専用チューニングや剛性向上 マニアックな味付けが魅力的

ヴェルファイアは、国産ミニバンの王者=アルファードとDNAを共用する姉妹車である。かつては販売チャンネルを分けていたが、トヨタの国内販売体制が2020年5月に「全販売店で全車種取り扱い」に切り替わると、その影響をもろに受けた先代ヴェルファイアの販売台数はアルファードの5%以下に落ち込んだ。

エクステリア

姉妹車のアルファードと比べて、前後バンパーモールやフォグカバーモールなどめっきづかいが目立つヴェルファイア。「Executive Lounge」のオーソドックスなめっきに対し、「ZPremiere」グレードはスモークめっきを採用。撮影グレードの最低地上高は155㎜だが、同じく19インチタイヤを履くハイブリッドグレードの最低地上高は160㎜と若干高い。
全車19インチアルミホイールを標準装備するが、グレードにより3つの意匠が用意される。バンパーのめっきモールはヴェルファイアの差別化ポイント。最小回転半径は5.9m。

実際、現行型の開発でも途中までは「ヴェルファイア廃止」の方針だったとか。しかし、豊田章男会長(当時は社長)をはじめとした「ヴェルファイアのユーザーの方が思い入れがある」との指摘もあって、最終的にはヴェルファイアも残された。ただ、同じ販売店での併売となれば、これまで以上にキャラクターの差別化が不可欠。そこで、もともとアルファードとして考えられていたグレードのうち、ドライバーズカー的な性格が強いものをヴェルファイアとして、それをベースに独自の乗り味をあらためて突き詰めたのだ。

乗降性

結果として、このヴェルファイアの生き残り策は正解だった。例えば、この25年(の10月まで)の販売台数でも、約7.4万台のアルファードに対して、ヴェルファイアは約2.8万台。〝アルヴェル〞全体でのシェアは先代末期の5%以下から30%近くまで上昇した計算になる。そんなヴェルファイアは、従来より明確にキャラクターが立っている。トレードマークであるフロントグリルは〝格子〞のアルファードに対して、ヴェルファイアが〝横桟〞となるのは先代からの伝統だ。パワートレインの選択肢もアルファード同様の3種類だが、2.5ℓハイブリッドと同プラグインハイブリッドの2種がアルファードと共通となる一方、2.4ℓターボはヴェルファイア専用エンジンである。アルファードでは代わりに手頃な2.5ℓ自然吸気が用意される。また、アルファードにある2列目がベンチシートとなる「X」に相当するグレードも、ヴェルファイアには用意されない。

インストルメントパネル

インパネ中央の14 インチ大画面のディスプレイオーディオは標準装備。メーターは12.3インチのフル液晶タイプ、カラーヘッドアップディスプレイも備え、情報表示は万全だ。

このように、パーソナルなドライバーズ色が強いところが、アルファードに対するヴェルファイアの個性だ。その極めつけは専用仕立てのシャシー。パワートレインの差別化だけでなく、見えない部分にもマニアックに手を入れるのが、近年のトヨタらしい。具体的には、フロント周辺のボディ剛性を引き上げるフロントパフォーマンスブレースと周波数感応型ダンパーというアイテムが、ヴェルファイアには全車標準装備される。

居住性

また、アルファードでは一部17インチとなるホイールも、ヴェルファイアでは全車が19インチとなる。実際、ヴェルファイアの走りは、カーマニアが自分でステアリングを握るならこっち……と言いたくなる仕上がりだ。低速での〝いなし〞はアルファードに分があるものの、ステアリングの正確性、そしてロールが深まったときの踏ん張りはヴェルファイアに軍配である。

うれしい装備

電動式パワーリヤゲートの開閉スイッチはテールランプ脇の車両側面(左右両側)に配置される。開閉するリヤゲートを気にすることなく操作できるのは便利だ。リヤゲート停止位置のメモリー機能も備わっている。
グリップ長620㎜のアシストグリップと、実測で地上高220㎜に展開するユニバーサルステップのおかげで、さまざまな乗員が乗りやすいのはうれしい。
月間販売台数    2866台(25年5月~10月平均値)
現行型発表     23年6月(PHEV追加 24年12月)
WLTCモード燃費   17.7㎞/ℓ※「Z Premie(r ハイブリッド)」のFF車  

ラゲッジルーム

また運転手の技量によっては、良くも悪くも余分な動きの少ないヴェルファイアの方が結果的に乗り心地も快適に感じられるケースもあるだろう。また、2列目に同じエグゼクティブパワーシートを備える「Z」系のグレードでも、ヴェルファイアはシート表皮が高級なナッパ本革となる「Zプレミア」となることも忘れてはならない。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.173「2026年 ミニバンのすべて」の再構成です。

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