【ジムニーカスタム入門講座】74シエラと64ジムニー、パワーが足りないと感じたら?

カスタムを進めていく過程で、タイヤの大径化を行うと、必ず直面する問題が、走りのキビキビ感が無くなってしまうこと。
ハイギヤード化される事で起こる事象を解消するためにパワーアップがやりたくなる。今回は、何を行うべきかを検証だ。

エンジンチューンの初めの一歩は何から?

ジムニーというクルマは、基本的に重い。ラダーフレームにリジットアクスルという、タフなレイアウトの伝統を守っているクロスカントリー4WD。特に軽自動車であるジムニーは、メーカー自主規制の64馬力規制があるので、パッセンジャータイプの車両と比較して、パワーウエイトレシオ的に厳しく、動力性能はかなり厳しい。キビキビとした走りは無理で、どうしても鈍重な動きとなってしまう。

カスタムを進めるにあたり、タイヤの大径化が定番となっているため、ファイナルレシオ的に、ハイギヤード化してしまうので、さらに加速が鈍くなる。せっかく楽しいクルマに乗っているのに、我慢はしたくない。気持ちよく走らせたい。その要望に応えるカスタムがいわゆるエンジンチューン。キビキビ感を求めるなら、トルクを重視。高速域での伸びを重視するなら、最大出力をアップ。求める内容によって、カスタムの手法も異なる。

最も手軽な一歩は、マフラーの交換だろう。ルックス的なドレスアップ効果も高く、音質の変化によって、気分も上がる。マフラー交換というのは、基礎体力作り的な要素があり、他の様々なチューニングを効果的にするために、ある意味必須なカスタムだ。次は、エアクリーナーフィルターの交換。パワーアップは、言い方を変えると燃焼効率の向上を指す。よく燃える状況を作り出すには、たくさんの酸素が必要になる。その為には、エアークリーナーフィルターの交換は必須となる。

64ジムニーの効果的なパワーアップ方法は?

軽自動車のJB64の場合、パワーアップメニューはブーストの立ち上がりにクローズアップする。ターボ車の場合、エンジン本体としての出力は、低圧縮のため、あまり期待できない。しかし、ターボの性能をきちんと発揮できるロケーションを整えてやると、レスポンスやトルクがアップする。一番お手軽なのは、インテークパイプの交換だ。純正のゴムホースは、ブーストが掛かった際、膨張して圧力損失が発生してしまう。これが原因で、ブーストの立ち上がりが遅れ、トルク不足やレスポンス不良を起こしている。インテークパイプを金属製の物に交換してやると、それだけで速くなる。

マフラー、エアクリーナーフィルター、インテークパイプまでのメニューが、基礎体力作り。次に行うのが燃焼効率の向上だ。チューニングのメニュー的には、サブコンや書き換えと呼ばれる手法。純正の燃焼状況というのは、お世辞にもベストとは言い難い。馬力規制の絡みもあるが、セールスポイントとなる燃費を良く見せるため、基本的に空燃費的には薄い条件が多い。それを適正な燃焼状況に変更してやる作業がサブコンや書き換えと呼ばれるチューニング。この説明だと、サブコンや書き換えを行うと、燃費が悪くなるの?と勘違いしがちだが、実はそうではない。クルマがより走るようになると、目標とする車速への到達時間が短くなる。すると無意識のうちにアクセルを抜いている。アクセルを抜くと、ブーストが下がり、燃料の消費は少なくなる。その結果、走るセッティングを行うと、燃費は向上するのだ。走りが良くなり、燃費も向上するなら、いい事ずくめではないだろうか?

さらに、JB64に関しては、基本的に油温、水温が結構高め。燃調を変更し、高効率化してやる事で燃焼温度が適正化し、油温、水温が安心できる範囲に変わる。

74シエラのエンジンチューンのやり方は?

JB74のエンジンチューンは、ちょっと難しい。ターボがついているJB64と違い、自然吸気のエンジンは、大幅なパワーアップを行おうとすると大掛かりとなってしまう。代表的な例としてはターボ化だが、費用がかなり掛かってしまう。お手軽な手法としては、エアクリーナーフィルター、マフラーを交換し、サブコンや、書き換えというメニューだが、実は数値的にはターボ車ほど出力は向上しない。 しかし、回転の上昇速度が激変するため、体感効果は大きい。JB74に搭載されているエンジンの排気量は1500cc。実は、もとからトルク的には充分で、ただ、回転の上昇速度が遅く、だるい印象となっていた。そこを改善してやるだけで、JB74の印象は大きく変わる。めっちゃ走るようになるのだ。

JB64でも変更するのだが、JB74の場合、特に点火タイミングの変更がキモとなる。乗車フィールは大きく変わり、スポーツ車のようなフィーリングとなるのだ。

オンロード&オフロードでのセッティングの違いは?

次に、オンロードとオフロードで求められるセッティングの違いは、走りのスタイルにもよるが、オンロードでは高回転域の伸びがあると気持ちいい。オフロードでは、低回転域のトルクが太いと扱いやすい。この特性は、チューニングのどの部分で変更できるのか? 実は、全て燃調でコントロール可能となる。各ショップが提供している製品のセッティングは、ショップの方向性で決められている。どのジャンルで生きてくるか、各ショップの考え方が燃調に反映している。購入する際は、できれば試乗するのが最も失敗しない。JB64も、JB74も解析にかなり時間がかかったのだが、今はかなり多くのショップがオリジナルセッティングのデータで販売している。自分に合うセッティングを見つけてぜひ楽しんでもらいたい。

ジムニーアドバイザー/那須一博さん
過去に自身でジムニーのカスタムショップを運営していた経験を持ち、様々なショップの開発にも関わっている。乗るカテゴリーも、オンロード、ダート、クロカン、ロックと様々な競技を経験し、実績もある生粋のジムニストだ。

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