ヴォクシーはエスクァイアの後継役も担う
ノア、ヴォクシー(先代エスクァイアも含む)の開発責任者を務めた水澗英紀氏は、3代に渡りチーフエンジニアを務めたミニバンのスペシャリストだ。同氏によると、先代の3兄弟体制からノア、ヴォクシーになったのは、全車種併売化という販売戦略によるもので、理屈からいえば、ノアのみという可能性もあったようだ。ヴォクシーが残ったのは、平たくいえば売れていたからで、エスクァイアの高級路線も受け継いでいる。
「TNGA(GA-C))」化されたことで、全幅は5ナンバー枠を超え、全車1730mmになり、最小回転半径は5.5mとステップワゴンよりも若干大きい。一方で、1列目の着座姿勢が改善するとともに、Cピラー間が75mmも拡幅されたことで、2列目と3列目の乗員肩まわりの余裕が増すなど、パッケージングの面での利点もある。さらに、2列目キャプテンシートは、横スライドさせなくても745mmのロングスライドが可能になり、操作性が向上した。ミニバンを知り尽くした開発責任者が送り出した、自信作にふさわしい配慮が盛り込まれている。
その真骨頂がミニバン史上、最も容易にできる3列目の跳ね上げ方法だ。片手で楽に跳ね上がるだけでなく、最後の固定もストライカをはめるだけで完了する。さらに、「からくり」を使ったアイディア装備も盛り込まれた。テールゲートの開度調整機構は、電動ゲートでなくても任意の位置でゲートをワンプッシュするだけで保持できるようになった。さらに、「ユニバーサルステップ」も見逃せない。助手席側パワースライドドアに連動するこのステップも「からくり」を使うため、重量とコスト抑制に貢献。200mmという低床ステップを3万円強という破格の価格でオプション設定している。
5世代目となる最新のシリーズパラレル式の「THS II」をこのミニバンから初採用したのもトピックス。1.8Lハイブリッドには、待望の4WD「E-Four」も新設され、降雪地域のユーザーニーズに応えている。さらに、最新世代の2.0L「ダイナミックフォースエンジン」も設定している。グレードは、7人乗りの上級仕様の「S-Z」、7人と8人乗りを設定する「S-G」という2本立て。
最新安全装備も進化し、高度運転支援技術「トヨタチームメイト」に、スマホ・アプリで自動駐車が可能な「アドバンストパーク」、渋滞時ハンズオフドライブの「アドバンストドライブ」が加わった。全方位隙がなく、完成度の高さが際立っている。
▷Mクラスミニバン徹底検証 まとめはこちら
[スタイルワゴン・ドレスアップナビ編集部]