー、1970年にAMC、1987年にクライスラー、2014年にFCA、2021年にステランティスといった具合にさまざまな企業の傘下に入ってきたにもかかわらず、どの企業においても重要なブランドとして生き残ってきた。
しかも、ジープ・ブランドは2013年以降、9年連続で販売記録を更新しており、とりわけ「ジープ・ラングラー」の好調ぶりは特筆に値する。同じDセグメントのSUVカテゴリーには「メルセデス・ベンツ・GLC」、「BMW・X3」、「ボルボ・XC60」など強力なライバルが存在するが、この激戦区の中にあって2021年はトップの販売台数(6931台、対前年比20.4%アップ)を記録。そのお陰で、以前は走行中に「ジープ・ラングラー」とすれ違うことは稀だったが、最近は高い確率で遭遇するようになってきたので、オーナーとしては社会的地位が向上したように思えてちょっぴり嬉しい。
こうなるとSNSでの投稿やオフ会などのイベントも増えてくるので、オーナー同士のコミュニケーションが増えて楽しくなる。しかも「ジープ・ラングラー」のようにマニアックなクルマとなると、オーナーの入れ込みようは半端ではないし、職業や趣味もさまざま。世代や地域の枠を超えてクルマ談義をしたり、すぐに仲良くなれるのは、趣向性の高いクルマならではの特権だろう。
アンリミテッドの登場で使い勝手は飛躍的に向上!
4WDのレジェンド「ウィリスMB」をルーツに持つ「ジープ・ラングラー」は、初代のCJシリーズから採用されている丸目ヘッドライト(YJシリーズを除く)、7スロットグリル、リジッドアクスル、可倒式ウィンドシールド、脱着式ドア&ルーフトップといったアイコンを頑なに継承。
ボディ形状は長年にわたって2ドアのオープントップが採用されていたが、2007年にリリースされたJK型から4ドアモデルの「アンリミテッド」をラインアップしたことで、スパルタンなクロカン4WDにSUVとしての魅力が加わることとなった。
実は、この「アンリミテッド」の登場が、今日のラングラーブームの大きな要因となっていることは間違いない。筆者も「アンリミテッド」がなかったら、確実に選択肢から外していただろう。それほどラングラーの4ドア化は、エポックメイキングな改良だったといえる。
実際に使ってみると、やはり520mm延長されたホイールベースと4ドア化の効果は絶大で、従来の2ドアモデルと比べるとキャンプ道具を好きなだけ積み込めるし、大型犬やドッグカートも余裕で載せることもできる。このパッケージングならば、アウトドア派が飛びつくのも無理はない。
それでいて伝統の高いオフロード性能は健在!悪天候時や災害時など、もしものときに威力を発揮してくれそうな安心感は、「ジープ・ラングラー」のオーナーになってみると誰もが体感できるはずだ。