その1【スズキ V-STROM250SX】街、峠、ダート……ぜんぶ欲張っちゃう!

SPECIFICATIONS

■全長×全幅×全高:2180mm×880mm×1355mm ■ シート高:835mm ■ 車重:167kg ■エンジン形式:油冷4ストSOHC 4バルブ単気筒 ■ 総排気量:249cc ■ 最高出力:26.0ps/9300rpm ■最大トルク:2.2kgm/7300rpm ■燃料タンク容量:12.0ℓ ■変速機形式:6速リターン ■ブレーキ(前・後):ディスク・ディスク ■タイヤサイズ(前・後):100/90-19・140/70-17 ■価格:56 万 9800 円

まことに欲張りなスズキの新提案!

最初に言ってしまうが、先輩格である2気筒のVストロームは素晴らしい完成度を誇る軽二輪アドベンチャーモデルだ。何者にも急かされることなく、穏やかなエンジンの優しいトルクに身を任せて街やカントリーロード、高速やワインディングを走っていると……まるで解脱してしまったような心境にさえなれた。そんなココロの平安がVストロームの成分に含まれているのである。
そこに割って入ってきたのが後輩のVストローム250SX。「なんぼのもん?」という邪なキモチで試乗してみると……ありゃりゃ、これはこれで愉快痛快。弱点の見当たらない万能スポーツモデルだった。

ベースモデルであるジクサー250同様に、軽いボディとイージーな取り回しがまず好感触。シャープな吹け上がりと十分なパワー特性のエンジンから、俊敏なハンドリングとスムーズな制動まで、様々な部分でジクサーの美点と共通する。全体の印象は先輩Vストよりもスポーティなのだが、SXのいいところはそこに安住していないところ。スポーティ過ぎず、おおらかな乗り味(コンフォートさ)もきっちり盛り込まれているのだ。それでいてオフロード方面への〝欲〞を見せるあたり、デュアルパーパスとしてのマルチな才能を感じてしまう。
先輩と後輩。どちらも〝ゆるバイ〞の資格十分なナイスモデルなのだ。

ラリーメーターをイメージさせる、太字のレタリングが個性的なフル液晶ディスプレイ。

エンジンはコンパクトでシンプルな

スズキ独自の油冷式を採用。

最高出力は26psを発揮する。

軽めの車体とパワフルで扱いやすい単気
筒エンジン。走る場所を選ばないオール
ラウンダーさが信条だ。

コチラは兄弟モデル
●V-STROM250
ロードモデルがベースなのはSXと共通だが、油冷単気筒エンジンを持つV-STROM250SXに対して、こちらは水冷2気筒エンジンを採用している。車重はSXよりも27kgほど重いものの、静粛性と高級感に優れる。SXにはないセンタースタンドやハザードランプを装備する。

その2【ホンダ CL250】スクランブラーに “ゆるバイ” の素質アリ!

SPECIFICATIONS

■全長×全幅×全高:2175mm×830mm×1135mm ■ シート高:790mm ■車重:172kg ■エンジン形式:水冷4ストDOHC 4バルブ単気筒 ■総排気量:249cc ■ 最高出力:24.0ps/8500rpm ■最大トルク:2.3kgm/0000rpm ■燃料タンク容量:12.0ℓ ■変速機形式:6速リターン ■ブレーキ(前・後):ディスク・ディスク ■タイヤサイズ( 前・後)110/80-19・150/70-17 ■価格:62 万 1500 円

思い立ったらスクランブル発進!

CL250は「スクランブラー」の語感が感じさせるほどにクラシカルなルックスではないが、それでもアイコンとしてのアップマフラーやタンクラバーを手始めとして、前後サスのストローク延伸、ホイールサイズの変更(前後16インチ→フロント19インチ、リヤ17インチ)などが丁寧に施されている。これはもう別のマシンと言って良さそうだ。大きなホイールの割にはシート高が790mmと低めに抑えられており、身長172cmのテスターの両足はしっかり地面に着地。意外に大きな排気音に昂りを感じつつ、軽いクラッチをつなげば車体はポンッ!と気持ちよく前に飛び出した。
CL250に装着された幅広のハンドルでこのエンジンパワーをコントロールしていると、なにやら「これがスクランブラーというものなのか?」という気持ちになってくる。バイクの楽しさは、オレが操っているぜという感覚にこそある。

そのことを思い出させてくれた新型CL250の試乗だった。そしてあらためて、スクランブラースタイルのバイクの中に〝ゆるバイ〞成分が濃いことを思い知ったのである。

試乗した3台の中でもっとも気遣いがい
らなかった、低速からトルクフルでめち
ゃ扱いやすい水冷単気筒エンジン。

\アップタイプのマフラーはCL250がスクラン
ブラー車であることを静かにアピールする。排気音は歯切れが良く、ライダーの所有感を満たしてくれる。

Vストローム、CL、CRFの3車に共通するのは“穏やかに走れる”こと。スピードを上げても楽しいが、ゆっくりのんびり走っても最高に気持ちいい250cc単気筒エンジン。

ジャストサイズ感ハンパなし!

その3【ホンダ CRF250L】低いシートと優しいエンジンでみんなウェルカム!

SPECIFICATIONS

■ 全長×全幅×全高:2210mm×900mm×1165mm ■シート高:830mm ■車重:141kg ■エンジン形式:水冷4ストDOHC 4バルブ単気筒 ■ 総排気量:249cc ■最高出力:24.0ps/8500rpm ■最大トルク:2.3kgm/0000rpm ■燃料タンク容量:12.0ℓ ■変速機形式:6速リターン ■ブレーキ(前・後):ディスク・ディスク ■タイヤサイズ( 前・後):80/100-21・120/80-1 8■価格:62 万 1500 円

セローの空席を狙っているのはコイツだ!

フロント21インチ、金色に輝く倒立フロントフォーク。跳ね上がったテールパートとストイックなグレーの車体。いかにもオフロード車然とした体育会系な趣きのフォルムだ。しかしそのマッチョな出立ちにダマされてはいけない! このCRF250L、実はかなりフレンドリーで敷居の低い「いいヤツ」なのである。

シート高が830mmと想像するよりもずっと低く、身長172cmのテスターで両足ベッタリ。この点だけでもシリアスなオフ車とは一線を画している。足元の悪いダートで二本の脚が使えるメリットはあまりに大きいし、それは街中でも同じこと。かつての空冷単気筒らしいスタートダッシュを期待すると極低速はそれほどでもないが、低中速域以上ではなかなかパンチがあるし100km/hを超えてもまだまだ加速するのには驚いた。

それでいて林道やダートの奥へも入り込めるよく動く足周りとコントロールしやすいブレーキ。うーん、この守備範囲の広さは只者ではない。誤解を恐れずに言えば「ちょっと背高のオンロードマシン」というオールマイティ差を持つのCRF250L。見た目以上に万能なジェントルマンだった。

ヘッドライトは小型で薄いLEDタイプ。
発光基板をリフレクターの横に縦置きす
ることでこれまでのリフレクター式と構
造を異にする。

左右のステップはトレール車らしい金属製だが、CRF250ラリーに装着されている脱着式のラバーが欲しいと言ったら軟弱だろうか。

オフ車らしからぬカラーリングにフレーム、スイングアーム、前後ホイールリムをブラックで統一。ストリートにも溶け込むデザインでスマートな印象を与える。

※この記事は月刊モトチャンプ2024年1月号を基に加筆修正しています