車内空間の広さと荷室の使い勝手はフォレスターが圧倒




全長と全幅はランクルFJのほうがわずかにコンパクトだ。しかし車内空間や荷室はフォレスターの方が圧倒的に広い。フォレスターの後席空間はDセグメントのSUVでも最大級のスペースが確保されているのに対し、ランクルFJはコンパクトカーよりわずかに広い程度にとどまる。
頭上空間に関しては全高が230mm高いランクルFJが優位であるものの、これほどの全高差がありながら頭上空間に大きな差はない。その理由はラダーフレームを採用するランクルFJは、モノコック構造のフォレスターに比べてどうしても床面が高くなってしまうことにある。この構造は乗降性への影響も大きく、床面が高いうえに後席に乗降グリップが備わらないランクルFJは、どうしても乗り降りに苦労を伴う。
5名乗車時の荷室寸法はランクルFJが長さ735mm×幅1050mm×高さ1030mmであるのに対し、フォレスターは928mm×1100mm×887mmとなる。ランクルFJは最大荷室長が1480mmと短く、後席を倒しても300mmほどの大きな段差が生じてしまううえ、シリーズ定番の後席タンブル機構もランクルFJには備わらない。
対するフォレスターは、後席を倒せばほぼフルフラットな床面となり、荷室長も約1800mmを確保しているため車中泊も快適だ。荷室が広いフォレスターには荷室側からシートを倒せるスイッチも備わっており圧倒的に使いやすい。
モノコックフレームのクロスオーバーSUVであるフォレスターは乗員への配慮が行き届いた設計となっている。それに対してFJはコンパクトなぶんラダーフレームのデメリットが使い勝手により大きく影響している。
ただしフォレスターのバックドアは一般的な縦開き式であり、新グレードの“ツーリング”および“ツーリングEX”はハンズフリー機能がオプションとなる。ランクルFJの横開きバックドアは手動ではあるが、背の低い人でも開閉に困らないうえ、ドアダンパーが備わっていることで開放角度を一定に保持できるため、狭い駐車空間でも荷物の出し入れはしやすい。
トヨタ ランドクルーザーFJ VX
ボディサイズ=全長4575mm×全幅1855mm×全高1960mm
ホイールベース=2580mm
車両重量=1960kg
タイヤサイズ=265/60R18(前後)
スバル フォレスター Touring EX
ボディサイズ=全長4655mm×全幅1830mm×全高1730mm
ホイールベース=2670mm
車両重量=1430kg
タイヤサイズ=225/55R18(前後)
小さなランクルFJは悪路走破性が高い! ただし燃費性能はそれなり


両車のパワートレインは、ランクルFJが2.7L 直列4気筒自然吸気ガソリンエンジン+副変速機付き6速AT。フォレスターは1.8L 水平対向4気筒ガソリンターボエンジン+CVTだ。最高出力はほぼ同等だが、最大トルクや出力特性に関しては、より低回転から力強いトルクを発揮できるフォレスターの方が多くのシーンで扱いやすく感じられることだろう。
ランクルFJが採用する直結式パートタイム4WDは、状況に応じてダイヤルで手動操作する必要があるうえ、乾燥した舗装路などで旋回をすると前後輪の回転差によってタイトコーナーブレーキ現象が発生する。そのため、4WDとはいえ乾燥路面と雪道が混在するような冬道ではやや扱いづらい。
一方、センターデフを持つフォレスターのアクティブトルクスプリットAWDはそうしたデメリットが一切なく、常に路面状況に応じて前後輪の駆動力を調整し、車両の姿勢を安定させてくれる。
さらに、両車のWLTCモード平均燃費はランクルFJの8.7km/Lに対してフォレスターは13.6km/Lだ。これはパワートレインのスペックだけでなく、500kg以上ある車重差が大きく影響していることだろう。
しかし、本格的なオフロードでの走破力はランクルFJが圧倒する。最低地上高はフォレスターの220mmに対し、ランクルFJは250mmを確保。既存のラダーフレームを短縮して補強を追加したショートホイールベースにより、対地障害角はアプローチアングル30°/ランプブレークオーバーアングル27°/デパーチャーアングル38°となる。対するフォレスターはそれぞれ20.3°/21.3°/25.1°だ。
さらにランクルFJは岩場などで片輪が大きく持ち上がると、反対側のタイヤを路面へ強く押し付けるリジッド式リヤサスペンションが採用されるうえ、大きな排気量のランクルFJは微低速での速度コントロールがしやすい。
加えて、ランクルFJには電動リヤデフロックが標準装備されるほか、手動式のハンドブレーキと油圧パワーステアリングが採用されており、時代に逆行した本格的なオフロード仕様となっている。
もちろん、フォレスターもクロスオーバーSUとしての悪路走破性は高い。路面状況に応じて2モードから選択できる“X-MODE”により、誰が操作しても最適な駆動力に制御されるうえ、独立制御ブレーキ制御による擬似LSD機能がデフロックに近い効果を発揮してくれる。
トヨタ ランドクルーザーFJ VX
エンジン形式=直列4気筒ガソリンエンジン
排気量=2693cc
最高出力=163ps/5200rpm
最大トルク=246Nm/3900rpm
トランスミッション=6速AT
駆動方式=パートタイム4WD
スバル フォレスター Touring EX
エンジン形式=水平対向4気筒ガソリンターボエンジン
排気量=1795cc
最高出力=177ps/5200-5600rpm
最大トルク=300Nm/1600-3600rpm
トランスミッション=CVT
駆動方式=4WD
FJは街乗りも楽なスポーツランクル! 日常での扱いやすさではフォレスター


“ランクルFJ VX”の新車価格は450万100円、“フォレスター ツーリングEX”は399万3000円だ。フォレスターは“アイサイトX”が省かれる非EXグレードであれば385万円から狙え、ターボエンジン仕様でもっとも高額な“スポーツEX ブラックセレクション”でも430万1000円となる。
価格が高いぶん、ランクルFJの装備内容自体は充実している。パワーシートやシートヒーター、ステアリングヒーター、左右独立エアコンが標準で備わり、12.3インチのコネクティッドナビ対応ディスプレイオーディオも標準装備だ。快適装備の充実度はフォレスターと同等と言ってよいだろう。
ただし、先進の安全運転支援機能には大きな差が見られる。ランクルFJにもアダプティブクルーズコントロールは備わるが、パーキングブレーキが電動式ではないため停止保持機能はサポートしてくれない。一方“アイサイトX”が備わるフォレスターの“EX”グレードは停止保持はもちろん、渋滞時のハンズオフ運転も可能だ。
ランクル250より価格が抑えられ、ボディもコンパクトなランクルFJは普段使いもしやすい。しかし、快適性よりも悪路走破性が重視されたオフロードスポーツ寄りの性格となっているうえ、性能を引き出すにはドライバーの技量が求められる。
他方、フォレスターは日常的に遭遇しうる多くのシーンにおいて、快適かつ誰が運転しても高い安定性と走破力を発揮してくれる。実用性や合理性を優先するならフォレスターの方が優れたクルマであることは間違いないだろう。しかし、「ランクル」とはこうした実利とはやや異なるベクトルにあるクルマだ。それはもちろんランクルFJであっても変わらない。
車両本体価格
トヨタ ランドクルーザーFJ VX:450万100円
スバル フォレスター Touring EX :399万3000円
