「やっちゃうよ日産!」これが世界初の新型フェアレディZ最高速アタックだ!!

マフラー交換からブーストアップ仕様までをガチ検証

真面目なインプレ記事などクソ喰らえ!

ようやく実現の運びとなった、新型フェアレディZの最高速アタック。日本初、いやタイミング的に世界初であろうこの企画に名乗りを挙げたのは、名門“トラスト”だ。

トラストがRZ34(バージョンS)を入手したのは8月上旬だった。そこからECUの解析を進めつつ、市販パーツの開発に着手。現在は試作のエキゾーストマフラーを組み込み、ECU側で過給圧をコンマ3(1.0キロ→1.3キロ)ほど高めた簡易ブーストアップ仕様を構築し、出力はピークで480psに達している。もちろんスピードリミッターも解除済みだ。

細部を見ていく。心臓部に収まるのはストック状態で405psを発揮するVR30DDTT。タービンをはじめとする構成パーツは400Rと共通だが、レスポンスアップを狙ってリサキュレーションバルブが新たに追加されている。今回、吸気系や冷却系パートには一切手を入れていない。

ECUの内部データを書き換えるためのセッティングツールにはECU-TEKを使用。レブリミットは6500rpmでスロットルが閉じはじめて、6700rpmで点火カットが入る仕組みだが、そこはあえてノータッチ。ギヤ比も純正のままとしている。

排気環境は、保安基準を想定した試作の70φマフラーで効率アップ。「純正マフラーは一番細いところで45φ、太いところで62φと、かなり細いんです。そのためマフラー交換は効果絶大ですよ」とは、トラスト開発部の中上さん。

こちらはRZ34チューニングの効果を示すパワーチェックグラフだ。ノーマルからマフラー交換で約10psアップ、そこにECUチューンを組み合わせることで70ps近い出力向上を達成していることが分かる。もちろん、ECUチューンは暫定仕様のため、きっちりと煮詰めれば更なるエクストラパワーが得られることは言うまでもない。

足回りはトップラインプロダクトのアラゴスタ・タイプS車高調で構築。基本的な減衰力特性は先代モデルを踏襲しつつ、最高速仕様として硬めのセッティングを試す。スプリングレートは前後18kg/mm(純正は実測でF9kg/mm R8kg/mm)。

ホイールはボルクレーシングTE37ウルトラ・トラックエディションII(F9.5J+22 R10.5J+22)で、タイヤにはダンロップのSPスポーツMAXX060+(F255/40-19 R275/35-19)を組み込む。タイヤサイズはバージョンS/ST純正とイコールだ。

この歴史的な最高速テストのドライバーを務めるのは、最高速シーンのトップガンにしてOPTIONグループ総帥の稲田大二郎。当日は、日産自動車の関係者も見守る中でのアタックとなったのだが、結論から言うと、RZ34のポテンシャルは想像以上だった。

今回は実験的に「マフラー交換仕様」と「マフラー交換+ECUチューン仕様」の2パターンを試したが、記録はマフラー交換仕様で284.17km/h、0-1000mタイム:25.26秒。ブーストアップ状態で285.23km/h、0-1000mタイム:25.17秒をマークしたのだ。

「6速6500rpmまでストレスなくスムーズに加速していく。良い意味で緊張感がない(笑) すでにアラゴスタの車高調が組まれていたので一概には言えないが、超高速域のフィーリングも驚異的。安定感は確実にGRスープラ以上で、FR車の常識がくつがえるようなレベルだった。変なセーフティも介入しないし、凄いクルマを出してきたもんだな、日産は!」と、稲田大二郎が新世代Zのリアルを語る。

そんな“ミスター最高速”のコメントを聞いて、新型フェアレディZの創造主、日産・田村氏が口を開く。「北米仕様が250km/hリミットなので、そこまでの領域は徹底的に煮詰めました。もちろんチューニングは自己責任ですが、ベースがしっかりしていないと意味がないと僕は思っています。正直、FR駆動で400馬力という領域は限界に近いんです。だから、万人が安全に楽しめるようにセッティングするのは苦労しました。今回は6速MT仕様でしたが、9速AT仕様も完成度が高いので試してほしいですね」。

ちなみに、日産の田村氏はチューニングにも造詣が深い人物だ。稲田大二郎やトラストのメカニック達とVR30DDTTの可能性について、延々と語り合う姿が印象的だった。

なお、マフラー交換仕様とブーストアップ仕様の差が思ったほど無かったことについては、トラスト中上さんが次のように述べている。

「ブーストアップで480psを記録していますが、今回の最高速アタックでは高回転域でブーストがノーマル値より垂れていました。ログデータを見たら、吸気温度が76度まで上がっていて点火リタードもしていたので、それらの影響かもしれません。500ps以上を安定発揮させるためには、冷却系に手を入れた上でのハイフロータービン仕様が主流になるのではないでしょうか」。

トラストでは、今後も新型フェアレディZの特性検証を続けながらパフォーマンスアップに必要なパーツの開発を進めていくそうなので、その進捗に注目していきたい。

●取材協力:トラスト TEL:0479-77-3000

【関連リンク】
トラスト
https://www.trust-power.com/

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