高い室内高が強みのダイハツ ウェイク! ただし欠点も多い




ウェイクの最大の強みはその高い全高を活かした室内高にある。1455mmの室内高は当時最大で、荷室高は1140mmを確保。それだけにとどまらず、上下2段調整可能なラゲッジボードで前倒しした後席との段差をなくせるうえ、後席はタンブルさせて高い荷室高を最大限に使うこともできた。
助手席の背もたれもほぼ水平まで前へ倒すことができ、身長170cm程度の人であれば快適に車中泊もできる。荷室床面およびシートバックはアウトドアシーンでも安心して使えるように撥水加工が施されているうえ、当時としては珍しくラゲッジルームにもシガーソケットが備わっていた。
高さばかりが注目されがちだが、ウェイク最大の特徴は大容量の床下収納にあると言えるだろう。縦380mm×横640mm×高さ320mmの大きなアンダートランクには車中泊などで使う小物はもちろん、ある程度大きな荷物も積載できる。アンダートランクを利用してスノーボードを立てて積み込める点は画期的とすら言ってもよい。
しかし、高い全高はクルマにさまざまな弊害をもたらす。重心位置の上昇に伴って不安定になる挙動を抑え込むため、サスペンションは相応に締め上げられている。従って、ウェイクの乗り心地は明確に硬い。また構造上、横風の影響を受けやすいという弱点もある。そのうえ、増加した車重のおかげで動力性能も不足気味であるため、快適な移動を最優先としたいならウェイクは避けるべきクルマだと言えるだろう。
加えて、利便性向上のためのギミックと、高いボディ全高でも無理なく走行できるように各部へ手を加えたことで新車価格はタントよりも高く、そのうえ内装質感は明確にタントよりも劣る。改良型では内装質感の向上などが図られたが、それでも販売台数は伸びず、ウェイクは2022年8月に生産を終了した。
今でもウェイクの高い荷室機能を高く評価する声は聞かれる。しかしその声はごく一部のユーザーに限られる。ウェイクの致命的な点は、日常の一般的な用途では、ベース車であるタントで十分に事足りるということだ。
ウェイクの隠れた人気と需要が中古車相場を押し上げる


ウェイクの中古車の全体相場は30万円から200万円となる。走行距離5万km以下の自然吸気エンジンモデルの底値は70万円だ。衝突被害軽減ブレーキで“スマートアシストIII”が搭載された2018年の改良以降のモデルになると底値は80万円へと上昇する。
重い車体を軽快に走らせることができるウェイクのターボエンジンモデルは需要が高く、走行距離5万km以下なら初期型でも80万円以上。2018年の改良型は90万円が底値だ。
OEMモデルであるトヨタ ピクシスメガはウェイクとほぼ同等の価格帯だが、コンディションや個体差によっては10万円程度安く手に入る場合もある。
ただし、同世代のタントの中古車相場は走行距離5万km以下の自然吸気エンジンモデルが40万円から、ターボエンジンモデルは60万円から狙える。ウェイクの中古車価格はタントに比べても明らかに高い。
クルマの用途が限定されるなら、ウェイクをベースとした商用バンのハイゼットキャディという選択肢もある。ハイゼットキャディは2人乗りだが、後席がはじめから装着されないぶんウェイクよりもさらに荷室の自由度が高く、大容量のアンダートランクもしっかりと備わっている。
ハイゼットキャディの流通台数は極めて少ないが、自然吸気エンジンモデルならウェイクよりも10万円ほど相場は安い。ただし、希少なターボエンジンモデルは同条件のウェイクよりもやや高い値付けとなっている。
軽バンや軽ワゴンに不便を感じるならウェイクがおすすめ

単なる不人気車であれば、ウェイクの中古車にこれほどの値段が付くことはなかっただろう。また、既存のオーナーはウェイクを商用車のように使い倒す。それにより走行距離20万kmを超えるまで使い込まれた中古車が多いうえ、そうした過走行車が意外なほど高値で販売されている点もウェイクの特異性を物語る。
ワンボックス形状の軽バンは車中泊も楽にできる荷室長が特徴だが、細かな荷物を積むのには適さない。一般的な軽ハイトワゴンでも高い汎用性と引き換えに、特定用途では不便を感じる面もある。
圧倒的な室内高と床下の広大な収納スペースを組み合わせ、使い勝手の高い荷室空間を作り出せるウェイクのパッケージは、他の軽自動車にはない唯一無二の価値だ。しかし、このように尖ったキャラクターゆえに、ウェイクは間違っても万人におすすめできるクルマとは言えなくなっている。他の軽ハイトワゴンより中古車価格が高いうえ、似たようなキャラクターの他車に比べて動力性能にもハンドリング性能にも特段見るべきものが無く、特徴である高い室内高も日常用途では確実に持て余す…。
ウェイクが向くのは、たとえば軽キャンピングカーのような使い方をしたい、一般的な軽ワンボックスや軽ハイトワゴンでは荷室の使い勝手に不便を感じる人だ。そうした人にはウェイクがよい相棒になってくれるかもしれない。
