レボリューション流G16Eチューニングの真髄

数多くのトライ&エラーを重ね、GRヤリスのチューニングシーンを牽引してきた「レボリューション」。ストリートでの快速チューンから、タイムアタック、ドラッグレースまで、さまざまなステージでG16Eを鍛え上げてきた。その豊富な経験とノウハウをもとに、走るステージや狙うパワーに応じたチューニングメニューを構築している。
純正タービンなら390〜400馬力が狙い目

そのスタート地点となるのが、純正タービンを生かしたブーストアップ。狙いは390〜400psで、HKSパワーエディターRとECUTEKによる制御を基本としている。制御が安定しにくい前期モデルでは、機械式の強化アクチュエーターを組み合わせることも推奨している。
一般的には純正タービンをベースとしたハイフロータービンも選択肢に入るが、レボリューションでは必ずしもそれが最適解とは考えていない。ピークパワーを伸ばせたとしてもアクセルレスポンスが鈍くなり、サーキットでは踏み直した瞬間に欲しいトルクが出てこないケースもあるからだ。
ピークパワーだけでなくレスポンスまで含めて考えれば、ストリートでは純正タービンのブーストアップも十分に魅力的というわけだ。
G25シリーズなら500〜550馬力級へ

さらに上を狙うなら、ギャレットのG25シリーズが登場する。エンジン本体がノーマルならG25-550で500ps弱、燃焼室やポート加工などのヘッドチューンまで施せば、G25-660で550ps級が目安となる。
コンパクトなサイズながら効率を重視したG25/G30シリーズは、幅広い排気量をカバー。G16Eとの組み合わせでも、狙う出力や走るステージに応じたタービン選択が可能となる。

そして、現時点でレボリューションが提案する最高峰が、1.75L+ギャレットG30-700による650ps仕様だ。
1.75L+G30-700で650馬力に到達!

今回のGRヤリスは、ドラッグレースへの参戦を視野に入れて製作された車両。HKSの1750ccキットによって排気量を拡大し、さらにオリジナルのセミクローズドデッキ加工によってハイパワー化に対する耐久性を高めている。
燃焼室やポートにも加工を施し、クルフォード製ハイカムまで投入。G16Eを徹底的に作り込んだフルチューン仕様だ。
ただし、タービンは大きければいいというものではない。サーキットで中低速トルクを重視するならG25-660、ドラッグレースのように高回転域を多用するならG30-700というように、走るステージによって最適解は変わってくる。
実際、1.75L+ヘッドチューンにG25-660を組み合わせたハイオク仕様では、最大ブースト圧2.0kg/cm²で533ps/6870rpm、62kgm/4073rpmを記録している。

一方、今回の車両がG30-700を選んだのは、オーナーがドラッグレースまで楽しみたいと考えたため。そこでレボリューションは、E85燃料にも対応するバイフューエルシステムを構築し、650psという大出力を引き出している。
「このクルマはドラッグレースも走りたいということでG30-700を選択。E85フューエルを使って650psのセットアップですが、通常のハイオク燃料を入れて自走でサーキットまで行き、現場でパージできるシステムが組まれているのは特徴ですね。フレックスセンサーで燃料を判断し、マップが切り替わるようになっているので、安心してハイパワーを楽しめる仕様になっています」とレボリューション青木さん。
ハイオクで自走、現地でレースガスへ

このシステムのポイントは、普段使いと競技走行を両立できることだ。
燃料系にはコレクタータンクを新設し、燃料タンクには内部のガソリンを抜き取るためのドレンプラグも設置。普段はハイオクガソリンで移動し、サーキットやドラッグレース会場に到着したら燃料を抜いてE85へ入れ替えられる仕組みとしている。
さらにフレックスセンサーが燃料中のエタノール濃度を検知し、その数値に応じて制御マップを自動的に切り替える。燃料を変更するたびに手動でセッティングを変更する必要がなく、異なる燃料を使い分けながらハイパワーを楽しめるわけだ。
タービン交換からはモーテックM142

エンジン制御は、ブーストアップ仕様ならECUTEK+フラッシュエディターRを使用。一方、タービン交換以上の仕様では、プラグインタイプのモーテックM142を投入する。
純正コンピュータをベースとした制御では、吸入空気量の過大などを検知するさまざまな監視制御によって、セーフモードやエラー制御が発生するケースがあるためだ。
ただし、コストパフォーマンスに優れるECUTEKをタービン交換仕様でも活用できるよう、レボリューションでは現在もトライを重ねているという。
650馬力を支える強化点火システム

また、G16Eをチューニングするうえで避けて通れないのが、400ps近辺から現れ始める失火だ。特に6000rpm付近で発生しやすく、パワーを高めるほど症状も顕著になる。
そこで点火系の強化は必須。ハイパーコイルや、電極の向きを揃えられるポジショニングプラグなどを投入している。
650ps仕様では、イグナイターを内蔵したMSD製スマートコイルを採用。レボリューションでは、これをカプラーオンで装着できる専用キットまで製作している。
吸排気系もオリジナルパーツで武装


吸排気系にもオリジナルパーツを投入する。サージタンクはビレットからワンオフしたスペシャル品を採用。後に製作された車両では、ウェルドスピード製のキャストタイプも使用している。
マフラーは前期/後期、RZ/RCの各仕様に対応したフルチタン製で、保安基準にも適合する。
ここまで聞けば、完全な競技車両を想像するかもしれない。ところが、この650ps仕様でレボリューションが重視しているのは、あくまでもストリートとの共存だ。
650馬力でも快適装備はそのまま


エアコンやオーディオ、内装といった快適装備はそのまま残され、極端な軽量化も行なっていない。
車重はノーマルとほぼ同等の1270kg。むしろ安全性を高める12点式クロモリロールケージを装着したことで、重量は増加傾向にある。それでも高いパフォーマンスを引き出せるところに、このGRヤリスの面白さがある。
レボリューションでは、Attack筑波でも軽量化を一切行なわないAT仕様で59秒5を記録。今回の車両も同じ思想のもと、オーナーが自走でもてぎまで向かい、そのままシュートアウトを楽しめるクルマとして仕上げられている。
そして初めて挑んだドラッグレース、もてぎシュートアウトでは11秒台をマーク。ドライバーがスタートやシフト操作に慣れれば、さらなるタイム短縮も狙える余力を残しているという。
ハイパワーを受け止めるシャシー&駆動系

もちろん、650psを生かすためにシャシー側にも手が入る。
サスペンションはD2ダンパーをベースに、レボリューションがオリジナルセッティングを施したもの。ドラッグレースに合わせながら、ストリートでの使い勝手も確保している。フロントロワアームとリヤラテラルアームはピロ化されている。

ブレーキはオリジナルの純正サイズ2ピースローターに、フロント6ポット/リヤ4ポットのAPキャリパーを組み合わせる。ホイールは18インチのボルクレーシングTE37、タイヤにはNITTO NT05をセット。ドラッグレースへの対応だけでなく、街乗りでの安全性にも配慮した組み合わせだ。

さらに、大幅なパワーアップに合わせてミッションもチェコのXシフト製シーケンシャルへ変更。駆動系の予熱/冷却対策として、純正水冷オイルクーラーをベースに容量をアップしたオリジナルのトランスファークーラーも用意されている。
競技車両なのにストリートを捨てない


エクステリアには、バーチカルマウントのGTウイングやカーボンボンネットなど、レボリューションのオリジナルパーツを投入。
ボンネットのクーリングダクトにはレインガードを備えるなど、ここでも普段使いを捨てない思想が貫かれている。

純正タービンによる400ps級から、G25シリーズによる500psオーバー、そして1.75L+G30-700+E85による650psまで。
単純に最高出力だけを追い求めるのではなく、オーナーが「どこで、どう走りたいのか」に合わせて最適な仕様を組み立てる。それがレボリューションのG16Eチューニングだ。
ストリートカーとしての快適性を残したまま、タイムアタックやドラッグレースでも結果を残す。その懐の深さこそ、G16Eが秘めるポテンシャルと、レボリューション流チューニングの真骨頂なのである。
●問い合わせ:レボリューション 埼玉県川口市東領家1-1-10 TEL:048-222-4690
【関連リンク】
レボリューション
http://revo-tune.jp
