目次
架装物への動力供給にはいすゞ独自開発の電動PTO※1が採用され、架装物の稼働による電力消費を考慮して、大容量かつ高電圧の走行用バッテリー(66kWh)が搭載されている。またシャシ設計にはいすゞの商品開発手法である「I-MACS」※2が用いられ、車両の操作系やレイアウトがディーゼル車と可能な限り共通化。これにより、これまでディーゼル車で利用されていた様々な架装への対応が可能となっている。特装車としてディーゼル同等の使い勝手を維持しつつ、EVならではの静粛性とCO2排出量削減によりクリーンな街づくりに貢献する。さらに、コネクテッド技術による稼働サポート「PREISM(プレイズム)」に新たに追加された充電マネジメント機能で、効率的な充電により電気代への影響を抑制するEV充電が可能となった。
主な特長
商用BEVに適した大容量高電圧バッテリーの搭載
電動PTOをキャブ後方に配置することで、ショートホイールベースで総電力量※366kWhのバッテリー容量が確保された。電力消費の多い特装車でも安心して使用することができる。
架装にとらわれない汎用性を実現し、耐久性に優れた電動PTOの採用
架装物に応じてPTO搭載位置が変更でき、優れた冷却性能により特装車特有の連続使用にも耐えることができる、いすゞ独自開発の電動PTOが採用されている。
いすゞ独自の開発手法「I-MACS」を用いた設計により、ディーゼル車同等の使い勝手を実現
マルチパスウェイでCN化を進めるいすゞが採用する開発手法I-MACSにより、BEVながらもディーゼル車同等の架装性と使い勝手が実現された。優れた小回り性(最小回転半径4.8m)や、塵芥車架装においては投入口の高さが維持されている。
EVisionで特装車の使われ方に配慮したBEV運用を提案
BEVの特装車では、走行での電力消費に加え、電動PTOで架装物を動かすためにも電力を消費する。いすゞでは、顧客が所有するディーゼル特装車の稼働情報(走行距離や時間、PTOの稼働)をもとに、BEVの電費や消費電力をシミュレーションし、最適なBEV運用を提案する。
稼働サポート「PREISM」による充電マネジメントを新たに標準化
商用車情報基盤「GATEX」を活用して顧客に車両の安定稼働を提供する稼働サポート「PREISM」により、いすゞ独自の充電マネジメントが可能となった。充電プラグ※4を接続するだけで、顧客自身がPREISMウェブ画面から設定した充電スケジュールに基づき、車両が自動で充電の受け入れ制御を行う。これにより車両ごとの効率的な充電管理が実現され、電気料金の上昇を最小限に抑えることが可能。

EVisionプレイズムコントラクトで最適なBEV導入を提供
エルフEVは、いすゞ独自のバッテリー状態予測技術と、PREISMを活用した最適導入プラン「EVisionプレイズムコントラクト」が用意される。車検や定期メンテナンスに加え、万が一のBEV固有の故障整備まで担保し、月々定額で導入できる。またBEVの導入にあたり、顧客それぞれの走行距離からバッテリー劣化状態(SOH※5)を予測し、安心して運用できる最適なリース期間(最大10年間)※6を提案。バッテリー劣化による運用課題を解決し、安心してBEVを運用できるようサポートする。また、今後は顧客にさらなる安定稼働を提供するために、架装物のコネクテッド技術開発も推進される。

「エルフEV」主要モデル諸元
項目 | 塵芥車シャシ | 高所作業車シャシ |
---|---|---|
型式 | ZAB-NMR48AM | ZAB-NKR48AM |
主な仕様 | 準中型免許対応 | 準中型免許対応 |
ハイキャブ/標準ホイールベース/高床 | 標準キャブ/標準ホイールベース/高床 | |
モーター種類 | 交流誘導電動機 | 交流誘導電動機 |
バッテリー種類 | リチウムイオンバッテリー | リチウムイオンバッテリー |
モーター最高出力 | 150kW | 150kW |
モーター最大トルク | 370N・m | 370N・m |
バッテリー容量 | 66kWh | 66kWh |
充電方法 | 普通充電/急速充電(CHAdeMO方式) | 普通充電/急速充電(CHAdeMO方式) |
1充電走行距離 | 190km | 190km |
最小回転半径 | 4.8m | 4.8m |
乗員 | 3名 | 3名 |
主な安全装備・運転支援機能
- 全車速車間クルーズ
- ドライバー異常時対応システム
- ドライバーステータスモニター
- 可変配光型LEDヘッドランプ
- プリクラッシュブレーキ(直進時・右左折時)
- 交差点警報
- 自動作動機能付き電動パーキングブレーキ
国内目標販売台数
40,000台 / 年 (エルフシリーズ全体)
東京地区希望小売価格
リース販売のため車両価格は非公表
【注釈】
※1 PTO:Power Take Offの略。車両の動力源(エンジン、バッテリー等)から架装物に動力を取り出す装置。
※2 I-MACS:主要なコンポーネントをモジュール化し、同じプラットフォーム上で組み合わせることにより、異なる動力源の車両でも様々な架装を可能にする、いすゞ独自の開発手法。
※3 総電力量:車両に搭載したバッテリーのエネルギー量。国連危険物輸送勧告の定義に基づき算出した値で、電圧(V)と容量(Ah)、セル数によって求められる。
※4 普通充電器のみ。
※5 SOH:State of Healthの略。バッテリーの劣化状態を表す数値。
※6:最大10年間のリースは初回のみ。2回目以降は、初回リース満了時のバッテリー状態に応じた再リースプランが提案される。