Q. クラッシュワッシャーは銅とアルミ、どちらがオススメですか?

投稿者:大分県/哲也86さん

オイルドレンボルトやブレーキホースのバンジョーボルトなどで使われている、シーリング用のワッシャー。用品店へ行くとアルミ製と銅製が並んでいるから、「値段だけで選んでいいの?」「銅のほうが丈夫そうだけど?」と気になりますよね。

先に答えると、銅とアルミのどちらが優れているというより、使用箇所に指定されたサイズの新品を使うのが基本です。

そもそもクラッシュワッシャーは、その名のとおり締め付けたときに少しつぶれて変形し、ボルトと座面の細かな隙間を埋めることでオイルやフルードの漏れを防ぐ部品。つまり「ただ挟まっている輪っか」ではなく、自分が変形することでシールしているんだ。

銅とアルミ、違いはある。でも“材質だけ”で決めない!

一般論として、アルミは比較的やわらかく変形しやすく、銅も延性が高いためシーリング材として広く使われている。ただし、実際のワッシャーの硬さやつぶれ方は材質だけでなく、合金や厚さ、加工状態などでも変わる。

だから「アルミ部品にはアルミワッシャー」「鉄やステンレスなら銅」と単純に決めるのは避けたい。メーカーは締め付けトルクや座面形状、使用する液体などを含めて部品を設定しているため、サービスマニュアルやパーツリストで指定されたものを使うのが確実だ。

チェン自身は、これまでオイルドレンなどで銅製・アルミ製の両方を使ってきた。適正なサイズと締め付けで使い、それが原因で漏れた経験はない。だから経験上、どちらか一方だけが絶対にダメとは考えていない。ただし、それは「好きな材質へ自由に交換してOK」という意味ではなく、指定が分かるなら指定品を使うのが大前提だ。

実際、メーカーの整備資料でもドレンボルトのガスケットは消耗品として扱われている。ヤマハの取扱説明書には、オイル交換時にドレンボルトへ「新品のガスケット」を取り付けるよう明記された車種もあるよ。

基本はケチらす新品交換「締め付けトルク」も重要だ

銅製ワッシャーは焼きなましによってやわらかさを戻せることもあり、現場では再使用されるケースもある。でも、一度つぶして密着させたクラッシュワッシャーは、外した時点で新品とは形状が違う。再び同じようにシールできる保証はありません。

特にブレーキのバンジョー部など、漏れが重大なトラブルへ直結する場所なら再利用は避けたい。オイルドレンについても、メーカーが新品交換を指定しているなら新品を使う。数百円を惜しんでオイル漏れやフルード漏れを起こしたら、まったく割に合わないですよね。

そして、ワッシャー以上に大切なのが締め付けトルク。新品を入れたからといって「漏れないように思いっきり締める!」はNG。とくにアルミ製のクランクケースやオイルパンでは、締めすぎるとねじ山を傷めることもある。サービスマニュアルなどで指定トルクを確認し、適正な力で締めることまで含めてひとつの作業なんだ。

結論としては、銅かアルミかで悩むより、「指定されたワッシャーを新品で使い、規定トルクで締める」。これがいちばん確実です。

チェン自身、銅もアルミも使ってきたからこそ、材質だけで神経質になる必要はないと思っている。でも、この小さな部品がオイルやブレーキフルードを止めているのも事実。たかがワッシャー、されどワッシャーですね。

POINT

・クラッシュワッシャーは締め付け時に変形して隙間をシールする
・クラッシュワッシャーは基本的に新品交換
・特にブレーキ系のシーリングワッシャーは安易に再利用しない
・締めすぎもNG。指定トルクで締め付ける

※記事内の回答は、車両メーカーの公開情報およびチェンの整備経験を基に構成しています。ワッシャーの材質・サイズ・再使用可否・締め付けトルクは車種や使用箇所によって異なるため、取扱説明書やサービスマニュアルの指定を優先してください。

著者紹介 

チェン

元レースメカニックで、カスタムビルダーや二輪誌編集部員のキャリアを持つ。現在はスーパーモトのレースに参戦し、ハイエースで全国を飛び回っている。

※この記事は月刊モトチャンプ2025年9月号を基に加筆修正を行っています

【モトチャンプ編集部】