1990年代のブームに至るまでのステーションワゴンの変遷
日本のステーションワゴンの歴史は古く、1960年代から1970年代の日本の自動車黎明期には、商用車バンの需要が高かったことから、セダンとともに必ずバンが設定され、その乗用登録という形で乗用のステーションワゴンも設定されることが多かった。
最初は、「クラウンワゴン」や「セドリックワゴン」といった上級車からステーションワゴンが設定され始め、徐々に「ブルーバードワゴン」や「コロナワゴン」のような小型ワゴンも登場した。この頃から、商用車バンのイメージとは距離を置いたセダン派生のステーションワゴンとなり、サーフィンやスキーといったレジャーとして使う一部の若者も登場した。

日産「サニー・カルフォルニア」vs.ホンダ「シビック・カントリー」でアメリカ西海岸の香りがするお洒落なステーションワゴン対決!【歴史を飾ったライバル対決030】
レジャー用やファミリーカーを目指したステーションワゴンとして、1979年1月に日産自動車「サニー・カリフォルニア」 、1980年1月にホンダ「シビック・カントリー」がデビューした。米国で流行っていたアウトドアやサーフィンのようなアウトドアスポーツを楽しめる、また多くの荷物を積んで長距離ドライブできるファミリーカーとしても使える、そんなお洒落で快適なステーションワゴンだった。
1980年代になると、1982年5月デビューの「カローラワゴン」や1994年10月デビューの「カペラワゴン」、1985年2月デビューの「ランサーワゴン」のような完全に商用車バンとは一線を画した、日常のファミリーカー用途のステーションワゴンが登場して、ステーションワゴンがファミリーカーとして市民権を得るようになった。
ステーションワゴンの火付け役となったスバル初代レガシィ・ツーリングワゴン
1989年2月に誕生したスバルの初代(BC型)「レガシィ」は、4ドアセダンと5ドアツーリングワゴンで構成された。

注目の水平対向4気筒エンジンは、最高出力110ps/最大トルク15.2kgmの1.8L SOHC(EJ18型)と150ps/17.5kgmの2.0L DOHC(EJ20型)、最強グレードRSに220ps/27.5kgmを誇る2.0L DOHCインタークーラーターボエンジンの3機種を設定。トランスミッションは、5速MTおよび4速ATで、駆動方式は廉価仕様にはパートタイム4WDも設定され、5速MTがビスカスLSD付センターデフ式4WD、4速ATがトルクスプリット式4WD。これにより、現在に続くスバルのコア技術である“シンメトリカルAWD”が質的に完成した。

レガシィは、当時のRVブームの後押しもあって、特にツーリングワゴンが人気を獲得。ワゴンはセダン譲りの伸びやかなフォルムで、ハイグレードにはワゴンを強調するルーフレールを装着。室内は広大な荷室を確保し、後席のシートを倒すと余裕のフラットスペースが実現できた。
同年10月に2.0L インタークーラーターボを搭載した200ps/26.5kgmの「ツーリングワゴンGT」が追加されると、その人気は一気に加速。この人気を受けて、他車からもツーリングが登場することになり、ツーリングワゴンブームが起こる起爆剤となった。
熟成した2代目ツーリングワゴンで人気は頂点に

1993年10月にモデルチェンジした2代目(BD/BG型)「レガシィ」は、キープコンセプトながら面構成のスポーティなスタイリングとなり、ボディ剛性や居住性、動力性能のレベルアップなどで完成度を高めた。

2代目もセダンとツーリングワゴンが設定されたが、主役は完全にワゴンだった。スタイリングは、初代とは一味違うシャープさがあり、広々としてキャビンと相まってワゴンの魅力を倍増させた。

エンジンは、いずれも先代の改良型水平対向4気筒エンジンで、最高出力125ps/最大トルク17.5kgmの2.0L SOHCと150ps/18.5kgmの同DOHC、および最高出力250ps/最大トルク31.5kgmnの同DOHC インタークーラーツインターボの3種と、ツーリングワゴンのみに135ps/19.0kgm 2.2L SOHC(EJ22型)が用意された。トランスミッションは、5速MTおよび4速ATが組み合わされ、駆動方式は初代の廉価仕様のパートタイム4WDが廃止され、初代同様ビスカスLSD付センターデフ式4WDとトルクスプリット式4WDが使い分けられた。
1994年6月には、先代で用意されていた115ps/15.7kgmの1.8L SOHCが復活し、同年10月には160ps/21.5kgmの2.5L DOHCが追加されるなど、その後も出力アップが図られ、さまざまな水平対向エンジンが楽しめた。
ステーションワゴンとして完成度を高めた2代目レガシィ・ツーリングワゴンは、初代人気を加速して絶頂期を迎えた。





















レガシィに対抗したトヨタ・カルディナだったが、健闘及ばず

スバル「レガシィ・ツーリングワゴン」の成功を受けて、1990年代には他社からもさまざまなステーションワゴン次々と登場した。

トヨタは、1992年11月に「カルディナ」を投入。カルディナはカリーナの派生車で、1982年2月にデビューしたステーションワゴン「カリーナ・サーフ」の後継である。カリーナ・サーフは大ヒットにはならなかったが、その名の通りサーフィンなどレジャー用として若者から支持された。

カルディナは、スタイルからメカニズムまですべてを刷新。ラウンディッシュな面で構成されたスポーティで伸びやかなフォルムを採用し、ルーフ仕様にお洒落なルーフレールを装備したり、大型サンルーフをレイアウトしたスカイキャノピー仕様を設定するなど、スポーティかつファミリー志向のワゴンだった。

エンジンは、最高出力125ps/最大トルク16.5kgmの1.8L 直4 DOHC、140ps/19.0kgm(AT車は135ps/18.5)の直4 DOHCハイメカツインカム、73ps/13.5kgmの2.0L 直4 SOHCディーゼルの3種。トランスミッションは5速MTおよび4速AT、駆動方式はFFとフルタイム4WDが用意された。1995年には、市場の要望に応えて175ps/19.5kgm(AT車は165ps/19.5kgm)の2.0L 直4 DOHCハイメカツインカムを搭載する最上級グレード「TZ-G」を追加するなど、パワーアップを図った。
車両価格は、170.9万円~238.7万円。当時の大卒初任給が18万円程度(現在は約23万円)だったので、単純計算では現在の価値で約218万~305万円に相当する。
カルディナは、実用的で使いやすいワゴンとして堅調な販売を続けたが、絶好調のスバル2代目レガシィ・ツーリングワゴンの人気には及ばなかった。





















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1990年代の2代目レガシィ・ツーリングワゴンのライバルとして、トヨタ「カルディナ」以外にも、ホンダからアメリカンテイスト系「アコードワゴン(1991年4月~)」、日産からは高級系「ステージア(1996年10月~)」、三菱のスポーティ系「レグナム(1996年9月~)」などに代表される多くのステーションワゴンが登場した。いずれもブームに乗って人気を獲得したが、レガシィ・ツーリングワゴンには敵わず、レガシィの独走を許した。
他社が真似できない圧倒的な走行性能を持つシンメトリカルAWDを最大の武器として、これに高性能ターボを組み合わせた。“ワゴンなのにパワーフルで速い”を印象付けて、他の追随を許さなかったのだ。









