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拡大する5Gの通信需要に対応する技術を開発 NEC:80GHz帯において、伝送距離40mのリアルタイムデジタルOAMモード多重無線伝送に世界で初めて成功

  • 2018/12/31
  • Motor Fan illustrated編集部
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今回の屋外実験装置(左)と復調信号波形のイメージ(右)

NECは、5G時代の無線通信需要の拡大に向けて、OAM(Orbital Angular Momentum:軌道角運動量)を利用した、80GHz帯における伝送距離40mのリアルタイムデジタルOAMモード多重無線伝送に世界で初めて(注1)成功した。NECは今後、本技術を超小型マイクロ波通信システム「パソリンク」に適用し、5Gの商用化に向けて大容量化が求められるモバイルバックホール回線での利用などを目指す。

 5G時代における通信データの大容量化に伴い、端末からのデータを集約する基地局間の通信量は数10Gbps~100Gbpsとなる。混雑した街中などの高トラフィックエリアでは、カバーエリアの狭い基地局を多数設置するスモールセル化の進展が見込まれているが、高密度に設置した基地局のすべてを光ファイバーで接続することは困難なため、光ファイバーの敷設工事が不要な無線での接続が期待されている。しかし、100Gbpsクラスの大容量伝送が必要とされるため、既存技術である無線帯域幅の拡大や変調多値数の増加だけでは実現が困難と考えられている。このような状況において、大きな多重度による大容量化が可能なOAMモード多重無線伝送技術が注目されている。

OAMモード多重無線伝送技術とは

 OAMとは、電磁波の特性の一つであり、同一位相の電波の軌跡が進行方向に対してらせん状になる。電波が1波長進む間のらせんの回転数をOAMモードと呼び、各モードは互いに干渉することがないため、同一の周波数と時間に重ね合わせて伝送し、分離することが可能。本性質を利用し、同一経路上で電波の空間多重化を行う技術が、OAMモード多重無線伝送技術である。

 これまで、アナログ信号処理と伝送データをソフトウェアで解析する処理を組み合せたOAMモード多重無線伝送の実験が報告されていた。今回、NECはリアルタイムデジタル信号処理回路を開発したことで、世界で初めてE帯(71~86GHz)という高い周波数帯で、8つのOAMモードを多重化し、256QAM変調した状態で40m伝送する実験に成功した。実験では、変調速度(注2)115M baud で、7.4Gbps(8モード×8ビット×115 Mbaud)の伝送容量を実現している。OAMモード多重無線伝送を行うには、送信側で複数のOAMモードを生成して多重化し、受信側でモードを分離して情報を取り出す必要がある。今回開発したデジタル信号処理回路により、OAMモードを高精度に生成・分離可能となり、高い周波数利用効率(注3)を実現した。

 今後は、今回開発したOAMモード8多重と、偏波多重技術(注4)を組み合わせて16多重伝送を実現し、128bps/Hz(8モード×2偏波×8ビット)の周波数利用効率を目指して研究開発を進める。また2019年には、より高い周波数帯であるD帯(130~174.8GHz)において実用化の基準となる100m伝送の実現を目指す。さらに、デジタル信号処理部のLSI化と帯域幅の1GHzへの拡大により100Gbps以上の伝送容量を実現し、5G基地局のバックホール回線や、CU(Central Unit:集約基地局)-DU(Distributed Unit:リモート局)間のフロントホール回線への適用を目指す。

 なお、本研究開発は総務省委託研究「ミリ波帯における大容量伝送を実現するOAM モード多重伝送技術の研究開発」により実施されたもの。

(注1) 2018年12月19日現在。NEC調べ。
(注2) デジタル変調方式では、一定の時間間隔で送信シンボルを切り替えるが、その切り替えの間隔の逆数のこと(単位はbaud:ボー)
(注3) 帯域幅1Hzあたりの伝送容量。数値が大きいほど、電波の利用効率が高いことを示す。
(注4) 垂直方向と水平方向の電波を多重化すること。双方は互いに干渉しないため、無線伝送の容量を拡大する技術として従来から用いられている。

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