ある意味、ホンダの根幹となる汎用パワーユニット事業

ホンダは今でこそバイク、クルマ、そして航空機と幅広い輸送機器を生産するメーカーだが、そのスタートは自転車に追加する補助エンジンから始まっている。1947年の通称「バタバタ」から始まり、ホンダ「A型」、そして1952年の「カブF型へと繋がり、ホンダのバイクへと昇華していく。

一方で、1953年にホンダエンジンの好評を聞いた農機メーカーからの要望を受けて、小型汎用エンジンを開発。「H型」としてリリースするに至った。H型はカブF型の基本レイアウトを踏襲し、小型軽量かつ取り扱いも簡便で、発売後半年で月産5000台を超えるベストセラーとなった。

これによりホンダのパワープロダクツ事業がスタート。1977年に発売した「G型」は100万台を販売。1983年の「GX110/140」はG型との互換性を確保しつつOHV形式を初採用。高い完成度で「汎用エンジンの代名詞」となった。
1997年にハンドヘルド(手持ち)作業機械用としてリリースされた超小型軽量エンジン「GX22/31」は「360度自在傾斜」を実現し、どんな向きでも使用できた。2ストロークが大半を占める作業機市場に4ストロークモデルを投入。2ストローク並のサイズでよりクリーンで好燃費を実現している。
さらに、2005年には厳しい排ガス規制(米EPAなど)をクリアした「iGX440」をリリース。汎用エンジンの環境性能時代にも積極的に対応していく。


そして2021年、電動汎用パワーユニット「eGX(GXE2.0H/S)」をリリース。厳しい使用環境に耐える信頼性を電動パワーユニットでも実現し、環境性能と両立した。加えて、フランジ取り付け穴やアウトプットシャフトの寸法を従来のエンジンモデルと共通化することにより、従来モデルとの互換性と汎用性を担保し、ユーザーの電動化への移行をしやすくしている。

高出力モデルを追加して汎用パワーユニットの電動化をさらに推進
電動汎用パワーユニットは夜間道路工事や住宅地での工事など、騒音が忌避される環境においてその静粛性が大きなメリットになる。また、排気ガスが出ないことからトンネルや屋内など換気の不十分な作業環境でも作業員の安全を確保しやすい。

特に坑道での作業はガソリン製品が使用できないため、これまで手作業での作業が強いられてきたが、電動パワーユニットであれば使用が可能になる。また、稼働中は常に振動し続けるエンジンモデルと違い振動が無いなど、電動パワーユニットは作業員の負担軽減にも非常に有効なのである。

eGXシリーズの「GXE2.0H/S」は1.8kWの出力で、エンジンタイプの「GX100/GX120」の2.0kW帯をカバーするモデルだった。このほど追加された「GXE4.0D」「GXE6.0D」「GXE9.0D」はそれぞれ3.7kW、6.0kW、8.7kWと、エンジンモデルの「GX200」「GX390」の4kW〜9kW帯をカバー。より幅広い用途に対応することができるようになった。


従来のガソリンエンジンタイプの汎用パワーユニットは、当然その燃料はガソリンであり、本体には燃料タンクが設けられる。一方、電動汎用パワーユニットであるeGXは電気を使うわけだが、その供給源としてはバッテリーを用いることになる。ホンダはバッテリーを同社のモバイルパワーパックを使用することで、eGXシリーズとの優れたパッケージングを実現した。

バッテリーパックは汎用化がトレンド
電動工具などで用いられるバッテリーは、同社製品に限られることが多いが、多種多様な工具で共通化されている。形状や容量など、専用バッテリーはそれはそれでメリットはあるが、ユーザーとしては同型のバッテリーで共用できた方がやはり便利だ。

ホンダが2015年に発表、2017年に量産を開始したモバイルパワーパック(e:)は、ホンダでは2018年にリリースされたスクーター「PCXエレクトリック」に搭載されたのを嚆矢に使用モデルの拡大が図られた。

現在ではやはり電動スクーター「CUV e:」「EM1 e:」「ベンリィe:」「ジャイロe:」などに搭載されている。特にベンリィe:が日本郵便の配達用バイクに採用されたことは、モバイルパワーパックの利点が活かされている好例と言えるだろう。

また、モバイルパワーパックは国内エネルギー大手のエネオスと、ホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキの国内バイク4社がバイク用交換バッテリーシェアサービス「Gachaco(ガチャコ)」を展開している。交換バッテリーシェアサービスは台湾など海外では活発に利用されているシステムだが、電動バイクと合わせて日本での普及度はまだ低い。こと一般サービスにおいては、商品が先かインフラが先か、電動化の難しい問題だ。


そして前述の電動汎用パワーユニット「eGX」シリーズもモバイルパワーパックを組み合わせ、より汎用性の高い構成となっているのもポイントだ。

eGXとモバイルパワーパックの採用例
『第8回国際建設・測量展(CSPI2026)』にはホンダブースはもちろん、出展他社でもホンダ製汎用パワーユニットやモバイルパワーパックの搭載モデルが展示されていた。中にはガソリンエンジンの「GX」シリーズ搭載モデルもあり、ホンダ製汎用パワーユニットの普及度の高さを感じさせた。加えてホンダパワーユニット搭載モデルを探すシールラリーも催された。




Powerd by HONDAは世界ナンバーワン
汎用パワーユニットを扱うパワープロダクツ事業は、一般ユーザーの目に直接触れる機会はあまり無い。というのも、主な分野は土木建設、産業機械、農業・漁業・林業、造園・緑地管理などであり、ホンダが直接販売する完成機であれ、機械メーカーにパワーユニットをOEM供給する形であれ、基本的にはB to B事業だからだ。

しかし、ホンダ製汎用パワーユニットを採用する企業は世界56ヶ国2205社に上る。その規模、販売台数は同ジャンルにおいては世界最大。特に4ストロークガソリンエンジンでは現在はホンダが唯一と言っても良い。それゆえに環境問題に対応した汎用パワーユニットの電動化はホンダの大きな役割となる。

用途と使用環境が限定される産業機械類の動力としてはパワーユニットの電動化はメリットが大きい。eGXシリーズは2026年秋より環境規制の最前線であるヨーロッパをはじめ、北米やオーストラリアへの展開を予定。日本では建機市場を中心に搭載モデルの普及を目指している。『第8回国際建設・測量展(CSPI2026)』への出展もその一環だったというわけだ。
フォトギャラリー:『第8回国際建設・測量展 CSPI2026』
『第8回国際建設・測量展 CSPI2026』の本文にはない画像はページトップの「この記事の画像をもっと見る( 104枚)」から見ることができる。ホンダパワープロダクツのパワーユニットや、それらがどんな機器に搭載されているのか、その例を会場の様子と合わせてタップリの画像で確かめてみて欲しい。





ホンダが電動パワーユニット「eGX」に高出力モデルを追加!「第8回 国際建設・測量展 CSPI2026」で3機種を世界初公開!! | Motor Fan|自動車情報のモーターファン
