自社生産時代のサンバーは4気筒エンジン×RR×四輪独立サス

スバルが自社で開発から生産までを手掛けていた最後のサンバーとなる6代目は、軽自動車規格の枠を超えた贅沢な設計が最大の特徴だ。
搭載エンジンは軽自動車では珍しい4気筒エンジンであることに加え、サンバーの駆動方式はエンジンを90度横倒しにして後輪車軸よりも後ろに配置するRR(リヤエンジン・リヤドライブ)レイアウトとなる。
さらに、四輪独立懸架の足まわりも軽自動車としては特異な点だ。4気筒エンジンは低回転域のトルク感に欠ける面もあるが、それを補うスーパーチャージャーモデルがラインナップされる点もサンバーの大きな特徴と言えるだろう。
その違いは走行性能にも明確に現れる。3気筒エンジンのような偶力振動が出ない4気筒エンジンは低振動かつ滑らかに回り、エンジン自体が運転席から遠い場所にあるため静粛性も高い。なにより、駆動輪である後輪には常にエンジン重量が乗るため、空車時でも優れたトラクション性能と直進安定性を発揮する。
最小回転半径はモデルに応じて3.6〜3.9mだ。小回りが利く代わりに1885mmの短いホイールベースは直進安定性が犠牲になりがちだが、RRの駆動レイアウトがその欠点を打ち消す。
こうした高い走行性能を持つサンバーは、軽貨物運送業者で構成される『全国赤帽軽自動車運送協同組合連合会(赤帽)』の指定車両として重宝されてきた経緯を持つ。また、赤帽事業者の過酷な使用環境や要望を反映して改良を加えた、いわゆる“赤帽仕様”も用意された。
とくに赤色のエンジンヘッドカバーで差別化される赤帽専用エンジンは、各部に設計変更や強化部品が組み込まれ、オーバーホールなしで20万kmを超える走行に耐えうる圧倒的な耐久性が与えられていたことは、今でも語り草の有名な逸話だ。
6代目サンバーの中古車価格帯は20万〜200万円


6代目サンバーは生産終了から14年が経過しても、他の軽バンや軽トラの中古車価格相場と比較しておおよそ5割ほど高値で取り引きされており、過走行気味の個体であっても、意外なほどの高額な値付けがされている。
なかでもMTモデルやスーパーチャージャー搭載車は、年式や走行距離を考慮すると異常とも言える相場だ。
初期型および中期型となる2002年9月から2005年10月のモデルは、仕様や走行距離を問わず20万〜70万円程度で販売されているが、良質な個体数は年々減りつつある。
今から購入を検討するなら価格はやや高くなるものの、2005年11月以降に販売された後期型が現実的な選択と言えるだろう。後期型は内外装デザインのほか、オドメーターが液晶表示となっており、年式の割に古臭さは感じさせない。乗用に使うならワゴンモデルの『ディアス』を探そう。
後期型の自然吸気エンジンモデルなら、25万〜100万円程度が相場だ。後期型で走行距離6万km以下の個体を探すなら、60万円以上が現在の相場となる。
後期型スーパーチャージャー搭載車は走行距離に関わらず50万円〜200万円、スーパーチャージャーとMTの組み合わせもとなると、走行距離が伸びた個体であっても100万円以上の値段が付けられている。
赤帽仕様のサンバーも数は少ないが中古車として出回っており、価格はコンディションにより玉石混交だ。もちろん、赤帽仕様でなくともサンバー本来の耐久性は十分に高く、致命的な故障を抱えた個体でなければ10万km以上の走行にも耐えてくれる。
購入時の注意点としては、フレームの腐食状態をしっかりと確認することが不可欠となる。また冷却系のトラブルが起きやすいため、冷却系統の整備履歴がはっきりとした個体がよいだろう。ただし、状態の良い個体はすぐに売れてしまう点には注意したい。
300万円オーバーの超高額サンバーも! その正体は?

中古車市場では、300万円オーバーの値札が付けられたサンバーも販売されている。
これは2012年の生産終了直前に、限定1000台のみ販売された特別仕様車『WRブルーリミテッド』の低走行距離デッドストック車両だ。『WRブルーリミテッド』は、その名称の通り、スバル インプレッサなどでおなじみの塗色、“WRブルー・マイカ”で塗装された特別仕様車となる。
『WRブルーリミテッド』の新車価格はトラックが89万9000円〜106万5190円、バンが117万9000円〜134万1857円であり、いずれも自然吸気エンジン車がベースであった。
現状、軽バンや軽トラックといった実用車に対して300万円もの価格がついた例はほかになく、それだけ6代目サンバーが熱狂的に支持され、人気を得ていることを裏付けている。
“4気筒・リヤエンジン・四輪独立懸架”という贅沢なメカニズムのサンバーは、誰でも一度乗れば違いがわかるはずだ。そして、6代目サンバーのような軽自動車は、今後間違いなく、二度と現れることはないだろう。
現在、6代目サンバーを所有しているオーナーはなかなか手放さないであろうから、今後も流通量は減少の一途をたどることになるだろう。購入を希望する場合は、理想に近い車が見つかったら即決するくらいの気持ちで臨みたい。
