電脳制御で1100馬力を路面へ叩き込む
ユーザーカーの延長線上で鈴鹿2分4秒台へ!
2024年度RH9走行会トップカテゴリー「GT-Rクラス」で、2位に1秒以上もの差をつける2分5秒246をマークした名門“フェニックスパワー”の開発8号車。ワンメイクタイヤ導入以前も含めれば、同クラスで実に5度の優勝を誇る実力派マシンだ。

フェイスはMY24へアップデートされているものの、ベースはMY20。排気量アップではトルク面で有利な4.3L仕様も存在するが、製作当時は耐久性を優先し、RSE製4.1Lキットを採用した。
タービンはレスポンスと高出力を両立するTD06SH-25Gを組み合わせ、6年間にわたるタイムアタックでもオーバーホール不要、ノントラブルという高い信頼性を実証。現在もユーザーへ自信を持って提案している仕様である。

タイムアタック用デモカーとはいえ、スペシャルパーツは使用せず、あくまでユーザーカーの延長線上で製作。RH9製100φチタンマフラーが1100psオーバーにも十分対応できることも、この車両で証明している。

「アタックユーザーの指針となるR35を目指して製作しましたが、一番こだわったのは安心してアクセルを踏み切れるセットアップです。限界性能だけを追い求めても、ドライバーが使い切れなければタイムには繋がりません。必要最小限の空力でも安心して踏めるよう足回りを煮詰めるとともに、コンマ1秒を削るため、最適なタイミングで変速するオートシフトも構築しました」と語るのはフェニックスパワーの横山さん。

このマシン最大の武器は、独自に構築した攻めのトラクションコントロールだ。
当初装着していた高グリップタイヤ「フュージャー」に合わせ、テールスライドなどで前後輪速に差が生じた際、ECU-TEKのカスタムマップによって点火時期を制御し、最適なトラクションを確保。その後、ワンメイクタイヤがR888R-Dへ変更されると、車速に応じたブースト制御も追加し、1100psを無駄なく路面へ伝える制御へと進化を遂げた。
足回りには、数多くのテストを経て完成したオリジナル仕様のアラゴスタ・タイプSSを採用。当初は50kg/mmという超ハイレート仕様も試したが、最終的にはフロント32kg/mm、リヤ28kg/mmへと落ち着いた。蓄積された膨大なセッティングデータは、装着タイヤやサーキットごとに分析され、ユーザーカーへフィードバックされている。
制動系はエンドレス製レーシングモノ6 EVOとモノ4GTを組み合わせる。軽量化と高い冷却性能を両立し、1100ps級でも安定したブレーキング性能を確保。当初装着していたレーシングモノでは、高速域からの連続アタックで制動の安定性に課題があったことからアップデートが行われた。

回頭性を左右するフロントダウンフォース強化に貢献するのが、オリジナルリップスポイラーの両サイドに追加したアンダーパネル。高速領域で高まるダウンフォースを考慮して補強ステーも追加している。

リヤには、ダウンフォースと最高速を高次元で両立するオリジナルGTウイングを装着。控えめなフロントリップとの組み合わせにより、ストリートチューンドにも自然に溶け込むスタイリングとしている。

「パワーチューンを希望されるお客様は『踏めないくらいのパワーが欲しい』とおっしゃいますが、本当に速いクルマは違います。全開にできなかったり、力でねじ伏せるだけではタイムは出ません。大切なのは、走行状況に応じて最適なトラクションを引き出せる制御なんです」と横山さん。

鈴鹿仕様のまま挑んだ岡山国際サーキットでは、R35 GT-Rのレコードタイムを樹立。横山さん自身が「完成度は90%以上」と評価するこのマシンは、2026年シーズン、目標とする鈴鹿2分4秒台を狙う。その電脳制御が生み出す圧倒的な速さに注目だ。
●取材協力:フェニックスパワー 福井店:福井県坂井市丸岡町朝陽2-317 TEL:0776-67-2980/京都店:京都府久世郡久御山町佐古外屋敷37-2 TEL:0774-48-1157
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フェニックスパワー
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