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内燃機関超基礎講座 | 直列6気筒を横置きで収める奇策、かつての「ボルボ T6」

  • 2020/09/30
  • Motor Fan illustrated編集部
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かつてのボルボT6には、直列6気筒エンジンをフロント横置きで載せるユニークなレイアウトがとられていた。長いパワートレーンは、まるでパズルのように巧妙に仕立てられている。

ボルボ・カーズがエンジン縦置きFRから横置きFFへのシフトを開始したのは、92年登場の「850」からだった。その後、フォードグループ時代にプラットフォームを一新し、SUVの「XC90」を除いては直4/5/6気筒エンジンを横置き搭載する方式に統一した。エンジンはフォードグループが開発分担し、マツダ/フォード/ボルボがグループ内のエンジンラインアップを共同でまかなう体制となる。

直6さえも横置きとした最大の理由は、衝突安全性の確保である。バルクヘッド近傍にエンジンを置き、エンジンルーム内の前方にはハードポイントになるものを置かないという考え方である。この搭載方法に合わせてボディ骨格は設計され、エンジンは「前後方向に450mm以内」という内規が敷かれた。V6横置きはまったく選択肢になかったという。

この直6から1気筒を外したものがフォード・クーガに搭載されている5気筒2.5ℓである。直5レイアウトのエンジンは「850」から採用されているが、近年のボルボでは過給ディーゼルが直5の主流でありガソリンは少数派になった。直6にディーゼルはなくガソリンのみの設定で、複数モデルの最上級仕様に搭載されている。

なお、この直6はエンジンルーム腰下を縦貫する左右フロントサイドメンバーのスパン内に収めるため、補器類のレイアウトが工夫されている。変速機側にカムシャフト駆動チェーンおよび補器駆動用プーリーを配置し、エンジン前面に補器をオフセット配置するという、あまり例を見ないレイアウトである。整備性とパッケージングとの妥協点であり、エンジンブロックの反対側には何もなくエンジンマウント(その容量の大きさと頑丈さに注意)もブロック端面からオフセットされている。この工夫の結果、マルチシリンダーの商品性を活かした横置きが実現した。車載は前方吸気/後方排気であり、ターボチャージャーはバルクヘッド直前に置かれている。

上方から

直列6気筒をフロントに横向き配置するという稀少なレイアウト。クラッシャブルゾーンと、歩行者保護性能の確保というのが主な目的ということで、シリンダーを後傾させ、シリンダーヘッドは左右ストラットタワーの間に入り込むかたちとなっている。一見すんなりと載っているようだが、A/Cコンプレッサーや、カムチェーン機構などをトランスミッションの上にオーバーハングするかたちで配置するという、執念にも近い工夫のうえに成り立っている。前方に位置するサージタンクは樹脂製。燃料供給はPFIだ。

下方から

アルミキャスト製のエンジンオイルパンの右脇を、後から前へとターボ配管が横断。エンジン後方のタービンで圧縮された空気を、フロントグリル下側のインタークーラーへ導く。トランスミッションは6速のステップATで、バルブボディは前面に配置。写真では見えないが、パワーステアリングは電動式の油圧ポンプを持つ電動油圧式。AWD(四輪駆動)ということで、車軸の中央にあたる部分にはトランスファーが設けられている。

パワートレーン

横置きFFレイアウト専用に開発された直列6気筒エンジン。最大の特徴はトランスミッションの上にオーバーハングするかたちで配置されるカムトレーン。エンジン全長を出来る限り短くするための工夫で、A/Cコンプレッサーやオルタネーターもトランスミッション近くに集められている。ここまでして直列6気筒を横置きにする理由は、衝突安全性と歩行者保護性の確保にあるが、その独特なレイアウトは優れたハンドリングも生み出す要因にもなっている。

エンジン後方に収まるタービン。ツインスクロールタイプをシングルで装備。排気量に対し比較的小径サイズとなっており、わずか2100rpmで440Nmの最大トルクを引き出し、4200rpmまでトルクピークを維持する。

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