バイク乗りにとって、ファン付きウェアというのは少々扱いに困る存在だった。走行中は強烈な走行風があるからファンなど不要だし、いざ渋滞で止まれば、ファンが吸い込むのはエンジンとアスファルトが発する殺人的な熱風。期待はずれと思ったこともしばしばあったこのファン系デバイスに、新たなアプローチの新作が登場した。それが、ファンで気化熱を効率的に促進して冷やす『ヴェイパーα』だ。
この「水と風」を掛け合わせたハイブリッド構造の真価は、走行風が得られない状況でこそ発揮される。バイクでの信号待ちはもちろん、バイク以外の環境でも同様だ。例えば、真夏の直射日光に晒される農作業や建設現場、熱気がこもる倉庫内での作業。さらにはレース観戦やガーデニングといった屋外まで、その活躍の場は驚くほど広い。200mlから300ml程度の水道水を注ぎ、電動ファンで風を送る。これで、あらゆる「酷暑の現場」を快適な空間へと変えてくれるのだ。
「走行風」に頼らない、能動的なハイブリッド進化

定評のある気化熱冷却に、今回新たにファンシステムを組み合わせた狙いは、従来モデルの長所をより高めた「あらゆるシチュエーションでの効率化」にある。
定評のある気化熱冷却に、今回新たにファンシステムを組み合わせた狙いは、従来モデルの長所をより高めた「あらゆるシチュエーションでの効率化」にある。
フィルム内に保持した水分が蒸気に変わる際の気化熱で体温を奪う仕組みは、従来モデルから引き継がれた信頼の技術だ。専用の冷却液などは不要。出先でも水道水を注ぐだけで効果を発揮する手軽さは健在である。
走行中は風の力で、停車中や渋滞時はファンの力でジャケット内部の空気を動かす。これにより湿った空気を効率よく入れ替え、気化のサイクルを常に安定させているのが新型の強みだ。走行風という外部要因に頼り切るのではなく、自ら風を起こすことで、どんな場面でも気化性能を最大限に引き出せるようになったのが最大のポイントといえる。
スタッフが語る「期待の背景」
会場で聞いた話では、この「ヴェイパー」シリーズがライダーに支持されてきたのには、明確な理由がある。
従来のファンのみのモデルは、走行中は走行風で事足りる一方、肝心の信号待ちでは熱風をかき回すだけという課題があった。しかし、この『α』はファンで直接冷やすのではなく、ファンで「気化を促す」ことでその弱点を克服しているのだ。
ベースとなっているのは、リーズナブルで「水さえあれば即復活する」手軽さが支持され、店舗での販売実績も高い従来モデルの気化熱技術。そこに強制排気のギミックを加えたのが、今回のハイブリッド進化というわけだ。取材時点では発売前の新製品だが、走行風がなくなる停車時こそ「気化熱+ファン」の真価が問われる。これまでのファン付きウェアに物足りなさを感じていた層からも、熱い視線が注がれていた。
商品データ
| 項目 | 詳細 |
| 商品名 | SDW-4159 ヴェイパーα |
| 価格(税込) | 24,200円(※ファン・バッテリー別売) |
| サイズ展開 | S / M / L / XL / XXL |
| カラー | ブラック(BK) |
| 持続時間 | 水250〜300ccで最大3〜4時間 |
コスパ最重視なら従来モデルの選択もアリ!
VAPE SEAL(ベイプシール) 型番:SDW-4150 Vapour

「ファンは不要、よりシンプルに気化熱の恩恵を受けたい」というライダーには、この従来モデルが実は一番理にかなっている。

電装系を一切持たないため、故障の心配がなく、メンテナンスも驚くほど楽。独自開発の蒸発熱フィルムが、走行風を受けて熱を奪うという冷却システムは、新型と共通の信頼設計だ。ファン代やバッテリー代もかからず、水さえ足せば無限に「復活」するのも大きな魅力。
長距離ツーリングの頼れる相棒として、今なお有力な選択肢の一つだ。
商品データ
| 項目 | 詳細 |
| 価格(税込) | 11,000円 |
| サイズ展開 | M / L / XL / XXL / 3XL |
| 持続時間 | 水200ccで最大約4時間 |
取材メモ:
納得の「ハイブリッド」 正直、ファン付きベストと聞いて「またか」と思ったが、気化熱フィルムとの組み合わせは理にかなっている。「ファンで冷やす」のではなく「ファンで気化を促す」。この発想の転換が、これまでのファン付きウェアに失望してきたライダーにとっての福音となるか。 一方で、走行風を味方につけて走るライダーなら、従来モデルの「4150」という選択も依然として賢い。今年の夏の評価が楽しみなシリーズだ。
