パワーよりも“使える速さ”!
SR20の美味しさを引き出すターボ選び
S13シルビアや180SXへの搭載以来、長年にわたって日産のスポーツモデルを支えてきた2L直4ターボのSR20DET。S14では吸気側に可変バルタイ機構のNVCSを採用し、S15では最高出力を250psまで高めるなど、世代を追うごとに進化を遂げてきた。街乗りからドリフト、サーキットまで幅広く対応できる懐の深さも、今なお多くのチューナーから支持される理由だ。

そんなSR20の持ち味を引き出すタービンチューンを提案するのが、千葉県柏市のシルビア&180SX専門店「ガレージミラルダ」だ。同店が重視するのは、単純なピークパワーではなく、実際に使用する回転域での扱いやすさ。ストリートで多用する3000〜4000rpm付近から、アクセルを踏み込んだ瞬間に力強く加速する、全域でトルクフルな特性を理想としている。

そこで推奨しているのが、GCGターボが取り扱うギャレット「GTX2860R GEN2」だ。鍛造削り出しのフルブレードコンプレッサーホイールを採用したボールベアリング式タービンで、SR20に小加工で装着できるコンパクトなサイズながら、400psオーバーを狙える風量を確保。A/Rの小さいエキゾーストハウジングを選択することで、街乗りやドリフトで重要となる低中速域からのレスポンスも引き出せる。



ただし、約400psを安心して楽しむには、タービン交換だけでは不十分だ。吸気系はエアフロを廃してDジェトロ化し、大容量インジェクターや燃料ポンプ、強化イグニッションコイルなども必要となる。
エンジン制御では燃調や点火時期に加え、強化コイルのドエルタイムやNVCSの作動まで含めたトータルセッティングが重要。エキゾースト系も、低速トルクとのバランスを考慮してパイプ径を選ぶなど、狙う特性に合わせて組み上げることがポイントとなる。



さらに高回転域の伸びを求めるなら、カム交換も有効だ。ミラルダでは、東名パワード製ポンカムとソリッドピボットの組み合わせを推奨している。また、年式相応に疲れたエンジンであれば、オーバーホールと同時に87φの鍛造ピストンを投入し、排気量を拡大するのも手だ。低中速トルクの底上げが期待できるため、より大きなタービンを組み合わせても扱いやすい特性を狙える。

そして、こうしたミラルダ流SR20ターボチューンを実践した一台が、同店スタッフの島村さんが乗るS15だ。GTX2860R GEN2を核に、東名パワード製ポンカムやHPI製エキゾーストマニホールドを投入。パワーFCによる制御で約400psを発揮する。それでいてエアコンやナビも残されており、普段の街乗りからサーキットでのドリフトまで、一台で楽しめるストリート仕様に仕上げられている。


約400psを受け止める駆動系も抜かりはない。ミッションは純正6速からHPI製6速へと換装し、ニスモ・スーパーカッパーミックスとATSカーボンLSDを組み合わせる。クロスしたギヤ比によってSR20のパワーバンドを有効に使えるだけでなく、滑らかに効くカーボンLSDが、街中での扱いやすさとドリフト時の確実なトラクションを両立させている。
足回りにはミラルダオリジナルの車高調を装着。スプリングレートはフロント7kg/mm、リヤ4kg/mmと比較的柔らかめに設定し、リヤには樽型スプリングを採用することで、乗り心地と接地性を確保する。
さらに、3UP製ナックルによる切れ角アップや、D-MAX製調整式アッパーアームによるリヤキャンバーの補正など、ドリフト時のコントロール性を高めるためのセットアップも施されている。

ホイールはボルクレーシングTE37V。タイヤにはファイベックス055Aを組み合わせ、フロント17インチ、リヤ18インチの前後異径サイズとしている。リヤブレーキはローターを大径化し、サイドブレーキがしっかり効くように調整。外装はトラストのフロントリップを追加し、ボディをブルーに全塗装するにとどめ、シンプルなスタイルにまとめている。


室内にはエアコンやナビを残し、快適性も確保。運転席にはブリッドのフルバケットシートを組み込み、ドリフト時のホールド性にも配慮した。さまざまな車両情報を確認できるFCコマンダーも装備。メーターは、ニスモから限定復刻されたフルスケールタイプに変更済みだ。

オーナーの島村さんがシルビアに憧れるきっかけとなったのは、中学生時代に見たD1GPだった。中でも川畑真人選手が駆るS15のドリフトに魅了され、当時から自転車でミラルダへ通っていたという。現在はそのミラルダのスタッフとして働き、自ら愛車の整備や仕様変更を手掛けるまでになった。このS15も、前オーナーから譲り受けた素性の分かる車両をベースに、自身の理想とする仕様へと進化させてきた一台だ。

最高出力だけを追うのではなく、アクセルを踏んだ瞬間に欲しいトルクが立ち上がり、そのパワーを駆動系と足回りで確実に路面へ伝える。走行後にはエアコンを効かせ、そのまま自走で帰ることもできる。
約400psというSR20のポテンシャルを引き出しながら、ストリートカーとしての楽しさも失わない。タービンからエンジン、制御、駆動系、足回りまでトータルで仕上げることこそ、ミラルダが考えるSR20ターボチューンの理想形なのだ。
●取材協力:ガレージ ミラルダ 千葉県柏市藤ヶ谷1191-20 TEL:04-7179-5830
【関連リンク】
ガレージミラルダ
http://www.miralda.net


