共押出成形によるポリプロピレンとポリ塩化ビニルの接着が可能になる 三菱ケミカル、接着性樹脂「モディック」の新グレードを開発
- 2017/09/28
- Motor Fan illustrated編集部
三菱ケミカル株式会社は、接着性樹脂「モディック」について、ポリプロピレン(以下「PP」)とポリ塩化ビニル(以下「PVC」)を接着することができる新グレードを開発したと発表した。自動車分野でも使われそうだ。
モディックは、ポリオレフィンやポリアミド、エチレン・ビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)等の極性樹脂または金属に対して優れた接着性を有しており、食品包装・建材・自動車等の幅広い分野で、多層フィルム・シート・ブロー成形品・金属被覆等の用途で広く採用されている。
もともと、PP及びPVCは、それぞれ汎用樹脂としてあらゆる用途で使用されているが、両樹脂の極性が大きく異なることから、多層フィルムなどの製造で用いられる共押出成形では、両樹脂を接着させることは非常に困難であると言われ、接着させるためには溶剤型の接着剤を塗布して貼り合わせる工程等が必要だった。(共押出成形とは、複数の押出機を用いて同時に溶かした異なる種類の樹脂を押出・積層して一工程でラミネートフィルムを作る方法のこと)
今回開発した新グレードは、PP、PVCのそれぞれと親和性の高い成分の分散をコントロールすることで、PP-モディックの界面およびPVC-モディックの界面を強化させ、優れた接着性を発現させている。これより、従来は難しいとされていた共押出成形によるPP、PVCの接着が可能となった。
さらに、PVCとこの新グレードを共押出によって製造したフィルムは、PPと熱融着する性能を有するので、貼り合わせ工程の省略化に大きく貢献できる。
また、この新グレードにより、今後、自動車・建材等のさまざまな分野で、PP、PVCの特性を兼ね揃えた、これまでにない構成を有するフィルム・シート・異形押出品等の創出に貢献できるものと期待できるという。
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