基本情報

日産・エクストレイル

現行エクストレイル(T33系)は、発電用エンジンで電力をつくり、走行はモーターが担うe-POWERを採用する。発電用エンジンは1.5L直列3気筒の可変圧縮比「VCターボ」KR15DDT型である。

2WDはフロントモーターで前輪を駆動し、e-4ORCEはフロントに加えてリヤモーターも用い、前後輪を電動制御で駆動する。ボディ寸法(全長×全幅×全高)は4,660×1,840×1,720mm、ホイールベースは2,705mmで、ミドルSUVとして取り回しと居住性・積載性のバランスを取りにいくサイズ感だ。

加えて、e-POWERの採用に合わせてプラットフォームやボディ構造も刷新され、遮音・高剛性化など車格感を高める方向で作り込まれている。

代表グレード(X)

項目数値・仕様
駆動方式前輪駆動(2WD)
発電用エンジン型式 / 排気量KR15DDT / 1.497L
発電用エンジン最高出力106kW(144PS)/ 4,400〜5,000rpm
発電用エンジン最大トルク250N・m(25.5kgf・m)/ 2,400〜4,000rpm
フロントモーター(最高出力 / 最大トルク)150kW(204PS)/ 4,739〜5,623rpm・330N・m(33.7kgf・m)/ 0〜3,505rpm
変速比・最終減速比(参考)エンジン:KR15DDT-BM46/最終減速比(フロント):8.821
WLTC燃費(国交省審査値)19.7km/L
使用燃料無鉛レギュラーガソリン
燃料タンク容量55L
全長×全幅×全高4,660 × 1,840 × 1,720mm
ホイールベース2,705mm
乗車定員5名
最小回転半径5.4m

代表グレード(X e-4ORCE)

項目数値・仕様
駆動方式4WD(e-4ORCE)
発電用エンジン型式 / 排気量KR15DDT / 1.497L
発電用エンジン最高出力106kW(144PS)/ 4,400〜5,000rpm
発電用エンジン最大トルク250N・m(25.5kgf・m)/ 2,400〜4,000rpm
フロントモーター(最高出力 / 最大トルク)150kW(204PS)/ 4,501〜7,422rpm・330N・m(33.7kgf・m)/ 0〜3,505rpm
リヤモーター(最高出力 / 最大トルク)100kW(136PS)/ 4,897〜9,504rpm・195N・m(19.9kgf・m)/ 0〜4,897rpm
変速比・最終減速比(参考)エンジン:KR15DDT-BM46-MM48/最終減速比(前):8.283(後):7.282
WLTC燃費(国交省審査値)18.4km/L
使用燃料無鉛レギュラーガソリン
燃料タンク容量55L
全長×全幅×全高4,660 × 1,840 × 1,720mm
ホイールベース2,705mm
乗車定員5名
最小回転半径5.4m

エクストレイルの魅力

日産・エクストレイルの魅力は、電動化による走りの質感を核にしつつ、悪条件での安心感と日常の実用性まで一つのパッケージにまとめている点だ。

e-POWERの強みは、モーター駆動ならではの滑らかな出足と、街中で扱いやすいシームレスな加速にある。アクセル操作に対してトルクが立ち上がりやすく、ストップ&ゴーの多い市街地でもレスポンスが鈍らない。

加えて、エンジン回転と加速が直結しにくい構造ゆえに加速のつながりが途切れにくく、運転の雑味が出にくいのもメリットだ。静粛性や乗り心地の面でも電動化の利点を体感しやすく、日常域の快適性を底上げする設計である。

e-4ORCEは「滑りにくい4WD」という説明に収まらず、車体の動きを整える制御に踏み込んでいる点が持ち味だ。前後トルク配分に加えてブレーキ制御も統合し、4輪でグリップを引き出す思想があるため、雪道や濡れた路面での発進性だけでなく、コーナリングや加減速でも姿勢が乱れにくい方向に効きやすい。

結果として、ドライバーの安心感が増すだけでなく、揺れの収まりが良くなりやすく同乗者の快適性にも寄与する。

ボディは全長4.69m・全幅1.84m級で、ミドルSUVとして取り回しとユーティリティのバランスを取りやすいサイズ感だ。室内・荷室は日常からレジャーまでの使い方を想定した作り込みで、積む・片づけるといった実用面の満足度を押し上げる。

加えてプロパイロットなどの運転支援や全方位の安全支援装備が用意され、長距離移動の疲労や混雑した場面での不安を減らす方向にも配慮されている。

エクストレイルの気になるポイント

エクストレイルの気になるポイントは、大きく3つ。

まず、燃費は使い方で変わりやすい点だ。

カタログ(WLTC)の数値は参考になるが、渋滞が多いか、高速が多いか、坂道が多いか、エアコンを強く使うかで実際の燃費は動く。特に冬は燃費が落ちやすいので、「カタログ値=いつも出る数」ではなく、上限の目安として見たほうが期待外れになりにくい。

次に、2WDとe-4ORCEでは性格が違う点だ。

e-4ORCEは雪道や雨の日の安心感が強みだが、そのぶん車重が増えたり、燃費が少し不利になったりしやすい。つまり、安心感を取るか、軽さ・燃費・シンプルさを取るかで向き不向きが分かれる。「4WDが必要ないのに何となくでe-4ORCEを選ぶ」と、費用に対して満足度が伸びにくい。

最後は、電動車ゆえに点検・保証の重要度が上がる点だ。

e-POWERは走りが良い一方で、中古だと状態の良し悪しが見えにくいことがある。だからこそ、整備記録がきちんと残っているか、診断機で点検しているか、保証が付くかを重視したい。ここが弱いと、購入後に不安が残りやすい。

まとめると、エクストレイルのデメリットは「致命的な欠点」というより、燃費の期待値、駆動方式の選び方、購入後の安心設計(点検・保証)の3点がズレたときに目立つ。逆に、この3点を先に揃えれば、弱点はかなり管理しやすい。

エクストレイル 中古車市場

中古車市場は、現行のT33系が年式の新しい車・走行距離の少ない車が多く、そのぶん価格も高めになりやすい。価格相場は平均価格が約374万円、価格帯は約243万〜549万円とされている。

一方で先代のT32系は流通量が多く、年式・走行距離・グレードの選択肢が広いぶん価格帯の幅も大きい。価格相場では、平均価格が約143万円、価格帯は約39万〜290万円となっており、同じ「エクストレイル」でも世代で主戦場の価格帯が大きく変わる点が特徴だ。

さらにT33系は、2WDとe-4ORCEで燃費・車両重量・最低地上高などの基本スペックが変わるため、「どちらの駆動方式を前提にするか」を先に固定したほうが、候補の絞り込みも相場感もつかみやすい。

エクストレイル 中古車 注意点

エクストレイルを中古で購入を検討する際に注意したいのは、リコールや改善対策の実施状況を確認することだ。年式・仕様によって対象となる可能性があるため、購入時は「対象車両か」「対策が実施済みか」を車台番号ベースで照会し、書類や履歴で確認しておくと安心だ。

e-POWER車は電装系の健全性が満足度を左右しやすい。購入前点検では警告灯の点灯履歴、12Vバッテリーの状態、診断機チェックの有無、整備記録の連続性を重視し、体感では分かりにくい不具合を記録で潰していくのが合理的である。

e-4ORCE車は前後輪を使うぶん、タイヤの状態が走りに直結する。銘柄の不一致や摩耗差、偏摩耗、ローテーション未実施、極端に安価なタイヤへの交換歴がある個体は、乗り味の劣化だけでなく本来の制御の良さも出にくくなるため警戒したい。

エクストレイル 中古車が高い理由

エクストレイルの中古車が「高い」と感じられるのは、人気の条件に買い手が集まりやすく、値段が下がりにくいからである。

まずSUVは全体的に人気があり、その中でも現行のT33系はe-POWERが前提で、さらに「e-4ORCE(電動4WD)」を狙う方が一定数いる。欲しい人が同じ条件に集まるため、状態の良い車は早く売れやすく価格も強く残りやすい。

次にT33系は年式が新しい車が多く、「新しい」「走行距離が少ない」「装備が充実している」といった要素がそのまま値段に乗りやすい。中古車は基本的に新しいほど値下がりがゆるやかなので、相場が一気に落ちにくい。

さらにエクストレイルは、2WDかe-4ORCEか、2列か3列か、装備の差がはっきりしていて、買う側が条件を決めて探しやすい。条件が揃った車は比べる相手が少なくなり、欲しい人が重なりやすいので結果として値段が下がりにくくなる。

エクストレイル フルモデルチェンジ

エクストレイルは世代ごとに「どんなSUVであるべきか」という思想と、得意分野を少しずつ更新してきた。大枠では、初期は道具としての4WD、T32系で乗用車感覚の都会派SUV、T33系で電動SUVへと軸足を移してきた流れが読み取れる。

2000年に登場した初代(T30系)は、角張ったデザインと実用本位のパッケージで、アウトドアや悪路走行を強く意識したモデルだ。国内では2.0Lターボ「GT」まで用意され、走りのキャラクターも含めて硬派なSUVとしての色が濃かった。

続く2007年の2代目(T31系)はこの路線を受け継ぎつつ、装備や完成度を高めて成熟した世代だ。防水シートなど「外で使う」ことを前提にした作り込みが象徴的で、道具感を残しながら日常性を底上げしていった。

2013年に登場した3代目(T32系)は、エクストレイルの立ち位置を大きく広げたモデルだ。デザインと乗り味を都市型SUV寄りに振り、より幅広いユーザーが選びやすい方向へ舵を切った。

そして2022年に登場した現行4代目(T33系)は、方向性の変化が最も分かりやすい。国内仕様はガソリンモデルを廃止してe-POWER専用へ一本化し、第2世代e-POWERと1.5L可変圧縮比VCターボ(KR15DDT)を組み合わせた電動SUVとして再定義された。

4WDもe-4ORCEへ刷新され、雪道・悪路でのトラクションだけでなく、街中の加減速やカーブでも車体姿勢を整え、乗員の快適性を高める思想が前面に出ている。

さらにT33系は、2025年の改良に加えて走りをよりスポーティに仕立てた「エクストレイル NISMO」を追加することで、ラインアップの幅を広げた。

NISMOはSUVの課題になりやすいボディモーションの抑制と乗り心地の両立を狙い、カヤバ製のSwing Valveショックアブソーバーの採用や、「NISMO tuned e-4ORCE」としての専用チューニングを盛り込み、オンロードでの安定感と気持ちよさを強める方向で位置づけられている。

エクストレイル やめとけ?

「やめとけ」と言われる場面は、エクストレイルに致命的な欠点があるというより、買い方と期待が合っていないときに起きやく、主な理由は3つ。

1つ目は価格だ。T33系はe-POWER専用で、装備も充実しているぶん総額が上がりやすい。中古でも年式が新しい個体が多く、「とにかく安く買いたい」という前提だと候補が絞れず割高に感じやすい。

2つ目は電動化への不安である。e-POWERは走りが滑らかでメリットが大きい一方、中古では「きちんと整備されてきたか」「保証が付くか」が安心感を左右する。整備記録が薄い個体や、保証のない買い方だと不安が残りやすく、満足度が下がりやすい。

3つ目は期待のズレだ。たとえば高速道路を長時間走るのが中心なのに燃費だけを期待しすぎる、雪道にほとんど行かないのに安心感だけでe-4ORCEを選ぶといったズレがあると、支払った金額に対して「思ったほど良くない」と感じやすい。結果として、コスト増と評価のブレにつながる。

逆に言えば、街乗り中心で運転のしやすさを重視し、週末はレジャーにも使うような生活なら相性は良い。雪道に行く機会がある場合はe-4ORCEが効きやすく、そうでなければ2WDで十分満足しやすい。用途に合わせて選べば、「やめとけ」とは言われにくいはずだ。

まとめ

日産・エクストレイルは、日常で扱いやすいサイズ感に、アウトドアや雪道も想定した安心感を重ねたミドルSUVであり、現行T33ではe-POWERを核に「電動SUV」としての完成度を高めたモデルだ。

モーター駆動ならではの滑らかな加速と静かさ、そしてe-4ORCEによる安定感が街中から悪条件までの守備範囲を広げている。加えて、荷室を含む実用性や運転支援・安全装備の厚みも日常の負担を減らす方向で効きやすい。

一方で、燃費は使い方で振れやすく、2WDとe-4ORCEでは車の性格が変わる。雪道の出番が少ないのにe-4ORCEを選ぶ、高速走行中心なのに燃費だけを期待しすぎるといった条件のズレがあると「思ったほどではない」と感じやすい。

中古では電動車ゆえに、整備記録や保証の有無が安心感と満足度を大きく左右する点も押さえておきたい。

これらを踏まえ、ライフスタイルに合う世代と駆動方式を選び、状態と保証まで確認できれば、エクストレイルは日常と非日常を無理なくつなぐちょうどいい相棒になり得るはずだ。