6年目を迎えた4代目の現行モデル

ホンダ・フィットは2001年にデビューしたホンダの新コンパクトカーで、ワンモーションフォルムとセンタータンクレイアウトによるクラスを超えた広い室内空間を実現し、一躍大ヒットとなった。以来、2007年に2代目、2013年に3代目とモデルチェンジを重ね、現行モデルである4代目へ移行したのが2020年である。

初代ホンダ・フィット(2001年)
2代目ホンダ・フィット(2007年)
3代目ホンダ・フィット(2013年)

大ヒットモデルだけに現在も歴代フィットが国内に129万台保有されており、これはN-BOXシリーズの284万台につぎホンダ車では2番目に多いモデルだ(その次が113万台のフリード)。軽自動車やSUVに押されて減少傾向のコンパクトカー市場(2024年1月の35万台超から2026年は28万台弱に減少)で、フィットもその影響を受けてはいるものの、2025年の登録台数ではN-BOX、フリード、ヴェゼル、ステップワゴンにつぐ台数が登録されている。

4代目ホンダ・フィット(2020年)

現行モデルはデビュー以降、2021年に一部改良。2022年にマイナーチェンジ。2024年と2025年に一部改良を実施したほか、2021年には「e:HEV Modulo X」と20周年特別仕様車「Casa」「Maison」を発売。マイナーチェンジ後の2023年には特別仕様車「BLACK STYLE」を設定した。

ホンダ・フィット「e:HEV Modulo X」(2021年)
ホンダ・フィット「e:HEV HOME BLACK STYLE」(2024年)。特別仕様車「BLACK STYLE」は発売翌年の改良でカタログモデルに。

2025年の一部改良は「クロスター」の内外装を変更を中心に、カラーラインナップと価格の変更が主でそれほど大きな改良ではなかった。では、今回の改良はどのようなものなのだろうか?

コンセプトは「Sporty&Comfort」

ホンダ・フィット「e:HEV RS」(左)と「e:HEV Z」(右)。

フィット購買層はコンパクトカーながら広い室内空間がその購入動機の大きな割合を占めている。かといって、軽スーパーハイトワゴンやミニバンといったスペース効率に優れたモデルを選ばずフィットを選ぶ理由は、一に価格妥当性だが、スタイルやデザインも気になるポイントになっている(ホンダ調べ)。特にフィットにはスポーティなルックスを求める声が大きく、「RS」のデザインが好評だという。

ホンダ・フィット「e*HEV RS」

そこで今回の改良では、「RS」のスポーティさをより強調する一方で、上級グレードである「Z」も「RS」に通じるよりスポーティな内外装に変更された。

ホンダ・フィット「e:HEV Z」

よりスポーティとなった内外装以外では、快適装備を充実。より「Comfort」になった。
具体的には、これまで「RS」で選べなかったマルチビューカメラがオプションで装着可能になった。「Z」にはユーザーからの要望が多かったシートヒーターを標準装備化。「クロスター」はアウトドアユースでの快適性を高めるべくシートヒーターに加えステアリングヒーターも標準装備とした。また、「RS」「Z」「クロスター」はIRカットフロントガラスも採用されている。

加えて、ボディカラーに高艶クリアを新たに採用。太陽光での美しい艶感は改良モデルの大きな魅力となっている。

ブラック基調でスポーティさを高めた「RS」

フィット「e:HEV RS」。BLACKクリアのアルミホイールで足元を引き締める。

「RS」の変更点は、外装ではアッパーグリルのピアノブラック化、ライセンスガーニッシュのピアブラック化、BLACKクリアのアルミホイール装着が挙げられる。ピアノブラックパーツによりより引き締まったルックスでスポーティさが強調されている。

スポーツバンパーに加え、アッパーグリルもピアノブラックとなった。
左右のリヤコンビネーションランプを繋ぐライセンスガーニッシュもピアノブラックに。

インテリアではブラック内装にレッドステッチ、メタル調のスポーツペダルという定番のスポーティ演出に加え、専用スエードコンビシートを採用(メーカーオプションで本革シートも用意)。ブラック地にレッドステッチで、インテリアと合わせた色使いとなっている。

ホンダ・フィット「e:HEV RS」のコックピット。ダッシュボードやドアトリムなどをブラック化。右スポーク下にステアリングヒーターのスイッチが備わる。
ステアリングやドアトリム、コンソールボックスにレッドステッチを施す。
メタル調のスポーツペダルを装備。
ホンダ・フィット「e:HEV RS」のフロントシート。撮影車オプションの本革シートを装着。
フロントシートとセンターコンソールボックスのレッドステッチ。
ルーフライニングとピラーガーニッシュもブラック化されている。

これまで「RS」では選択できなかったマルチビューカメラ&ブラインドスポットインフォ目ションをメーカーオプションで設定。ワイヤレス充電、運転席&助手席シートヒーター、ステアリングヒーター、IRカットフロントガラス、Honda CONNECTディスプレイが追加され、充実した装備となった。

「RS」に準実スポーティデザインとなった「Z」

ホンダ・フィット「e:HEV Z」。撮影者はオプションの15インチアルミホイールを装着。

また「RS」に次ぐグレードで一番の売れ筋と目される「Z」についても、購買層の要望を受け「RS」テイストなスポーティなデザインに変更された。特に「RS」のようなピアノブラックではないものの、前後バンパーを「RS」と同一形状としたほか、ホイールカバーをシャークグレートリムに変更。15インチアルミホイールもオプション設定する。

樹脂カラーではあるが、「RS」と同形状のスポーツバンパーを装着。
リヤのスポーツバンパーも「RS」と同形状だが、やはりカラーは樹脂の地色。

インテリアでもこれまで2本スポークだったステアリングを3本スポークに変更すると共に、ステアリングスイッチをブラックにしている。シフトレバーのエスカッションパネルやドリンホルダーガーニッシュもブラックとするなど、ブラック基調にしてスポーティさを演出している。

ホンダ・フィット「e:HEV Z」のコックピット。ステアリングは3ホンスポークになり、ステアリングスイッチをブラック化。
シフトレバー周辺のエスカッションパネルをブラックに変更。
ブラックになったドリンクホルダーガーニッシュ。

装備面では運転席&助手席しーとヒーターを標準装備とした。

価格とグレード

グレード体型の整理も今回の改良のポイントである。これまでは「LUXE」「ホーム」「 BASIC」という基本ラインにスポーティな「RS」とクロスオーバー的な「クロスター」というテイストの異なるグレードを用意していた。

フィット「e:HEVクロスター」。2025年の一部改良では「クロスター」の内外装色を変更している。

今回の改良で「RS」が基本ラインに組み込まれ最上級グレードとなり「RS」「Z」「X」というラインナップに、「クロスター」を加えるという展開だ。これも、フィットをスポーティな位置付けとしたためと言えるだろう。

フィット「e:HEV RS」(プレミアムクリスタルレッド・メタリック)

また、ハイブリッドであるe:HEVは全グレードに用意され、逆にガソリンエンジンは「X」「Z」にしか設定されていない。一方で、4WDは「RS」以外の全グレードでe:HEV、ガソリンエンジン問わず選ぶことができる。助手席回転シート車は「Z」のみだが、e:HEVとガソリンエンジンを用意し、どちらも4WDが選べる。

価格は以下表のとおりだ。

グレードエンジントランスミッション駆動方式税込価格
e:HEV X1.5L直列4鬼頭DOHC i-VTEC
+2モーターハイブリッド
電気式無段変速機FF223万8500円
4WD245万8500円
e:HEV ZFF249万9200円
4WD271万9200円
e:HEV RSFF289万9600円
e:HEVクロスターFF273万5700円
4WD295万5700円
X1.5L直列4鬼頭DOHC i-VTECCVTFF180万6200円
4WD202万6200円
ZFF214万5000円
4WD236万5000円
フィット価格表
グレードエンジントランスミッション駆動方式税込価格
e:HEV Z1.5L直列4鬼頭DOHC i-VTEC
+2モーターハイブリッド
電気式無段変速機FF235万8000円
4WD255万8000円
Z1.5L直列4鬼頭DOHC i-VTECCVTFF239万万9600円
4WD245万万9600円
フィット(助手席回転シート車)価格表

フィットはこれまでモデルライフを概ね6年サイクルで更新してきた。2026年で6年目を迎えている現行モデルだけに、そろそろフルモデルチェンジも考えられる。ともなれば昨今の自動車価格の高騰から時期モデルは大幅に価格が上昇する可能性もある。そういう意味では、今回改良されたフィットはまだお買い得と言えるだろう。

フォトギャラリー:新型ホンダ・フィット「RS」&「Z」

改良されたフィットの本文にはない画像はページトップの「この記事の画像をもっと見る(56枚)」から見ることができる。取材車である「e:HEV RS」と「e:HEV Z」をより多くの画像で確かめてみて欲しい。

ホンダ・フィット「e:HEV RS」(左)と「e:HEV Z」(右)。