神戸製鋼所、高砂製作所に水素燃料電池ショベルの高圧水素充填設備の整備を完了。連続掘削作業など本格稼働評価を開始

神戸製鋼所とコベルコ建機は、神戸製鋼所 高砂製作所に水素燃料電池ショベルの高圧水素充填設備の整備を完了したことを発表した。連続掘削作業など、本格稼働評価を開始する。

神戸製鋼所とコベルコ建機は、KOBELCOグループが中期経営計画で掲げている「カーボンニュートラル(CN)への挑戦」の取り組みのひとつとして、水素関連技術の研究開発と水素を利活用した製品化、事業化を進めている。

その一環として、2021年から、コベルコ建機は水素を駆動源とした燃料電池式電動ショベルの実用化に取り組み、2023年3月に試作機を完成、広島事業所内で基礎評価を続けてきた※1。本格的な稼働評価には高圧水素充填と掘削評価が可能な環境が必要なことから、ハイブリッド型水素ガス供給システム※2など水素関連施設が集まる高砂製作所にて整備を進め、今回、水素燃料電池ショベルに充填できることが確認された。

コベルコ建機の水素燃料電池ショベル試作機は、すでに広島事業所にて基礎評価が完了されている。今後は、2026年度に国内で行われる実証実験での活用に向けて、2025年3月以降、高砂製作所にて連続掘削作業など本格稼働評価を行い、水素燃料電池ショベルの現場導入に向けた取り組みを推進していく。

高砂製作所 水素燃料電池ショベルの高圧水素充填設備
走行イメージ

KOBELCOグループは今中期経営計画(2024~2026年度)において「稼ぐ力の強化と成長追求」および「CNへの挑戦」を最重要課題に掲げ、これらを実現するための変革「KOBELCO-X※3」を推進している。今回、神戸製鋼所 高砂製作所で実施した取組みは以下のAX、GXの一例と考えられている。

AX (Ambidexterity:両利きの経営/既存事業の深化×新規事業機会探索)
機械事業部門の「水素を創る」とコベルコ建機の「水素を使う」が連携し高圧水素充填設備の整備による開発を加速

GX(Green Transformation)
建設機械向けに水素利用による脱炭素へ寄与

【注釈】

※1 水素燃料による燃料電池式電動ショベル試作機開発の成果は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業の結果、得られたものである。2021年に助成事業として、「燃料電池システムを搭載した油圧ショベルの研究開発と実証実験」が採択された。

※2 中小規模の事業者様の水素導入のカギとなる「安定かつ安価な水素づくり」に対するソリューションを提供するもので、KOBELCOグループが持つ3つの製品・技術(液化水素から冷熱回収ができる液体水素気化器(IFV)、水電解式水素発生装置(HHOG)、運転マネジメントシステム)より構成される。

※3 KOBELCOグループが魅力ある企業へと変革していくために取り組むべき変革を総称して「KOBELCO-X」と名付けられ、具体的な7つのXが設定されている。

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