YAMAHA NMAX155
HONDA PCX160

まさか上級仕様を、ほぼそのまま日本で販売するとは……。僕がホンダの一員だったら、ヤマハの姿勢にショックを受けたに違いない。と言うのも、25年型PCX125/160は海外で販売中のDX/RoadSync、5インチTFTディスプレイ、ターンバイターン式ナビ、スマホとの連携機構、リザーブタンク付きリアショックを装備する、上級仕様の導入を見送ったのである。

ところが25年型NMAX155は、YECVTに加えて、4・2インチTFT+3・2インチLCDのデュアルディスプレイ、ターンバイターン+マップ表示が可能なナビ、スマホとの連携機構など、海外市場向け上級仕様のターボと同じ豪華な装備を採用しているのだ(ただしスマホとの連携機構は21年型から)。

しかもNMAX155の価格は、PCX160より安いのである。となると、今後のホンダがDXの国内導入を始めるとしても、価格設定で大いに悩むことになるだろう。

もっとも、日常的に市街地の移動にスクーターを使用するライダーにとっては、依然としてPCX160のほうが魅力的なのかもしれない。シート下のトランクスペースとガソリンタンク容量は従来型と同じく、PCX:30/8・1ℓ、NMAX:23/7・1ℓで、WMTCモードの燃費から算出できる航続可能距離は、PCX160:44・9×8・1:363・69km、NMAX155:46・4×7・1=329.44kmなのだから。

PCX160とNMAX155の車体サイズを比較

PCX160の収納とユーティリティー

シート下はフルフェイスを収納し、さらに余裕が。
乗車姿勢でも開閉しやすいリッド付き収納には600mlのボトルも収納。
USBタイプC電源を装備。

PCXの魅力として多くのライダーが筆頭に挙げるのは、シート下のトランクスペースとガソリンタンク容量の大きさ(写真のヘルメットはショウエイZ8)。この2点に関しては、NMAXを完全に上回っているのだ。フロントポケットはリッド付きの左側のみ。

NMAX155の収納とユーティリティ

アライRX-7RRとレインウェアなどが収納可能。
左側収納には500mlボトル2本が収納でき、右側にも収納を備える。
左側収納上部にはUSBタイプC電源を装備。

NMAXのトランクスペースは、基本的にフルフェイスヘルメットの収納は考慮していないようだが、アライRX-7RRは何とか収まった。フロントポケットは左右2ヵ所で、2代目まではDCジャックだった電源は、3代目でPCXと同じUSBタイプCに変更。

PCX160とNMAX155のメーターを比較 まずはPCX160

NMAX155のメーターはこちら

シルバーの外枠はデザインを変更しているが、PCX160のLCDメーターは従来型のデザインを継承している。一方のNMAX155は、スマホと連携してさまざまな機能が楽しめるうえに、タコメーターの表示が可能なTFT+LCDのデュアルディスプレイを新規採用。

足つき性やステップ周辺をチェック まずはPCX160

大差ではなくても、ハンドルが幅広でグリップがライダーに近く、着座位置が低いPCXのライポジは、NMAXよりフレンドリー。25年型はフットスペースを大幅に拡大。タンデムステップは車体との一体感を意識したデザインで、タンデムシートの面積はNMAXより大きい。

NMAX155の足つき性とステップ

ハンドル幅が適度に狭く、着座位置がやや高いNMAXの乗車姿勢は、PCXよりスポーティな雰囲気。コーナリング中はリアの高さが絶妙と思えた。シート高が6mm高く(PCX:764mm、NMAX:770mm)、シート前端の絞りが少ないため、足つき性はPCXに軍配が上がる。

PCX160のメインキーをチェック

NMAX155のメインキーをチェック

イグニッションはどちらのモデルも、鍵の抜き差しが不要のスマート式。NMAXのスマートキーにボタンは1個しか存在しないものの、PCXと同様にアンサーバック機能が備わっている。ガソリンタンクリッドとシートの開閉ボタンは、PCX:独立式、NMAX:シーソー式。

フロント周りとディスクブレーキ

PCX160
NMAX155

タイヤサイズは、PCX:14/13インチ、NMAX:前後13インチ。前後ショックを刷新した25年型NMAXは、従来型より乗り心地が良好になっているものの、以前からコンフォート指向だったPCXには及んでいない。ABSの利き方はフロントのみのPCXのほうが好感触で(しかもリアはロック時のコントロール性が秀逸)、前後に装備するNMAXは作動時のキックバックが大きめ。後輪の滑りを抑制するトラクションコントロールの作動感は、どちらもナチュラル。

スイッチBOXを比較検証

NMAX155

シフトダウンやモード切り替え、TFTモニター内の情報を選択・決定するレバー/ボタンが備わる、NMAX155の左スイッチボイックスは専用設計で、操作性は非常に良好。PCXとは異なり、メーターの表示内容を変更・決定する際に、本体に手を伸ばす必要はない。

PCX160

PCXのスイッチボックスは先代と共通で、右はNMAX同じく、アイドリングストップのオンオフ・ハザード・セルボタンを設置。なお近年のホンダ車はこの構成が定番で、使用頻度の高さと左手親指の移動量の少なさを考慮して、ウインカースイッチを最下段に設置。

PCX160の灯火類の発光スタイル

スラントノーズを導入した25年型PCXのヘッドライトは、シリーズ初の左右独立式。V字型シグネチャーライトの左右上端には、バイファンクションタイプのフロントウインカーが備わる。薄型テールランプは、ハザードランプ使用時に従来と同様のX型で点滅。

画像は上段左からロービーム、ハイビーム、ハイビーム+ハザード。下段左からポジション、ブレーキ、ブレーキ+ハザード。

NMAX155の灯火類の発光スタイル

中央に備わるプロジェクター式ヘッドライトは上下2灯式で、左右のポジションランプはN+Nの鏡文字がモチーフ。リアの灯火類は、上:テールランプ/下:リアウインカーという分割構造で、前者は斜め上からの角度でMAXのMに見えることを意識してデザイン。

画像は上段左からロービーム、ハイビーム、ロービーム+ハザード。下段左からポジション、ブレーキ、ブレーキ+ハザード。

最後に維持費などのおはなし

今回はいろいろな角度からPCX160とNMAX155の魅力を記してみたけれど、実際にこの2台のいずれかを購入するとなったら、基本設計の多くを共有する125ccの弟分とどちらにするかで悩む人が少なくないと思う。もっともNMAXの場合は、豪華な装備に惹かれて155を選択する人が多いかもしれないが、一般的な視点で考えると、高速道路を使いたいなら兄貴分、維持費の安さを重視するなら弟分、ということになるだろう。

ただし、排気量が125cc以下の原付二種と、126cc以上の軽二輪の維持費の差額は、そんなに極端ではないのである。もちろん125cc以下の場合は、4輪車の任意保険に付帯可能な原付ならではの特典、ファミリーバイク特約(費用は年間1~2万円前後)が利用できるものの、年齢が30歳以上なら、軽二輪の任意保険の年額は3万円前後なのだ。

そして軽自動車税/重量税/2年契約の自賠責保険料は、125cc以下:2400円/ナシ/8560円、126cc以上:3600円/4900円(新車登録時のみ)/8920円だから、原付二種と軽二輪のトータルでの維持費の差額は、多めに見積もっても2万円台中盤なのである。

その数値をどう感じるかは人ぞれぞれだが、僕としては、原付二種の弟分とは似て非なる資質を備えた、軽二輪のPCX160とNMAX155を購入する際の障壁は、意外に高くない……ような気がしている。

HONDA PCX 160 価格:46万2000円

SPECIFICATIONS

全長×全幅×全高:1935mm×740mm×1125mm
シート高:764mm
ホイールベース:1315mm
エンジンタイプ:水冷4ストローク4バルブ単気筒
総排気量:156cc
内径×行程(mm):φ60.0×55.5
圧縮比:12:1
最高出力:15.8ps/8,500rpm
最大トルク:15Nm/6,500rpm
変速機型式:CVT
始動方式:セルフ式
車両重量:134kg

燃料タンク容量:8.1ℓ
タイヤ(前):110/70-14
タイヤ(後):130/70-13

ブレーキ形式(前):ディスク
ブレーキ形式(後):ディスク
ABS:前

YAMAHA NMAX 155 価格:45万9800円

SPECIFICATIONS

全長×全幅×全高:1935mm×740mm×1200mm
シート高:770mm
ホイールベース:1340mm
エンジンタイプ:水冷4ストローク4バルブ単気筒
総排気量:155cc
内径×行程(mm):φ58.0×58.7
圧縮比:11.6:1
最高出力:15ps/8.000rpm
最大トルク:14Nm/6,500rpm
変速機型式:CVT
始動方式:セルフ式
車両重量:135kg

燃料タンク容量:7.1ℓ
タイヤ(前):110/70-13
タイヤ(後):130/70-13ブレーキ形式(前):ディスク
ブレーキ形式(後):ディスク
ABS:前後

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