フロントマスクを最新のEVフェイスへ刷新 艶やかな新色「水面乃桜」も注目

2022年の発売以来、日本のEV市場の拡大に貢献してきた日産「サクラ」。2025年までの4年間において日本で販売されたEVの約3割を占めるなど、EVの普及を牽引してきた。一方で、2023年度に約3万4100台の年間販売台数を記録したのをピークに、2024年度は約2万800台、2025年度は約1万400台と販売台数は低下傾向にあった。今回の改良ではデザインの変更に加え、装備の充実と戦略的な価格設定を打ち出すことで、再び日本のEV市場における存在感を取り戻すことを狙っている。

4月16日にマイナーチェンジを実施した日産サクラ。ボディカラーは新色の「水面乃桜-ミナモノサクラ-」とスターリングシルバーの2トーン。

外観のテーマは「上質・洗練・先進性」の磨き込みである。最大のトピックはフロントマスクの刷新で、日産の最新EVである「アリア」や「リーフ」と共通のファミリーフェイスへと進化した。グリルがボディ同色となり、コの字型のカッパー加飾が施されたことで、EVらしい先進性とワンランク上の上質感を両立している。また、最上級の「G」グレードには、水引モチーフを継承しつつ新デザインとなった15インチアルミホイールが採用された。

ボディカラーのラインアップも見直されている。ツートーンカラーは5色が設定され、うち2色はホイールアーチ周りまで塗り分けられる「プレミアムツートーン」仕様とした。特に注目なのが、サクラ専用の新色「水面桜(ミナモザクラ)」である。水面に反射する桜から着想を得たというピンク系カラーは、太陽の光を浴びると艶やかにあボディを浮かび上がらせる。

今回の改良では、日常の利便性を高める機能が追加された。新たに100V AC電源(1500W)がラゲッジルームとインストルメントパネルの2ヶ所に設定されている。これにより、外出先での家電製品の使用や、災害時・企業のBCP(事業継続計画)対策として、移動可能な給電車としての活用が可能となった。

防犯や安全性への配慮として、充電ポートリッドや充電コネクタにはいたずら防止用のロック機構を追加した。さらに、クルマに近づくだけで解錠し、離れると自動で施錠する「接近時アンロック/降車時オートロック機能」や、後席への荷物の置き去りを防ぐ「後席リマインダー」も備わっている。

さらに助手席側へのカップホルダーの追加、エアコンの風向性能の改良、ドライブモードスイッチの配置見直しなど、細かな使い勝手が向上している。

「G」グレードのインパネ。撮影車はメーカーオプションの「プレミアムインテリアパッケージ」を装着している。

新グレード体系と戦略的価格設定

今回のマイナーチェンジの大きなトピックが、グレード再編と価格戦略である。一般向けグレードは「G」「X」「S」の3展開となった。

Gグレード:299万9000円
Xグレード:259万9000円
Sグレード:244万9000円

NissanConnectナビや上質なカッパーのインストルメントパネル加飾などが備わる最上級の「G」は、300万円を切る299万9000円に設定された。従来型の308万2000円から8万3000円の値下げとなるうえ、従来はオプションだった15インチアルミホイールも標準化されており、商品力を大幅に高めている。

「G」グレード

量販の主軸と見込まれるのが「X」である。価格は259万9000円と据え置きとしながらも、従来型で約7〜8割のユーザーが選択していた「インテリジェントアラウンドビューモニター」「前席ヒーターシート」「ステアリングヒーター(革巻きへ変更)」が標準化されたことを考慮すると、実質的には10万円以上の値下げとなる。

「X」グレード

そして、従来は法人向けだった「S」が一般向けにも設定された。価格は244万9000円だ。外観は加飾を抑えた“旧顔”を継続するが、走行性能は上位グレードと同等である。サクラの購入には58万円のCEV補助金が適用されるが、これを加味するとSグレードの実質価格は約186万9000円となり、ガソリン軽自動車(スーパーハイトワゴン等)に近い予算帯での購入が可能となる。

「S」グレード

日産によると、サクラの発売前の予測では「コンパクトカーからの乗り換え」が多いと見込んでいたが、実際にはスーパーハイト系など「普通の軽自動車」から乗り換えるユーザーが主流になっているという。下取り車の6割超が軽自動車というデータもあるそうだ。

今回のマイナーチェンジにより、装備を充実させつつさらに魅力的な価格を実現した新型サクラ。「特別なエコカー」としてではなく、「生活を少し楽にし、豊かにしてくれる次の軽自動車」として、その反転攻勢に注目が集まる。