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発売の背景
土木・建設現場における労働力不足に対応するためi-Constructionが推進され、ICT技術の導入が拡大する中で、これまで三菱電機エンジニアリングはモバイル3Dスキャナ「Field LiDAR FZ-1000」やAI配筋検査端末「Field Bar FB-110」を開発し市場投入するなど、工事現場の省力化に貢献している。
今回、土木工事現場におけるICT技術導入のさらなる拡大に向けて、従来では地上設置型のトータルレーザースキャナを使い複数人による手作業で行っていた道路出来形計測において、建設機械に搭載して走行するだけで、自動で計測を実施できる「舗装出来形管理装置」を新たに開発し、今回の発売に至った。
本装置は、建機搭載型に専用開発したレーザースキャナ「Field Laser FZ-500」、これを制御する制御装置「レーザースキャナ制御装置 FZ-510」、ヒートマップ表示用「舗装出来形制御装置 FZ-520」の3機種などで構成され、施工段階における設計データとの差分を自動で算出するなどの出来形管理計測を行うことができる。
製品名 | 型名 | 発売日 | 本体価格(税抜) | 販売目標台数 |
---|---|---|---|---|
舗装出来形管理装置 ・レーザースキャナField Laser ・レーザースキャナ制御装置 ・舗装出来形制御装置 |
・FZ-500 ・FZ-510 ・FZ-520 |
2025年1月15日 | オープン価格 | 各100台/年 |
本製品の特長
1.建設機械に搭載し走行するだけで出来形計測を実現、計測作業の大幅な効率化に貢献
- 建機搭載型に専用開発したレーザースキャナを建設機械に搭載し走行するだけで、出来形計測を実現。現地作業やデータ解析作業の効率化に貢献
- 本装置により、従来の計測※1と比べて作業時間が70%短縮、作業人員65%縮減を達成。
※1 地上設置型TLS(トータルレーザースキャナ)を用いた計測
【計測作業の比較】
作業時間:16.5時間 → 5.3時間
作業人員:3.6人 → 1.2人

2.簡素なシステム構成で準備作業を軽減し、現場計測を容易に実現
- 建機搭載型に専用開発したレーザースキャナ「Field Laser FZ-500」と、これを制御する制御装置「レーザースキャナ制御装置 FZ-510」を建設機器に搭載。地上では、ヒートマップ表示用「舗装出来形制御装置 FZ-520」と、出来形計測の位置を捕捉するトータルステーション※2と無線LANを現場に設置。簡素なシステム構成により、計測準備作業を軽減
- 計測範囲は、1回の計測で幅5m、長さ最大80m※3の広範囲な計測が可能
※2 トータルステーションは、株式会社トプコン製LN-150またはLN-100を適用。
※3 計測長は建機走行による

3.リアルタイムで3D表示、出来形の合否確認が可能
- 計測で取得した3次元点群データを基に、現場でリアルタイムにて3D表示確認が可能
- LandXML※4にて設計データを取り込み、ヒートマップで設計値と実測値の差分を色分け表示で確認可能
- 計測終了から数十分※5で解析結果が得られ、出来形の合否確認が可能
※4 土木・測量業界において、決められたルールによって作成されたXML(Extensible Markup Language)データのデータファイル形式
※5 計測する距離によりデータ解析に要する時間が変動

<計測した路面の凹凸状況(差分)を色別で表現>
フィールド検証での高い評価
- 国土交通省「地上移動体搭載型レーザースキャナを用いた出来形管理の監督・検査要領(舗装工事編)(案)」に準拠
- フィールド検証結果を踏まえて国土交通省令和2年度i-Construction大賞優秀賞を受賞
- リモート接続によるリアルタイム情報共有や、遠隔臨場にも対応し効率化を支援
今後の予定
- 多くの道路工事現場での活用を目指して、直接販売と建機レンタル会社を通じてのレンタル利用ができる体制を構築
- また、道路舗装工事現場でのさらなる効率化および生産性向上に貢献する技術開発を推進