最大の敵はウイリーだった!?

パイプフレームではなくストックボディで勝負!

ハイパワー化が進む世界のJDMドラッグレースシーン。中でもトヨタ製6気筒、特にJZ系エンジンの人気は絶大で、欧米では2000psオーバーも珍しくない。そんな世界の猛者たちに対抗すべく、日本のドラッグレースシーンで進化を続け、現在”国内最速のストックボディFR車”の座に君臨しているのが、エスペランサがサポートする中山スープラだ。

「実は70スープラって、昔はドラッグでは速くならないクルマって言われてたんですよ。だから逆にやる気になっちゃって(笑)。気付いたら完全に沼でしたね」と笑うのは、2025年11月に日本最速の称号を手にしたドライバーの中山さん。

ここ数年はエスペランサの本格サポートを受け、マシンは飛躍的に進化。エンジンは3.2L化され、タービンもT51RやGT4202などを試しながら開発を進め、ミッションにはGフォース製エアシフターを導入。燃料もドラガスからE85へ変更し、その時点でベストタイムは8秒4台まで短縮された。

その後はギャレットG45タービンをブースト3.0キロで運用し、もてぎシュートアウト(200m)で6秒台をマーク。しかし、高ブースト運用による負荷は大きく、タービンブレードは短期間で損傷してしまった。

そこでGCGから提案を受けて採用したのが、高ブースト対応の新型GXR45シリーズだ。

「昨年秋のスーパードラフェス前日に8秒180を記録した時は、新しいギャレットGXR45を付けたばかりで、まずは様子見という段階でした。ブーストも2.7キロ程度で、計算上は1200psくらい。最終的には4.0キロまで上げて1500psを狙う予定だったので、このタイムが出たのは本当に予想外でした。

しかも盛大にウイリーしてしまって(笑)。テストだったのでゴール手前でアクセルを戻し、パラシュートまで開いてしまいました。本気なら8秒フラットは狙えたと思いますよ」。

ウエストゲートはLINK ECUと炭酸ガス制御を組み合わせた最新システムを採用。アクセル開度に左右されることなく、素早く安定したブーストコントロールを実現している。

進化したのはエンジンだけではない。1000psオーバーのパワーを確実に路面へ伝えるため、ボディやサスペンションにも大幅な改良が施されている。

26インチのドラッグスリックを収めるためにブリスターフェンダー化を行い、さらに29.5インチへサイズアップすると、フロントが軽く浮くほどの強烈なトラクションを獲得。そして31インチのフージャードラッグスリックへ変更した結果、今度は完全なウイリー状態に陥るまでグリップするマシンへと変貌した。

フロントタイヤ後方には迫力満点のサイド出しマフラーをレイアウト。先に行われたもてぎシュートアウトファイナルでは、ウイリー対策としてフロントへ40kgのウエイトを搭載したものの、それでも簡単にフロントタイヤが浮き上がってしまうという。

タイヤはフージャー製フロントランナーで、サイズは27インチ。ホイールは15インチ×4.5Jと、まるでバイク用タイヤのような細さだ。

現在の課題はサスペンションセッティング。アメリカ製パーツも試しながら、ダンパーや車重バランス、ウエイト配置などを煮詰め、ウイリーを抑えつつ最大限のトラクションを引き出すセットアップを模索している。

ミッションはGフォース製エアシフターを採用。室内は競技専用車らしく徹底した軽量化が施され、内装はすべて撤去済みだ。

1000psオーバーのパワーを受け止めるため、ロールケージに加えてストラット上部にはベタ付け補強を追加。パイプフレーム化は行わず、あくまでもストックボディにこだわった作り込みとなっている。

ドラッグシュートも従来の1基から2基へアップグレード。さらなるハイパワー化に対応するとともに、安全な減速性能も確保している。パラシュートによる減速は停止距離の短縮だけでなく、高速域での車体姿勢を安定させる重要な役割も担う。

とはいえ、極端なウイリーはタイムロスにつながるだけでなく、着地時の衝撃によるダメージも深刻だ。昨年ベストタイムを更新した際には、着地と同時にフロントタイヤがバーストし、サスペンションアーム類にも大きなダメージを負ってしまった。

そのため今シーズンはフロントへのウエイト追加をはじめ、ウイリーを抑えるための対策を重点的に進めている。

「ストックボディのままで7秒9が出せたら、しばらくは記録も破られないと思うんですよ。そうなったら勝ち逃げじゃないですけど、今度は息子のサポートに回るのもいいかなって(笑)」。

ストックボディの70スープラにこだわり続け、日本最速の座を掴み取った中山さん。その挑戦は、まだ終わることはない。

●取材協力:エスペランサ 埼玉県所沢市大字南永井728-1

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