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ホンダCB1100の並列4気筒にはなぜV8のようなドロドロ感があるのか? カギは2本出しマフラー?〈HONDA CB1100RS / EX〉

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現行モデルで唯一、空冷4気筒エンジンを搭載するホンダCB1100シリーズ。厳しい排ガス規制に対応してきたホンダの意地には感服するほかなく、空冷ならではのフィールやサウンド、そして冷却フィンの入ったエンジン本体とメッキ処理された4本のエキパイの美しさには惚れ惚れしてしまう。しかしこのCB1100、走らせてみるとあることに気づく。なんだかV型8気筒みたいな音というか、手応えがあるのだ。直列(並列)4気筒なのに? この感覚、なにか間違っている?

現行モデルで世界唯一の空冷直列4気筒

 いまや稀有な存在となった空冷4気筒エンジン。現在、新車で買えるのは、世界でもCB1100、CB1100EX、CB1100RSの3モデルのみだ。事実上これらは同一モデルのグレード違いだから、CB1100が唯一の存在であると言っていい。

 ちなみに二輪の世界ではインライン4のことを並列4気筒と呼ぶのが一般的だが、ここでは四輪と統一するために直列4気筒もしくは直4と表記する。

現行モデルとしては世界唯一の空冷4気筒エンジンを搭載するCB1100シリーズ。

 そんなCB1100だが、走らせてみるとあることに気がつく。パーシャルからアクセルを開けていったときに、まるで四輪のV8エンジンのようなドロドロとした感触があるのだ。サウンドも然りで、直4なのに明確なパルス感がある。

 これって自分の感覚が間違っている?

 直4とV8が似たフィーリングのはずはない。だから自分は、しばらくこの感想を人に話さないようにしておいた。

 ただ、ある日とある動画で、二輪ジャーナリストが「なんだかV8みたい」と話しているのを聞いて自信が持てた。やはりそうですよね、と。 

アイドリング音にはツインのようなパルス感があり、アクセルを開けていくとV8のようなドロドロ感を伴って加速する。直4なのに、なぜ?

 では、なぜ直4なのにV8みたいなフィールやサウンドが生まれるのか? そのカギは2本出しマフラーにありそうだ。

 CB1100の2本出しマフラーは、1番シリンダーと2番シリンダーのエキパイと、3番シリンダーと4番シリンダーのエキパイをそれぞれ集合させたもので、この2系統は完全に独立している。

1番と2番で一組、3番と4番でもう一組、計二組に分かれているエキゾースト。それぞれは途中で連結されておらず、完全に独立している。※この図は2014年モデルのもので、17年に発売されたユーロ4対応モデルのサイレンサー内部は下記のように改められている。
ユーロ4施行によって日本の従来の音量規制とは計測方法が変わり、サウンドチューンの幅が広がった(排ガス規制は格段に厳しくなったが)。CB1100ではサイレンサー内の構造を変更し、よりエキサイティングなサウンドを実現している。

 直4エンジンの点火順序は、一般的に「1、3、4、2」か「1、2、4、3」の順番となる。いずれにせよ180度ごとの等間隔燃焼だが、1番と2番、3番と4番、それぞれの組に絞って見てみると、180度と540度という不等間隔燃焼になっているのがわかる。

 つまりCB1100は、排気系に限って見れば不等間隔燃焼の2気筒エンジンがふたつ横に並んでいるようなものなのだ。

 さらにCB1100では、1&2番の組と3&4番の組でバルブタイミングをズラしているため、微妙に異なる2気筒エンジンがふたつ並んでいるとも言える。これによって、スロットルのリニアリティを上げ、同時にエンジンを回しているという実感をライダーが得やすくしているそうだ。

 こうして4気筒らしいズォッというサウンドに、2気筒のようなパルス感が加わり、ドロドロとしたフィーリングを生み出しているのである。

今どき珍しい左右2本出しマフラーを採用するCB1100。シンメトリーなシルエットはやはり美しい。

 翻ってV8エンジンを見てみると、全体で等間隔燃焼になっているのは直4と同じだが、バンクごとに見ていくと多くのクロスプレーンV8の場合は不等間隔燃焼になっている。これがV8ならではのドロドロ感を発生させているわけで、理屈としてはCB1100と同じだ。もちろんV8の燃焼間隔は90度ごとだから直4とまったく同じにはならないが、なんとなく似ているという感覚を得たのはあながち間違いではなかったようだ。

 もちろん2本出しマフラーといっても、その取り回しによって得られる結果はまったく異なる。四輪の直4搭載車の2本出しマフラーは、たいてい途中で1本に集合された後に二又に分かれているため、CB1100のようにはならない。

 ともあれ、排気効率にも重量面にも優れる集合マフラーではなく2本出しマフラーにこだわり、往年の空冷4気筒らしさをとことん味わわせてくれるホンダの心意気には拍手を送りたいものである。

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