「リーン燃焼はシリンダーに空気をたくさん入れるので、じつは過給がかかっている状態と同じです。通常のターボエンジンは低回転・低負荷領域ではターボが稼働していない状態になりますが、リーン燃焼エンジンはここでスロットル全開、ターボで空気を送り込んでいる状態になるということです。スロットル全開ですからポンプロスも減り効率が上がります」と説明してくれた。
リーン燃焼していると三元触媒ではNOx(窒素酸化物)が出る。NOxは三元触媒では処理できないので、CB18型エンジンでは三元触媒の後ろにNOx吸蔵触媒を2基つけて対応した。
圧縮比が10.4へ低下している。これは、スバルが「しっかり火を着けてその火を拡げてあげる」というコンセプトだからだ。同じリーン燃焼を行なうマツダのSKYACTIV-Xエンジンの圧縮比は16.3(国内仕様は15.0)と極めて高い圧縮比なのと対照的だ。マツダが圧縮による自着火を使うのに対してスバルは「リーンでも確実に火を着けて燃え広がらせるという考え方です。我々は自着火させなくて自らの火をコントロールする考え方なので、少し低圧縮側にふっています」とのことだった。
さて、CB18のコンセプトには「レスポンス」もある。エンジンのキーデバイスであるターボチャージャーは、FB16型よりも小型のものを使う。現行FB型がツインスクロール式を使うのに対してCB18型はシングルスクロール式を採用した。
なぜ、シングルスクロールか?
触媒の早期暖機を重視していることもある。またCB型は片側2気筒分ずつの排気ポートをシリンダーヘッド内で集合させる「インテグレーテッド・エキゾーストマニフォールド(IEM)」という技術を採用している。ツインスクロールは各気筒のエキゾーストをそれぞれの経路に導かなくてはならない。CB18型ではとにかく熱の逃げを嫌ったこととIEMの採用でシングルスクロールにしたという。
ターボはギャレット(ハネウェル)製を使う。
CB18型ではヒートマネジメントも大きく進化している。冷却水の水路はふたつのバルブによって制御され、エンジン始動時はまずシリンダーブロックを暖める、その後シリンダーヘッド、そしてそのあとでラジエーターへと水を回すことになる。エンジンの暖機を早めたいのは、触媒の早期活性化と暖房性能のためだ。これまではサーモスタットを使って水流を管理していたが、新型では自在にバルブをコントロールできる。出力点、負荷が高い領域、より冷やしたいところは、このバルブをさらに開くことによって、通常の循環している温度をさらに下げられるという。
オイルポンプも新型は可変容量式を使う。従来はエンジン回転数依存型だったが、可変容量式を採用したことで燃費も向上している。
新型レヴォーグのパワートレーンは、CB18エンジンのみの設定だ。XVやフォレスターで設定のあるマイルドハイブリッドのe-BOXERは用意されない。
これについては、「ツーリングワゴンでロングドライブができないといけない。e-BOXERを採用するとバッテリーを搭載することで重くなり、また燃料タンク容量もかなり小さくなってしまうから」で、車両コンセプトと合わないから、だという。レヴォーグではCB18+e-BOXERの設定はないが、将来的に他のモデルで登場する可能性はあるだろう。
最後にトランスミッションについて、である。トランスミッションはおなじみのリニアトロニックCVTである。チェーン式のCVTだが、キャリーオーバーではなく部品の約8割を新しくし、新型のオイルポンプも採用して燃費と静粛性を向上させたリニアトロニック(資料には「新TR58」とある)だ。
新リニアトロニックはレシオカバレッジを従来の6.3から8.1まで拡大している。レシカバ8.1はクラストップ級だ。低速側をハイギヤードにできることにより発進加速性能の向上が図れる。また高速巡航時のエンジン回転数を低く抑えられるため燃費性能も向上する。
以上駆け足で解説してきたが、スバルの新水平対向エンジン、CB型は、「水平対向のスバル」の名に恥じない意欲作だ。しかもまだ生まれたばかり。今後大きく成長していくポテンシャルは充分にありそうだ。