D型ソルテラをベースに、リヤオーバーハングを延長したトレイルシーカー

SUBARUトレイルシーカーのベースとなるソルテラは、2025年10月にD型にアップグレードされ、バッテリー容量が71.4kWhから74.7kWhに増え、FWDは562kmから746kmに、4WDは487〜542kmから622〜687kmに航続距離を大幅に伸張させている。

SUBARUトレイルシーカー(プロトタイプ)の走り

トレイルシーカーのベースはD型ソルテラ

航続距離の伸張は、パワーコントロールユニット(PCU)のパワー半導体が次世代の高性能素子のSiCシリコンカーバイド)に変更されたのが大きい。アイシン、デンソーにより共同開発された「eAxle」が搭載されていて、このSiC(シリコンカーバイド)パワー半導体や冷却技術などを進化させた平置き両面冷却構造を持つ新型インバーターの搭載によって出力密度や高効率化が図られている。

SUBARUトレイルシーカー(プロトタイプ)のリヤビュー

モーターも高出力化され、最高出力(AWD)は160kWから252kWに大幅に向上。0-100km/h加速は6.9秒から5.1秒に大幅に短縮している。

そのほか、「アクティブ・エアロ・シャッター」の制御が緻密になり、ヒートポンプエアコンの効率化、予測制御技術が盛り込まれた回生ブレーキの制御の採用なども効いているという。

トレイルシーカー最大の狙いは積載力の増強

こうした最新ソルテラのアップデートを共有するトレイルシーカーは、ソルテラよりもリヤオーバーハングが155mm伸び、ホイールベースは2850mmと同値なので、トレイルシーカー最大の役割は積載力の向上にある。

最大時のラゲッジスペース

荷室容量は、ソルテラに対して181Lも増えていて、トヨタ「ヤリス」の荷室容量209L(アジャスタブルデッキボード上段時)ほどではないが、マツダ「ロードスター」の約130Lを大幅に超える増量となっている。荷室床下にトノカバーが収まるなど、実用性もすこぶる高い。

リヤオーバーハング延長も走りの美点は大きく変わらない

SUBARUトレイルシーカー(プロトタイプ)の走り

一方、リヤオーバーハングを延長すると、一般的にはヨー慣性モーメントが増え、旋回性に悪影響を与える可能性がある。クイックな旋回性を実現するのは難しくなるわけだ。滑りやすい雪上では、チューニングの差なのか、よりソルテラよりも安定志向のハンドリングに感じられたが、それでもスタビリティの高さと旋回性を両立しているのは存分に伝わってきた。なお、最小回転半径はソルテラと同じ5.6mで、最低地上高も210mmを確保しているため、雪上でもそれほど下まわりを打つ心配もなかった。

オーバル型のステアリング

ソルテラのD型と同様に、ステアリングは上下リムが水平になっているオーバル型になっているが、円型と比べて、大舵角時には少し慣れが必要という印象だ。同ステアリングは、メーターの視認性向上策として採用されているはずだが、操作性と視認性の両立には苦労している感じもする。なお、走行モードと「X-MODE」スイッチが集約されるなど、使い勝手が高まった面もある。

ドライブモード、X-MODEのスイッチまわり

AWDモデルの最高出力280kW(380PS)は、額面どおりのパワフルさを備えている。ソルテラよりも20〜50kgほど(AWD)重くなっているが、これくらいであれば差を感じるのは難しく、電動モデルらしいスムーズな発進加速と扱いやすさを両立している。

回生ブレーキの制御も違和感を抱かせず、同時に回生ブレーキの制御が巧みなこともあり、滑りやすい雪道でも安心感はすこぶる高かった。

パワーモードにすれば雪上でも走りを楽しめる

トレイルシーカー(プロトタイプ)のフロントシート

走行モードは、ノーマル、エコ、パワーがあり、「X-MODE」はノーマルのほか、SNOW/DIRT、DEEP SNOW/MUDから選択できる。両方ともノーマルで少しリヤが滑り出す挙動になっても的確な駆動力制御で、すぐに姿勢を立ち直してくれる。普通にステアリングを握り、常識的な速度を維持していればストレスを抱くことはないだろう。

トレイルシーカーのリヤシート

パワーモードにすると、速さが増すのはもちろん、アクセル操作と呼応してリヤから曲がっていく感覚を存分に感じられる。それでも進路が乱されるような挙動になっても収束も素早く、もちろん常識的な速度内ではあるが、スピンに向かうような動きは感じられない。なお、プロトタイプの装着タイヤは、ヨコハマタイヤ「アイスガード」だったが、20インチタイヤとは思えないほど乗り心地も上々だった。

トレイルシーカーの床下格納

トレイルシーカーは、日本では販売を終えたアウトバックの後継的役割も担うこともあるだろう。トレイルシーカーとアウトバックの顧客層が被るかどうかは別にしてもSUBARU車に高い積載性を求めるニーズは根強いはず。

なお、アウトバックの561Lに対し、トレイルシーカーの荷室容量は72L上回っている。あとは、ソルテラに対しプラスアルファという価格が成功の鍵を握っているはずだ。なお、ソルテラはFWDが517万円、AWDが561万円〜605万円となっている。