NEDО・パナソニック、インドのラストマイル交通向けIT運用支援システム構築を完了、実証運転を開始

NEDOは「エネルギー消費の効率化等に資する我が国技術の国際実証事業」で、インドのデリー準州政府交通局と、出発地から最寄り駅までの区間と最寄り駅から目的地までの区間(ラストマイル交通)で乗客の利便性と輸送効率の向上を目的とした電動車両(Eモビリティ)向けIT運用支援システム(以下、本システム)の実証事業に取り組んでいる。この一環で本事業の助成先であるパナソニック ホールディングスは、現地協力企業のETO Motors Private Limited(ETO Motors)と連携して本システムの導入を完了し、10月より、実証運転を開始した。

実証運転では、出発地や目的地とデリーメトロのカルカジ・マンディール駅および近郊3駅(オクラNSIC駅、ネルー・エンクレイブ駅、ネルー・プレイス駅)との間をつなぐラストマイル交通向けのEモビリティを対象に、本システムを導入・運用することで、利便性と輸送効率の向上が検証される。本実証事業の成果の社会実装を通じてラストマイル交通向けEモビリティとデリーメトロの利用増加を実現し、交通渋滞の改善や温室効果ガス(GHG)排出量の削減が目指される。


インドは、急激な経済成長に伴い、主に都市部で交通渋滞や、それに伴う大気汚染が深刻な社会問題となっている。そこで、環境負荷の低いEモビリティの普及施策の実施やメトロ交通網の拡張が推進されている。このような背景のもと、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)とインドのデリー準州政府交通局は、ラストマイル交通における乗客の利便性と輸送効率の向上を目的としたEモビリティ向けIT運用支援システムの実証事業を実施するため、2022年12月に協力合意書(LOI:Letter of Intent)を取り交わした。その後、本事業を実施する助成先のパナソニック ホールディングス(パナソニックHD)と現地協力企業でEモビリティの製造・運営事業者であるETO Motors Private Limited(ETO Motors)は、プロジェクト合意書(PA:Project Agreement)を締結した。

これを受けパナソニックHDとETO Motorsは、デリーメトロのカルカジ・マンディール駅周辺で、ラストマイル交通(Eモビリティ)向けに本システムの実証事業に着手した。実証運転の対象は、出発地や目的地とカルカジ・マンディール駅および近郊3駅(オクラNSIC駅、ネルー・エンクレイブ駅、ネルー・プレイス駅)とをつなぐEモビリティとなっている。本システムを適用・運用することで、乗客の利便性と輸送効率の向上を図り、Eモビリティとデリーメトロの利用者増加につなげ、交通渋滞の改善、GHG排出量の削減が目指される。

本システムは、オンデマンド運行管理、配車アルゴリズム、バッテリーマネジメントの機能を持つクラウドシステムである。Eモビリティ用充電器利用の認証・情報(充電ログ)やEモビリティの走行ログ・運行ログ・電池データをモバイル通信でクラウド上に取り込み、オペレーター(車両運用事業者)・ドライバー・乗客向けの三つのアプリを介して、以下のような機能が提供される(図1)。

  1. オペレーターアプリ:車両管理、運用管理、電池管理
  2. ドライバーアプリ:需給マッピング、高精度電池残量表示、キャッシュレス決済
  3. 乗客アプリ:空き車両情報、乗車予約、キャッシュレス決済

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