「より力強く、より大型で、より威圧的な」がコンセプト

2014年より開催されて以来、今年で12年目を迎えたフォーミュラEは使用するマシンのシャシー、一部コンポーネントは全チーム共通品を使用しているモータースポーツであり、GEN4はその4代目にあたるマシンだ。


フォーミュラE CEOのジェフ・ドッズ氏は、サーキットでのお披露目前日にオンラインで開催されたメディアラウンドテーブルにて、「GEN4は100%リサイクル可能であり、20%の再生素材でできている」と話した。それに関連して、フォーミュラEは世界で初となるB Corp認証(※社会や環境に配慮した事業を行ない、米国B Labが定める基準をクリアした企業にのみ与えられる)を受けたスポーツであることも強調した。

ニューマシンであるGEN4のコンセプトについて、「more muscular,larger, and more menacing(より力強く、より大型で、より威圧的な)」と表現しているとおり、マシンサイズは歴代マシンと比較して最も大きな車体となり、よりマッシブな見た目へと進化した。エアロも開催されるコースレイアウトに合わせて、新たにハイダウンフォース、ローダウンフォースの2種類から選択できるようになる。
パワートレーンは前後でモーターを搭載し、フロントはマレリが供給するFIA共通品、リヤは独自開発品が搭載可能となる。駆動方式は常時4WDが使えるようになった。600kW(約810PS)近い馬力も相まって、0-100km/hは1.8秒、0-200km/hは4.4秒を記録しており、ラップタイムも大幅な短縮が期待される。一方でトルク配分といった制御システムはオープン、つまり自由開発領域であり、ソフトの作り込みが大きなアドバンテージを産むことも予想される。
高出力パワートレーン、常時4WD、ハイ/ローのエアロキットなど高速化を実現する新技術を多数採用するが、一方でパワーステアリングの導入も決まっている。女性ドライバー参入を促進する狙いで、フィジカル面でのギャップを埋めるためと見られる。
FIAのパウロ・マルティノ氏はメディアラウンドテーブルで、GEN4マシン開発としてすでに6000km以上のテスト走行を実施していることを明かし、またポルシェ、ジャガー、ステランティス、日産、マヒンドラ、ローラ・ヤマハの6メーカーがシーズン13に参戦し、すでに実戦を意識したテストを行なっていると話した。

広がる日系企業の参入。一方の中国は?
より魅力的な、フォーミュラEらしいレース開催を目指して

日系企業もフォーミュラEに続々と参画し始めている。それと関連したトピックとして、GEN4投入時にはレースで使用されるタイヤのサプライヤーが変更されることが決まっている。シーズン12までタイヤを供給してきたのはハンコックで、GEN3が投入されたシーズン9(2022-2023)から、4シーズンに渡りオフィシャルのタイヤサプライヤーであったが、シーズン13からは新たにブリヂストンへと切り替えられる。また、ポルシェ・フォーミュラE・チームのスポンサーを務める日系電子部品メーカーのTDKも、新たにフォーミュラE 東京e-Prixのタイトルパートナー、およびシーズン12のオフィシャルスポンサーにも就任するなど、より存在感を高めている。
一方で、電気自動車最高峰のレース、というと気になるのは中国の動向だ。近年、BYDをはじめ、BEVの領域ではセンセーショナルな車種や技術を展開し続けている中国BEVメーカーだが、一方で世界選手権参戦というような、大規模なモータースポーツ活動に注力するメーカーはほとんどないのが現状である。メディアラウンドテーブルでは「中国メーカーの参戦はあり得るか?」という質問も飛び出した。これに対し、ドッズ氏はBYDの1500kW急速充電技術を例に挙げつつ、市販BEVとレーシングBEVでは用途の違いがあることを述べ、マルティノ氏はFIAと中国メーカーは継続的に対話しており、今後協業の可能性もあると示唆した。
このように大きな進化を遂げたGEN4は、実戦投入に向けて着々と準備が進められている。そして、フォーミュラEというカテゴリーも今後、今以上に持続可能なモータースポーツとして大きく成長していくための取り組みを続けていく。
気になるGEN4のレースデビューはシーズン13、2026年後半を予定している。



