リセールランキングが映し出す市場のリアル

バイク未来総研が発表した第55回「リセール・プライス」ランキングは、現在のバイク市場の本質を鮮明に映し出した内容となった。対象期間は2025年9月から11月。再販時に高値が付きやすい車両、すなわち“価値が落ちにくいバイク”をランキング化したものである。
今回の結果で特筆すべきは、単なる人気車種の羅列ではなく、「今どのカテゴリーが市場から強く求められているのか」が明確に可視化された点にある。特に上位3車種をアドベンチャーモデルが独占した事実は、現在のユーザー志向を象徴するものだ。
リセール・プライスは業者オークションの落札価格と新車価格を基に算出される指標であり、実際の市場価値に極めて近い。つまりこのランキングは、カタログスペックではなく“現実の需要”そのものを反映していると言える。
「X-ADV」首位獲得が意味するもの

首位に立ったのはホンダ「X-ADV」。113.2ポイントという高水準を記録し、2位に約7ポイント差をつける圧倒的な結果となった。
このモデルの強さは明確だ。スクーターの利便性とアドベンチャーバイクの走破性を融合させた独自のポジションにある。通勤、街乗り、ツーリング、さらにはアウトドアまで対応する万能性は、現代のライフスタイルに極めて適合している。
さらに海外需要の高さも見逃せない。国内のみならずグローバル市場で評価されることで、中古市場においても価格が下がりにくい構造が形成されている。これは単なる人気車種ではなく、「市場全体で価値が担保されているモデル」であることを意味する。
X-ADVの首位獲得は偶然ではない。機能性とライフスタイル提案を両立させたバイクこそが、今最も価値を持つという証明だ。
「アフリカツイン」が支配するアドベンチャー領域

2位と3位にはホンダ「CRF1100Lアフリカツインシリーズ」が並んだ。DCT仕様が2位、電子制御サスペンションを備えたAdventure Sports ES DCTが3位という構図である。
この結果は、大型アドベンチャーの完成度の高さを裏付けている。オンロードから未舗装路までを高い次元で両立し、長距離ツーリングにも対応する性能は、多用途性という現代的価値観と一致する。
特にDCTの存在は大きい。操作負担を軽減しながらも走行性能を犠牲にしないこの機構は、ベテランから新規層まで幅広いユーザーを取り込む。さらに電子制御サスペンションは、積載や乗車条件に応じた最適化を可能にし、ツーリング性能を飛躍的に高めている。
これらの要素が複合的に作用し、中古市場でも安定した需要を維持している。アフリカツインは単なる人気車ではなく、「資産価値を保つ大型バイク」という位置付けを確立したと言える。
スポーツネイキッドと実用車が支える中核層

4位にはヤマハ「MT-09 SP」がランクイン。軽量な車体と強力な3気筒エンジン、さらに上位モデルならではの足回り装備が評価されている。2024年の仕様変更による電子制御の充実もあり、性能と価格のバランスに優れた一台として市場での存在感を維持している。
5位にはホンダ「ADV160」が入り、ここでもアドベンチャーテイストの強さが表れている。軽二輪クラスにおいても多用途性が評価されていることが明らかだ。
一方で「スーパーカブC125」や「PCX125」といった実用モデルも上位に名を連ねる。これらは移動手段としての信頼性とブランド価値の高さがリセールに直結している。特にホンダ車は「価値が落ちにくい」という市場評価が定着しており、資産性という観点でも強い。
「Z900RS SE」や「ZX-10R」のような趣味性の高いモデルもランクインしているが、上位を占めるのはあくまで“使えるバイク”だ。この傾向は今後も続く可能性が高い。
今回のランキングから浮かび上がるのは、バイク選びの基準が大きく変化しているという事実だ。かつては性能やデザインが主軸だったが、現在はそこに「多用途性」と「資産価値」が加わっている。
アドベンチャーモデルが上位を独占した背景には、用途の広さとライフスタイル適合性がある。通勤からロングツーリングまで一台で完結できるバイクは、結果として手放す際にも高く評価される。
さらに、世界的な需要の存在も重要な要素となる。グローバルで人気を持つモデルは中古市場でも流動性が高く、価格が維持されやすい。
リセール・プライスは「市場が求める理想のバイク像」を映し出す鏡だ。今回の結果は、アドベンチャーというジャンルが単なるブームではなく、スタンダードへと移行したことを明確に示している。
