1950年~1960年代英国で隆盛を誇ったライトウエイトスポーツ

1990年初頭のバブル崩壊によって、日本経済は停滞期を迎え、市場は高性能なスポーティモデルや高級セダンの人気は低落し、代わりに実用的で多用途に対応できるSUVやミニバン、ステーションワゴンが高い人気を獲得していた。
一方で、スポーツカーファンからは根強く、入手しやすい、扱いやすいライトウエイトスポーツを求める声も上がっていた。ライトウエイトスポーツは明確な定義があるわけでないが、その名の通り軽量(一般的に車重1t程度)で小型2ドアのスポーツモデルを指し、軽量ゆえの軽快なドライビングが楽しめるモデルである。

ライトウエイトスポーツは、1950年~1960年代に欧州、特に英国で隆盛を誇った。英国のMG「MGB(1962年~1980年)」やロータス「ロータス・エラン(1962年~1975年)」、トライアンフ「スピットファイア(1962年~1980年)」などの小型オープンスポーツカーが、その代表である。
その後、衝突安全基準や排ガス規制の強化の影響で欧米のライトウエイトスポーツ市場は下火となったが、1989年9月にマツダから初代「ロードスター(NA)」が登場し、再び世界中でライトウエイトスポーツに注目が集まった。
ライトウエイトスポーツの復権を目指したMR2とロードスター(NA)


まず日本で、ライトウエイトスポーツを市場に投入したのは、トヨタだった。トヨタは、1984年6月に日本初の量産MR(ミッドシップ)のライトウエイトスポーツ「MR2」を発売した。MR2は、スラントノーズにリトラクタブルヘッドライト、リアはハイデッキという典型的なスポーツカーらしいスタイリングが注目を集めた。

パワートレーンは、3A-LU型1.5L 直4 SOHC、4A-GELU型1.6L 直4 DOHCの2種エンジンと、5速MTおよび4速ATの組み合わせ。一方でコストを抑えるため流用品が多く、スポーツモデルとしては性能不足という声も散見された。車両価格は、139.5万~179.5万円というMRスポーツとしては破格ともいえる廉価な設定だったが、ピーキーな操縦性で扱い難かったこともあり、販売は限定的だった。

そして、5年後の1989年9月にライトウエイトスポーツ復活の決定打となったマツダの初代NA型「ユーノス ロードスター」がデビューした。NAロードスターは、リトラクタブルヘッドライトに能面“若女”をモチーフにした和のテイストを生かしたオープンスポーツで、コンパクトな軽量ボディが特徴だった。

パワートレーンは、最高出力120ps/最大トルク14.0kgmを発揮するB6型1.6L 直4 DOHCエンジンを縦置きしたフロントミッドシップしたFRで、トランスミッションは5速MT、遅れて4速ATも追加された。特にハイパワーではなかったが、重量を車体中央に集中させた50:50の理想的な前後重量配分と940kg程度の軽量化ボディによって、レスポンスに優れた走りと高いハンドリング性能が楽しめた。
NA型ロードスターは、標準グレードの5速MT車が170万円と、誰でも入手できる低価格で国内外で大ヒット、世界中でライトウエイトスポーツ旋風を巻き起こした。
走る楽しさ、操る楽しさを追求した2代目NB型ロードスター

ライトウエイトスポーツのさらなる進化のためにまず動いたのが、マツダだった。「ロードスター」は、1998年1月に2代目となるNB型「ロードスター」にモデルチェンジした。基本的には、大ヒットした初代NA型のキープコンセプトだが、全面改良して各機能をブラッシュアップし、名実ともに初代の進化版だった。

NB型ロードスターは、スタイリッシュさを追求したパッケージングとスポーティ感を高めた内外装、“ファン・トゥ・ドライブ”な走行性能に磨きをかけた。具合的には、リトラクタブルヘッドライトから固定式ヘッドライトに変更し、3次元フォルムを取り入れた美しさと空力性能に優れたスタイリングを採用。またインテリアは、シートと空間の適度な心地よいタイト感を持ちつつ、操作性および視認性の向上になどによってファン・トゥ・ドライブを具現化した。


パワートレーンは、125ps/14.5kgmを発揮するB6型1.6L 直4 DOHC、145ps/16.6kgmのBP型1.8L 直4 DOHCの2種エンジンに、5速/6速MTおよび4速Aが組み合わされ、走りのレベルも向上。その後、最高出力は160psまで向上し、さらに2003年12月には1.8Lターボエンジンの追加によって最高出力は172psに達した。

また足回りについては、4輪ダブルウィシュボーンのサスペンションを継承しながら、剛性アップや構造変更などのチューニングを施し、優れた操縦安定性と路面追従性が実現された。

車両価格は、194.25万円~257.78万円に設定され、NB型ロードスターも引き続き人気を獲得。2000年には、MGの「MGB」を抜いて、2人乗り小型オープンスポーツカーとして生産累計台数53万1890台で世界一となり、ギネスブックに認定された。
オープンスポーツに変身してMR2を進化させたMR-S
MR2は、発売直後にスポーツカーとしては性能不足という指摘があったため、1986年8月にはスーパーチャージャーエンジンを追加し、1989年10月の2代目では排気量を2.0Lに拡大して走行性能を強化した。


そして1999年10月に「MR2」の流れを継いで、クーペからフルオープンに変身したライトウエイトMRスポーツ「MR-S」がデビューした。ミッドシップのシャープなハンドリング特性加えて、MR2よりコンパクトで970kgの軽量ボディと高い剛性を両立していることが特徴だった。

MR-Sは、ロングホイールベースに加えてショートオーバーハングにすることで操縦性が大幅に改良し、パワーよりも軽快さを重視した本来のライトウエイトスポーツ、扱いやすいMRを目指した。そのスタイリングは、フルオープンのシンプルで軽快なデザインで、トランクはほぼなく収納性は低く、走りを優先した。

パワートレーンは、最高出力140ps/最大トルク17.4kgmの1ZZ-FE型1.8L 直4 DOHCエンジンをシート背後に横置き搭載したミッドシップ、トランスミッションは5MTのみ。軽量なボディのおかげで特にコーナリング時に俊敏な走りが自慢だった。

オープンモデルながら車両価格は168万~198万円と、200万円を切る手頃な価格が魅力だったが、生産台数は2007年までの8年間で7万7840台と、微妙な結果となった。

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エンジン配置や駆動系レイアウトは異なるもの、軽量化ボディで走りの楽しさを徹底的に追求して誕生したマツダNB型「ロードスター」とトヨタ「MR-S」。楽しいスポーツドライブ好きを満足させるに十分な高いポテンシャルをもつスポーツカーだった。




