十余年の時を経て復活! RZのグランドフィナーレ
“2ストのヤマハ”を世に知らしめたバイクと言えばRZ250/350だ。とくに350は“ナナハンキラー”と呼ばれ、走り屋たちから人気を集めた。このRZには原付モデルの50/125も存在し、ブランドに恥じない優秀な弟分として活躍! ライバルのAR50、MBX50、RG50Γ(ガンマ)と同等以上のポテンシャルを発揮した。


そんなRZ伝説も過去の産物となった90年代後半、再び我々の目の前に現れたのが新生RZ50だ! かつての面影はほぼ見られず、スポークリムやシートとセパレートされた細長いタンク形状など、1960年代のGPレーサーを彷彿とさせるスタイルで復活した。初代を知らない人が見れば、先代よりもレトロなバイクに映るだろう。

レプリカ全盛期とは真逆! レトロな姿で生まれ変わったRZ50
このスタイルは、90年代に盛り上がったクラシカルブームに端を発するもの。下火となったレーサーレプリカブームのなかで姿を消していくTZR50Rの後釜として、本気のフルサイズ原付スポーツを送り出してきたのは賞賛に値する。
その中身は、DT50のフレームにTZM50R系エンジンを搭載したもの。高性能なのは間違いなく、同時期にデビューしたDOHC4バルブ仕様のドリーム50がオジサマ向けなら、この二代目RZ50は、熱い走りを楽しみたい若者たちに刺さった一台なのである。

トラッカータイプのシングルシートや細長い燃料タンク、前後17インチのスポークリム、スクエアなテールランプなど、車体を構成するパーツはいずれもクラシカル。しかし、その姿に収まるエンジンは、当時の最新技術を盛り込んだ水冷2ストだった。

近代的な街並みに置いても、どこか60年代レーサーのような雰囲気を漂わせる。この見た目と中身のギャップが、二代目RZ50の大きな魅力だ。
90kgの軽量車体がヒラヒラ! フルサイズでも軽快な走り
新世代のRZ50は、トレール車DT50のスチール製ダブルクレードルフレームを軸に構成されている。それまでのレーサーレプリカであるTZR50やNS-1のような太いフレームとは異なり、見た目はやや華奢な印象だ。
ところが実際に走らせると、フレームが良い具合にしなって柔らかいフィーリング。スリムな車体は車両重量約90kgで、先述した2車種より7~10kgも軽いため、ヒラヒラと向きを変える感覚が強い。細身のタイヤサイズも、この軽快感に影響しているのだろう。

細身の車体と17インチホイールが生む軽快な身のこなし。フルサイズながら重さを感じさせず、原付らしい気軽さも残されている。
ノンカウルで全長も1805mm程度なので、フルサイズとはいえ必要以上に大柄には見えない。前後17インチの足周りにはスポークリムを採用し、タイヤはチューブタイプ。細身の車体と相まって、レトロでスリムなスタイルを際立たせている。

身長179cmの筆者が跨るとこのサイズ感。撮影車はハンドル位置が高められているため上体はラクだが、長いタンクと後方寄りのステップがスポーティさを残す。
7.2psを10000rpmで発揮! 見た目に反して中身は最前線
注目のパワーユニットは、TZR50R譲りの水冷2ストローク49ccクランクケースリードバルブエンジンを搭載。ただし、クラッチ板は4枚でシフトドラムの回転が逆となり、さらにエンジンのマウント位置も微妙に異なることから、基本ベースはTZM50Rだ。
もちろん、自主規制値いっぱいの7.2psを発揮し、最高出力の発生回転数は10000rpmという高回転仕様である。レトロな外観に反して、中身は当時最新の2ストスポーツエンジン。これぞ“平成オールドレーサー”と呼びたくなる最大の理由だ。
フロントブレーキはディスク式で、φ220mmローターと片押し2ポットキャリパーを組み合わせる。異径ピストンを採用したキャリパーは原付初採用。リヤはドラム式となり、2000年以降はグラフィックの変更やサイレンサーガードの追加が行われた
68cc化で低速トルクも十分! 甲高い排気音と白煙がたまらない
今回のオーナー車は、デイトナ製ボアアップキットを組み込み68cc化されている。ノーマルの小排気量2ストでは薄く感じやすい低速トルクも十分で、シグナルダッシュから法定速度+αまで、「ビィ~ンッ!」という甲高い排気音と白煙をまき散らしながらスムーズに加速していく。
限界近くまで引っ張り、シフトアップしたときの速度の乗り方は胸がすくよう。久しぶりに乗った2ストスポーツミッションに、思わずニヤけてしまった。きっちり6速まで使えるのは楽しいが、シフト操作は少し忙しいので、スプロケットを交換してギヤ比を変更してもよいかもしれない。

ステップ位置はDT50用フレームに専用ステーを介して最適化。ローレット入りの可倒式ステップもスポーティな雰囲気を高めている。
ここまで走ると、「リヤブレーキもディスクだったら……」と思ってしまうけれど、街乗りや峠を流す程度なら前ディスク/後ドラムでも十分。RZ50は絶対的な速さだけではなく、軽い車体を操り、エンジンを高回転まで回し切り、細かくシフトをつないで走る楽しさを味わえる一台なのだ。

リヤはドラムブレーキを採用。スタビライザー付き角型スイングアームと細身のスポークリムが、クラシカルな姿と軽快な走りを支えている。
ハンドル周りを使いやすく! 坊ちゃんパパさんのRZ50
オーナーの坊ちゃんパパさんは、RZ50以外にもPCX、リトルカブ、ドラッグスター400、CB400SF、ZZR1200など、排気量やジャンルを問わず多彩なバイクを所有し、走るステージや用途に応じて使い分けながらバイクライフを楽しんでいる。
撮影車はハンドルアップライザーによって、ハンドル位置を上へ約40mm、後方へ約20mm移動。低い一文字ハンドルの雰囲気を残しながら、街乗りやツーリングでの負担を軽減した。

メーターはデイトナ製のφ60mmで、140km/hスケールの速度計と回転計を並べた構成。本来は中央に収まるインジケーターを取り除き、HARD DRIVE製のパーツへ変更している。

白文字盤の速度計と回転計を並べたシンプルなコックピット。中央下へインジケーターを移し、視認性よくまとめている。
デイトナ製グリップに合わせた青いバーエンドや、エンデュランス製アルミマスターカバーなど、ハンドル周りを中心に実用性と見た目の両方を高めている。

ブルーを差し色にしたグリップ&バーエンドに、ゴールドのマスターシリンダーカバーを組み合わせる。小さな変更だが、運転席からの満足感は大きい。
見た目はレトロ、中身は今でも刺激的
RZ50は、見た目がレトロなカフェレーサーというか、“街道レーサー風”。それでいてエンジンは当時の最新で、今乗っても十分に刺激的な性能を持っているというギャップがたまらない!
約8年間にわたって生産されたため、中古車もまだそこそこ見つかるだろう。とはいえ、2ストロークのフルサイズスポーツという存在そのものが貴重になった現在、程度の良い個体は大切に乗り継ぎたいところ。甲高い排気音、白煙、6速ミッションを忙しく操る楽しさ。そんな走り屋の魂を21世紀へ紡いだRZ50は、まさに平成を代表する原付モデルである。

クラシカルな外観の奥に、当時最新の水冷2ストエンジンを秘めた二代目RZ50。見て楽しみ、回して楽しめる“平成オールドレーサー”だ。
ヤマハRZ50主要諸元
型式:RA01J
全長×全幅×全高:1805×615×970mm
ホイールベース:1215mm
シート高:745mm
車両重量:90kg
総排気量:49cc
エンジン形式:水冷2ストローク単気筒クランクケースリードバルブ
最高出力:7.2ps/10000rpm
最大トルク:0.63kgm/7500rpm
燃料タンク容量:10L
タイヤサイズ(前・後):70/100-17・80/90-17
ブレーキ(前・後):ディスク・ドラム
発売当時価格:24万9000円
※スペックおよび価格は1998年当時。
※この記事は月刊モトチャンプ2024年6月号を基に加筆修正を行っています
【モトチャンプ編集部】



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