基本情報
新型三菱・パジェロは、2026年9月2日に世界初公開される予定のクロスカントリーSUVである。パジェロは日本向けを2019年、海外向けを2021年に生産終了。海外向けの生産終了から約5年を経て、新型が世界初公開される。
車体のベースとなるのは、ピックアップトラック「トライトン」に採用されるラダーフレームだ。これに改良を施したうえで、キャビンや前後サスペンションなどをパジェロ専用に開発している。
堅牢で耐久性に優れたラダーフレームと、高い路面追従性を発揮するサスペンションを組み合わせ、凹凸の大きなオフロードでの走破性を確保。舗装路では揺れや振動を抑え、長距離でも疲れにくい乗り心地を追求している。
さらに、走行状況に応じて操縦性、走破性、安定性を統合的に制御する「S-AWC(Super-All Wheel Control)」を採用する。
歴代モデルで培ってきた悪路走破性や耐久信頼性、快適性を受け継ぎ、日常から長距離移動、悪路まで幅広い環境に対応するオールラウンドSUVを目指している。
三菱・パジェロの魅力

新型パジェロを理解するうえで重要なのが、三菱自動車の掲げる「走破性と快適性の両立」という考え方である。
「走破性と快適性の両立」は、初代から歴代パジェロが追求してきた価値でもある。砂漠や雪道、高速道路など走行環境が変わっても、目的地まで安心して移動できること。新型にも、この思想が受け継がれている。
その背景にあるのが、長年にわたるダカールラリーへの挑戦だ。パジェロは1983年にダカールラリーへ初参戦し、市販車無改造クラスで優勝。1985年には日本車として初めて総合優勝を果たし、2001年から2007年には7連覇を達成した。通算勝利数は12勝に及ぶ。
三菱自動車はダカールへの参戦を、技術やノウハウを磨き、市販車へ還元する場としても活用してきた。過酷な環境で車両の限界を確かめ、得られた知見を次のクルマづくりへ生かす取り組みである。
そこには、悪天候や悪路を走破して目的地へたどり着き、最後には乗員が安心して帰ってこられるクルマをつくるという考え方がある。
ラリーで磨かれたのは、悪路を走り切るための性能だけではない。未知の悪路を長時間走り続けるには、車両の耐久性に加え、ドライバーの疲労を抑えて集中力を維持しやすい快適性も求められる。そのため歴代パジェロでは、高い視界や無理のない運転姿勢、扱いやすい駆動特性などを追求してきた。競技で積み重ねた知見が、市販車の安全性や快適性にもつながっている。

新型に採用される「マルチメーター」も、パジェロの歴史を現在へつなぐ装備のひとつだ。歴代モデルで親しまれた3連メーターをモチーフとし、高度や方位、温度に加え、車体の前後左右の傾きや左右のトルク配分などを表示する。山道や林道、岩場、泥濘路などでは、変化する車両の状態をリアルタイムに確認できる。
新型では、この3連メーターを現代的なデジタル表現へと発展させた。三菱自動車が「パジェロの魂とも言える」と位置づける伝統的な装備を受け継ぎながら、現在の車両に求められる機能性や表現へと進化させている。
デザインでも意識されているのが「継承」と「進化」である。歴代パジェロでは、水平基調で厚みのあるサイドビューによってオールラウンド4WDらしい力強さを表現してきた。新型もその考え方を引き継ぎつつ、現在のフラッグシップSUVにふさわしいプロポーションへ進化させている。
インテリアには初代のイメージを取り入れながら、上質感も追求。設計や生産部門と工法を検討し、量産車では実現が難しい手の込んだデザインにも取り組んだという。
歴代パジェロが築いてきた思想を受け継ぎ、現在の技術やデザインによって再構築している点も、新型パジェロを特徴づけている。
三菱・パジェロ 変遷

パジェロは、1982年の初代登場から2021年の海外向け生産終了まで、約39年にわたって展開された。日本国内では2019年に生産を終了しているが、その歴史は三菱自動車のSUVづくりを語るうえで欠かせない。
初代(1982年~1991年)
初代パジェロは1982年5月に登場した。長年のジープ生産で培った本格的な悪路走破性をベースとしながら、フロントに独立懸架サスペンションを採用。オフロードに加えて、舗装路での走行性能にも配慮した4WD車として開発された。
当時の4WD車は、業務用途などで使われる特殊な車両という側面が強かった。パジェロは乗用車としての快適性を取り入れ、レジャーにも使えるRVという市場を広げていく。
1983年には5ナンバーワゴンとロングボディ、1985年にはAT車を追加。1987年には高級内装や本革シートを備えた上級グレード「エクシード」が登場した。初代は最終的に約63万台を販売するヒットモデルとなっている。
モータースポーツでは1983年にダカールラリーへ初参戦し、市販車無改造クラスで優勝。1985年には日本車初となる総合優勝を果たした。
2代目(1991年~1999年)
2代目は1991年1月に登場した。初代より居住空間を拡大し、3列シートモデルなどを設定。大きな特徴となったのが、フルタイム4WDとパートタイム4WDの長所を組み合わせた「スーパーセレクト4WD」である。
走行状況に応じて駆動方式を使い分けられるようにしたことで、本格的な4WD性能を幅広い場面で活用しやすくした。
スキーやアウトドアの人気が高まった時代背景とも重なり、パジェロは1990年代のRVブームを象徴する存在となる。機能性に加えて、都市部でも受け入れられるスタイリングや乗用車としての快適性を備え、幅広いユーザーに支持された。
1997年には、高性能モデル「パジェロエボリューション」も登場。専用3.5Lエンジンを搭載し、アルミ製エンジンフードなどを採用することで、軽量化と高性能化が図られた。
3代目(1999年~2006年)
3代目は1999年に登場した。大きな変更点となったのがボディ構造である。従来のラダーフレームから、フレームをボディと一体化した「ビルトインフレームモノコックボディ」へ転換した。
これにより軽量化や低重心化を図り、オフロード性能に加えてオンロードでの操縦安定性も向上。高速道路から未舗装路まで幅広い環境を快適に移動できるオールラウンダーへ進化した。
ダカールラリーでも黄金期を迎え、2002年と2003年には増岡浩が総合優勝。2001年から2007年まで続く7連覇の一翼を担った。
4代目(2006年~2019年[国内]/2021年[海外])
4代目は2006年10月に登場した。「地球基準のオールラウンドSUV」を掲げ、それまでに培ってきたオフロード性能と快適性をさらに熟成。車両姿勢を安定させながら駆動力を確保するASTCなどを採用し、オンロードとオフロードの双方で扱いやすい性能を追求した。
2008年には、排出ガス浄化性能や静粛性を高めた3.2Lコモンレール式ディーゼルエンジン「DI-D」を追加。2010年には同エンジンを大幅に改良し、ポスト新長期排出ガス規制に適合するクリーンディーゼルへと進化させた。
国内向けは2019年に生産を終了。同年には「FINAL EDITION」が700台限定で発売された。
海外向けについても2021年に生産を終了し、1982年から続いたパジェロの生産はいったん途切れることになった。
新型パジェロ(2026年9月2日に世界初公開予定)
2026年5月29日、三菱自動車は新型クロスカントリーSUVの車名を「パジェロ」に決定した。同年9月2日に世界初公開される予定で、日本向けパジェロの生産終了から7年を経ての復活となる。
新型は、歴代モデルが磨いてきた「走破性」「耐久信頼性」「快適性」を受け継ぎながら、現在のオールラウンドSUVとして進化。三菱自動車の冒険心と挑戦心を象徴し、今後のブランドを牽引する新たなフラッグシップモデルとして開発が進められている。
三菱・パジェロ 販売台数推移
パジェロは1982年の発売以来、長年にわたって国内で販売されてきた。ここでは、三菱自動車が公表する数値データをもとに、1997年度から2018年度までの国内販売台数を見ていく。
| 年度 | 国内販売台数 |
| 1997年度 | 26,181台 |
| 1998年度 | 9,412台 |
| 1999年度 | 20,189台 |
| 2000年度 | 12,701台 |
| 2001年度 | 6,725台 |
| 2002年度 | 5,681台 |
| 2003年度 | 6,035台 |
| 2004年度 | 4,196台 |
| 2005年度 | 2,781台 |
| 2006年度 | 6,025台 |
| 2007年度 | 3,818台 |
| 2008年度 | 2,738台 |
| 2009年度 | 2,198台 |
| 2010年度 | 2,948台 |
| 2011年度 | 3,209台 |
| 2012年度 | 2,029台 |
| 2013年度 | 2,213台 |
| 2014年度 | 1,803台 |
| 2015年度 | 1,665台 |
| 2016年度 | 1,062台 |
| 2017年度 | 1,000台 |
| 2018年度 | 621台 |

販売台数は、1997年度の26,181台を起点に長期的な減少傾向が見られる。1998年度には9,412台まで落ち込んだものの、1999年度は20,189台まで回復。その後は再び縮小し、2001年度には6,725台となった。
転機となったのが、4代目へモデルチェンジした2006年度である。販売台数は6,025台となり、前年度の2,781台から約2.2倍に増加した。
2006年度の増加後、2007年度以降は再び減少基調へ。2014年度からは2,000台を下回る水準で推移し、国内向け生産終了前の2018年度は621台まで減少している。
2019年4月には、国内向け生産終了に合わせて「FINAL EDITION」を700台限定で発売。同年8月に国内向けパジェロの生産を終えた。
1982年の発売から2019年3月までの国内累計販売台数は64万台以上。約37年にわたる国内展開を通じて、三菱自動車を代表するSUVとして市場に定着したモデルである。
まとめ

パジェロが国内市場から姿を消した2019年以降も、SUV市場は拡大を続けてきた。本格的なクロスカントリーSUVから街乗りを重視したモデルまで、選択肢は大きく広がっている。
そうした市場環境のなかで復活する新型パジェロ。歴代モデルで培ってきた悪路走破性を核に、長距離移動での快適性やデジタル装備を組み合わせ、現代のオールラウンドSUVとして再構築されている。
2026年9月2日には、いよいよ新型パジェロが世界初公開される予定だ。かつて国内でも大きな支持を集めたパジェロが、現在のSUV市場でどのような立ち位置を築くのか。新型の詳細とともに、発売後の販売動向にも注目したい。