後席の広さはほぼ同じ! 荷室はアリアNISMOの方が圧倒的に広い




リーフNISMOとアリアNISMOは、どちらもそれぞれのベースモデルをスポーティに仕立てたモデルだ。両車には各部に空力特性を考慮した専用エアロパーツが装着され、足もとにはともにエンケイ製の軽量アルミホイールが備わる。アリアNISMOの上級グレード“B7”では車高が5mmダウンされて最低地上高は165mmとなるのに対し、リーフの最低地上高はベース車と同じ135mmだ。
標準アリアは2026年1月のマイナーチェンジで新型リーフ顔に変更されたが、アリアNISMOは旧来のフロントフェイスが維持されているため両車の雰囲気は異なる。とくにリーフNISMOは専用スポイラーで大型化されたダックテールが強い存在感を放っている。
新型リーフはアリアと同じCMF-EVプラットフォームを採用したことで、リーフNISMOもリヤサスペンションはマルチリンクに変わり、後席フロアもアリアと同じくフラットな構造となりスッキリとした足もと空間が確保されている。
後席の膝まわり空間はアリアNISMOの方がほんのわずかに広いが、リーフNISMOに設定される“レカロ製スポーツシート装着車”を選べば、アリアNISMOよりも膝まわりは広くなる。ただし、後席乗員が安楽な姿勢を取りやすいのは、リクライニング角度が大きく確保されるアリアNISMOの方だ。
両車の荷室寸法はリーフNISMOが長さ860mm×幅1100mm×高さ770mmに対し、アリアNISMOは973mm×1100mm×682mmとなる。リーフNISMOより一回り大きいアリアNISMOのボディサイズは荷室空間の広さに貢献しており、アリアNISMOは9.5インチのゴルフバッグを3個積み込める容量を確保しているのに対し、リーフNISMOは同サイズのゴルフバッグが2個までだ。
しかし、リーフNISMOはディーラーオプションのラゲッジボードを追加することで荷室を上下2段に仕切って使えるため、むしろアリアNISMOよりも日常的な利便性は高い。
どちらも基本構造はそれぞれのベース車と同じであるため、明確なスポーツモデルでありながら快適性や使い勝手は一切犠牲にされていない点も両車に共通する大きな特徴だ。
日産 リーフ NISMO B7
ボディサイズ=全長4415mm×全幅1810mm×全高1550mm
ホイールベース=2690mm
車両重量=1920kg
タイヤサイズ=235/45R19(前後)
日産 アリア NISMO B9 e-4ORCE
ボディサイズ=全長4650mm×全幅1850mm×全高1660mm
ホイールベース=2775mm
車両重量=2210kg
タイヤサイズ=255/45R20(前後)
FFとなるリーフNISMOの強みは、動力性能ではなく運動性能


基本的なチューニングメニューはどちらも同じと言ってよいだろう。それぞれのモータースペックはベースモデルに準ずるが、どちらにもパフォーマンスを最大限に発揮させる“NISMOモード”が追加されるほか、スタンダードやエコといった通常のドライブモードにも専用チューニングが施されている。
サスペンションやパワーステアリングは“匠”と呼ばれる腕利きのエンジニアによってセッティングされ、高速域でも安定した制動力を発揮できるようブレーキも強化。純正タイヤはどちらもミシュラン製の専用タイヤとなる。
もっとも大きな違いは、リーフNISMOが前輪駆動であるのに対し、アリアNISMOはモーター2基がけの4WDシステム“e‑4ORCE”である点だ。
前後モーター合計435psのシステム出力と専用チューンのe‑4ORCEに加え、より太いタイヤがもたらす高いトラクションにより全開での発進加速性能に優れるのは兄貴分であるアリアNISMOの方となる。
どちらも公式な加速タイムは発表されていないが、アリアNISMOは0-100km/h加速タイム5.0秒という非公式データがある。FFのリーフNISMOはそれよりやや劣るタイムとなるだろう。しかし、リーフNISMOの強みは動力性能ではなく、300kg近く軽い車重を活かした運動性能だ。
路面の追従特性と初期減衰力の素早い立ち上がりを両立したスウィングバルブ付きショックアブソーバーが採用されるのはリーフNISMOのみであり、正確な操舵を実現するためにフロントサスペンションメンバーブッシュも専用品に置き換えられている。
さらにリーフNISMOにはパドルシフトを用いた4段階の回生ブレーキコントロールシステムが搭載されており、レベル1は減速力を低めた燃費走行向けの設定とし、減速力を高めに設定したレベル2~4を切り替えることでアクセルオフ時の減速量を任意で制御可能だ。
e-4ORCEの盤石な姿勢制御によりどんなシーンでもアクセルペダルを踏んでいけるアリアNISMOに対して、荷重移動やステアリング操作で姿勢をコントロールする余地が大きく確保されている点が、FFであるリーフNISMOの大きな特徴と言えるだろう。
なお、NISMOモデルは持ち込み登録となるため航続距離や電費は公表されていないが、標準モデルのデータが参考になる。それぞれのベースとなる“リーフB7 G”のWLTCモード一充電走行距離は685km、“アリア B9 e‑4ORCE”は560kmとなるため、それぞれのNISMOモデルの航続距離はこの数値よりわずかに短い数値になるはずだ。
日産 リーフ NISMO B7
エンジン形式=交流同期電動機
排気量=-
最高出力=F:218ps/4400-11700rpm
最大トルク=F:355Nm/0-4300rpm
トランスミッション=単速
駆動方式=2WD(FF)
日産 アリア NISMO B9 e-4ORCE
エンジン形式=交流同期電動機
排気量=-
最高出力=F:218ps/5950-11960rpm R:218ps/5950-10320rpm
最大トルク=F:300Nm/0-4392rpm R:300Nm/0-4392rpm
トランスミッション=単速
駆動方式=4WD
アリアNISMOはグランドツアラー、リーフNISMOはスポーツカー


新車価格は“リーフNISMO B7”が695万2000円、“アリアNISMO B9 e-4ORCE”が951万600円だ。バッテリー容量を抑えることで価格を抑えたそれぞれの下位グレードは“リーフNISMO B5”が660万1100円、“アリアNISMO B6 e-4ORCE”は849万8600円となる。
価格はベースモデルにおける価格差に加えて、e‑4ORCEを搭載するアリアNISMOの方が当然高く、それぞれのチューンコストもリーフNISMOの約100万円に対して、アリアNISMOは約140万円と高くなる。
アリアNISMOのチューンコストが高い主な理由は、e‑4ORCEのセッティングに加え、オプションの“BOSEプレミアムサウンドシステム”装着時に車内で鳴らせるフォーミュラEマシンを模した専用サウンドの作り込みが加わるためだろう。内装はどちらもスポーティな専用装飾でまとめられるが、アリアNISMOの方が加飾装備は凝ったものとなっている。
それ以外の快適装備や安全装備などはおおむね同じだ。どちらも前席はパワーシートが標準装備。ステアリングヒーターも両車に備わり、シートヒーターはどちらも前後席に標準装備となる。12.3インチのGoogle内蔵のNissanConnectインフォテインメントシステムも標準装備であり、前走車との車間距離を維持するように支援してくれる“インテリジェント ディスタンスコントロール”も両車に搭載される。
特定条件下でハンズオフが可能となる“プロパイロット2.0”も上位グレードなら両車装着可能だ。ただし、リーフNISMOの“レカロ製スポーツシート装着車(722万7000円)”はプロパイロット2.0が装備できない点に注意したい。
リーフNISMOとアリアNISMOは、どちらも同じプラットフォームを用いたEVをスポーティに仕上げたモデルだ。しかし、駆動方式の違いとそれにふさわしいチューニングの差によってそれぞれの個性が強調されている。
4WDのアリアNISMOが、高いスポーツ性とプレミアム感を備えたEVグランドツアラーだとすれば、FFのリーフNISMOは軽快なドライビングを楽しめるスポーツEVと言えるだろう。
車両本体価格
日産 リーフ NISMO B7:695万2000円
日産 アリア NISMO B9 e-4ORCE:951万600円
