高温、荒れた路面、長距離ステージが続くダカールラリーの過酷な環境で燃料電池技術の性能、安全性、信頼性を実証へ

トヨタのモータースポーツにおける水素関連技術活用の取り組みは、2021年にRookie Racingが水素エンジン搭載車「ORC ROOKIE カローラH2コンセプト」でスーパー耐久シリーズに参戦したことから始まった。

ラリー分野では、2022年に「GRヤリスH2」がFIA世界ラリー選手権(WRC)の一戦であるイープル・ラリー・ベルギーでデモ走行を行ない、水素エンジンの可能性を示した。さらに、「GRヤリス ラリー2 H2コンセプト」は2025年のラリー・フィンランドや2026年のラリー・モンテカルロでのデモ走行を通じて、さらなる開発成果を示している。

ダカールラリーでは、トヨタも参加する水素小型モビリティ・エンジン研究組合(Hydrogen Small mobility & Engine technology Association/略称HySE)によるエントリーで、2024年には水素エンジンを搭載したバギー「HySE-X1」がDakar Future Mission 1000を完走し、2025年にはその進化型「HySE-X2」も完走した。

レース分野では、2026年のFIA世界耐久選手権(WEC)ル・マン24時間レースにて、実戦車両である「TR010 ハイブリッド」をベースに液体水素エンジンを搭載した「TR LH2レーシングプロトタイプ」がデモ走行を披露。また、2026年のスーパー耐久シリーズにおいて、世界で初めて超電導技術を搭載した水素エンジンGRカローラで完走を果たしている。

今回参戦する2027年の「Dakar Future Mission 1000」は、トヨタのモータースポーツ活動で水素と燃料電池を組み合わせて使用する初めての競技となる。

ダカールラリーは2027年1月1〜15日までサウジアラビアで開催され、キング・アブドラ・エコノミック・シティがスタートおよびゴール地点となる。砂丘、岩の多い未舗装路、乾いた川床などを高速で走破する過酷なコースで、車両とドライバーが限界まで試される。

トヨタは、水素を使用した燃料電池技術の実証に向けて、過酷な地形、気温、日程への対応が必要とされるダカールラリーにおいて、新たな挑戦に取り組む。参戦車両は、ダカールラリーのトップカテゴリーで既に実績を残している「DKR GRハイラックス」をベースに、ガソリンエンジンをトヨタの燃料電池システムに置き換えたもので、走行時にCO₂を一切排出しない。排出するのは水だけだ。

高温、荒れた路面、長距離ステージが続くダカールラリーの過酷な環境は、燃料電池技術を試す絶好の実証フィールド。パフォーマンスを安全かつ確実に発揮するためには、燃料電池の小型化、最適な冷却、耐久性に加え、エネルギーマネジメントに注力することが必要となる。

参戦カテゴリーの「Dakar Future Mission 1000」は、技術実証を目的とした実験車両向け。このカテゴリーは独自の競技形式を採用しており、クルー(ドライバーとナビゲーター)は10ステージ、合計1000kmの競技区間でタイムを競う。「DKR GR FCハイラックス」での参戦で、燃料電池技術の性能、安全性、信頼性を実証することを目指す。

「Dakar Future Mission 1000」への参戦は、トヨタが取り組んでいるモータースポーツにおけるカーボンニュートラル実現と水素関連技術の可能性拡大に向けた取り組みの一歩だ。

世界で最も過酷なモータースポーツと言われている環境で「DKR GR FC Hilux」を開発・運用して得られる知見は、乗用車、トラック、バス、列車、船舶、レース車両、定置用発電機など、幅広く燃料電池技術の応用に役立つ。また、このプロジェクトに関わる技術者はプレッシャーのかかる現場において問題解決を現地現物で学ぶことにより、今後さらなる車両開発への貢献が期待できる。

FCEVのパワートレーンおよびソフトウェアのテストとチューニング、車両組み立てはベルギーを拠点に開始しており、今後順次テストプログラムを実施する予定だ。

モータースポーツにおけるカーボンニュートラルおよび水素関連技術の可能性を引き出すという挑戦を、トヨタはダカールラリーを通じて推進していく。